魔法騎士団をクビにされたので犯罪者集団に所属して無双しまぁす

ななこ

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一章

20、SHOW TIME

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 スポットライトの当たっている舞台。

 司会者が意気揚々と両手を挙げた。

「レディース、アンド、ジェントルメン!! 始まりました、闇市オークション!! 今回は一体何が出品されているのでしょうか!?」

 ドゥルルルとドラムロールが鳴り響く。その舞台へ、バニーガールが布で覆い隠した荷台を押して行った。中央へ置いた後に。

「まずは出品番号一番!! 魔法瓶!!」

 パッと布が剥ぎ取られ、魔法瓶が露になった。花瓶のような曲線を描く魔法瓶は、硝子を張り合わせたような柄だ。それが光に当たってきらきらと輝く。

「なんとこの魔法瓶、入れた花が一生枯れないという魔法の瓶なのです! もちろんこれを飾ることで家の中にある淀みを浄化してくれる優れもの!! 不運なことが続いているそこのあなた!! どうですか、この魔法瓶!! まずは五十Gゴールドから!!」

 すると頭上にある会場では買い手の人が札を上げている。その札には希望落札額が書かれているようだ。

「五十五G!! いや、六十G!! おっと、百G!! いや、千Gを越えてきた!! さあさあ、どうですか!? 花の枯れない魔法瓶ですよ!!」

 その袖でセドリックは舞台を見ていた。

「なんだ、あれ。ただの花瓶じゃねえか。どうせ花瓶に花の寿命を延ばす魔法でもかけてんだろ。これ、詐欺だろ、絶対。てか千Gって安っ!! アホくさっ」
「セドリック、人が来る前に早くみんなを逃がしてあげないと」 
「そうだな。ついつい見ちまった」

 舞台袖からは保管庫へと続く通路があり、バニーガールが今三番まで物を舞台袖に持って行ってる。

 バニーガールが次の番号を取りに来る前にしなければならない。

 保管庫には檻に入れられている獣たちや、見たこともないような品物が並んでいた。

 先程セドリックが舞台袖へ行って確認したが、一番から三番の中には今回の目的の物は無かった。

 だから、早いところ捕まっている獣たちとハカセのゴールデンパンティを回収すべし。

 セドリックが檻へ触れようとすると、バチッと火花が飛び散った。

「痛って! な、なんだこりゃ……!?」

 セドリックの手のひらはみみず腫れのようになる。

「何も考えずに触れるからよ」

 フィオナが静かに檻へ手を触れようとする。

「おい!!」

 しかし先ほどの拒絶反応のような火花は出なかった。なんでだよ、とセドリックが眉間に皺を寄せる。

 フィオナの触れている所が淡く光っている。どうやら薄い膜のようなものに檻は覆われているようだ。それは恐らく盗難防止のための結界に違いない、とフィオナは推測する。

「なるほどね」
「なるほどって……何が分かったんだよ」

「下がってて。結界を解く」

 フィオナは剣を抜き、呪文を唱えながら一閃した。

鍵を、砕けレリーズ

 スパンッと檻が半分に割れ、檻を覆っていた結界が破裂するように消えた。その時に花火が開いたかのような演出にフィオナは「さすが闇市ね」と呟く。

 しかし結界が解けたのはいいものの、ガシャンガシャン、と檻の半分が音を立てて床に落ちてしまった。

「感心してる場合じゃねえだろ、おいっ! そんな音立てたらバレるだろうが!!」
「そうね、早く逃しましょう」

 平然と獣達を誘導するフィオナは肝が据わっている。というか何なんだ、こいつ。セドリックは深いため息を吐いて、檻から出られていない獣を外に出した。

「ゲートを開いておくわ。帰りはどこでも開くんでしょ?」
「みたいらしいけど……本当かよ」

 セドリックがふとフィオナを見たら通行証を壁に当てていた。

「おいおい、扉じゃねえとゲートにはならねえんじゃねえの?」
「え? そうなの?」

「え、違うのかよ?」
「分からないわ。マンホールがゲートとなるんだったら、壁でもなるでしょう。ならないんだったら、ここには扉がないわ」

「それもそうだな……」

「でも光らなかったらどうすんだ?」というセドリックの不安も杞憂きゆうに終わった。壁が扉の形に光だす。

「お、いけんじゃん。みんな、こっちに来い!」

 ぞろぞろと列をなして並んでいる姿は可愛らしい。その中にきちんと虹蛇もいた。暴れ出さない所を見ると、セドリック達の行動を理解してくれているのかもしれない。獣は賢いのだ。

 ゲートが開くのは恐らく入ってきたマンホールだ。だから、そこに時間差で到着したハカセに待機してもらっている。

 虹蛇が出てきたら捕まえて依頼人に返却するという算段だ。

 一匹だけ、まだ檻の中で震えているカエルがいた。その蛙は珠蛙という、体の中に真珠を生成する種類の蛙だ。湖の中からほとんど出てくる事のない蛙なので、水のない檻の中に入れられて干からびかけてしまっている。可哀想に。

「よしよし。早く帰してやっから。もう少しだけ、頑張れるか?」

「おい!! そこで一体何をしている!?」
 
 檻の落ちた音を聞きつけた警備員が保管庫に入ってきてしまった。

「くそ、思った以上に早かったな……フィオナ、こいつを頼むぜ!!」
「これって……」

 手渡された物をフィオナが恐る恐る見れば。「ゲコッ」とそれが挨拶してきた。

「カ……カエル……」

 蛙を見たフィオナは、なんとそのまま気を失って倒れてしまった。

「おい!? マジかよ、蛙苦手なのかよ!? そんな事はもっと早く言えって!! くそ、いくぜ、レオ!!」

 バチバチバチ、とレオは元の大きさに戻る。するとバチインと首輪が外れた。

「とにかく一掃するぜ!」
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