菊智夕

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「雪人…」

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俺はまた、真琴を犯した。

愛しいと、今でも思った。



「真琴ぉ、おいでぇ」

雨宮の傍に真琴が動く。

2人がキスをした。

俺は見ないようにして、煙草を取り出した。

シーツの上で、真琴が足を開く音がする。

雨宮が真琴に言う。

「真琴。入れるよ?」

悲しそうな声だったように感じた。

「雪人…」



もう一度。

雨宮は真琴と呼び。

真琴は確かに俺の名前を呼んだ。

一瞬の頭ん中の空白のあと。

恐怖に近いものが湧いた。

あまりに気持ちが悪くて、鳥肌が立つ。

俺はゆっくりと起き上がりながら言った。

「ちょっと待て」

雨宮が入れたまんま止まった。

「え、何、雪人?」

「テメエ、どけコラ」

俺は雨宮を突き飛ばした。

雨宮は一瞬体勢を崩したが、俺と場所を代わった。

俺は真琴に覆いかぶさって言う。

「真琴。お前が本心で俺に抱かれたいんなら。俺はいくらでも抱いてやる。けどな」

俺は両手で、真琴の顔を中心から外側に撫でた。

真琴の目を見る。

「雨宮に抱かれてるときは。俺の名前を呼ぶな。次呼んだら」

俺は初めて、真琴の頭を引っ掴んで顔を上げさせた。

「お前でも、ぶち殺す。わかったか」

「はい…」

手を離した。

俺は少し、泣きそうになるのを耐えた。

雨宮に向かって、より一層の怒りを吐き出す。

「テメエもだ、雨宮。どうせお前が言わせ始めたんだろうが。次こんなことをこいつに言わせたら。ぶち殺す。わかるな?」

「んー、わかったぁ」

「クソガキが。二度とすんなよ…」

「続きしていい?」

「ふざけんな。今日は真琴に触らせねえ」

俺は真琴の頭の下に腕を入れ、真琴を抱きしめた。

人形みたいにしやがって。

クソが。
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