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聖は、髪の乱れるのも構わず頭を抱え、グシャっと大きくかき混ぜる。
そうして、ギュッと目を閉じた。
(しっかりしろ、御堂聖! ユウと史郎の両方の手を取る事が出来ないから、どっちかを諦めると覚悟したハズだろう? )
今でも、脳裏に刻まれている。
あの寒々しいゴミ溜めのような部屋で、鎖に繋がれた無残な姿で震えていた、可哀想な我が子を。
ユウを――必ずこの手で幸せにするのだと、あの時に誓った筈だ。
時は流れ、ユウはとうに自立して、立派に自分の足で立って生きている。
それでも……もう自分の力は必要ないとしても。
やはり聖は、どうしてもユウが可愛い。
少しでもいいから、何かユウの為に力を貸してやりたい。
これまで蓄えた財産は全てユウに相続させたいし、ユウの歌手としての仕事も、事務所を上げてもっとバックアップしてやりたい。
今までは他人のフリをしなければならなかったので、自分の力を最大限にしてユウを助けようにも『度を越している』と周囲の反対意見に阻まれてきた。
だが、堂々と親子の名乗りを上げた以上、もう誰にも遠慮をする必要は無い。
ジュピタープロダクションも、自身の持ち株を増やして筆頭株主になった今、実質的に聖の会社だ。
実子である畠山ユウへ、将来この会社を譲渡する事も容易になったワケだ。
ならばこれからの人生は、ユウの幸せの為だけに使いたい。
聖はそう決意し、史郎ではなくユウを選んだ。
本心では、今でも迷う時があるが……だが、ユウの事を別にしても、聖がまっとうな道を歩むもうとするならば、これから先は反社会勢力と付き合うわけにはいかない。
どうあっても、史郎とは別れなければならないのだ。
「――――御堂さん? 」
真壁は、頭を抱えたまま動きを止めた聖を気掛かりそうに見遣る。
「どうしたんですか? まさか、本当に頭痛でも……」
「いや。大丈夫だ」
そうして、ギュッと目を閉じた。
(しっかりしろ、御堂聖! ユウと史郎の両方の手を取る事が出来ないから、どっちかを諦めると覚悟したハズだろう? )
今でも、脳裏に刻まれている。
あの寒々しいゴミ溜めのような部屋で、鎖に繋がれた無残な姿で震えていた、可哀想な我が子を。
ユウを――必ずこの手で幸せにするのだと、あの時に誓った筈だ。
時は流れ、ユウはとうに自立して、立派に自分の足で立って生きている。
それでも……もう自分の力は必要ないとしても。
やはり聖は、どうしてもユウが可愛い。
少しでもいいから、何かユウの為に力を貸してやりたい。
これまで蓄えた財産は全てユウに相続させたいし、ユウの歌手としての仕事も、事務所を上げてもっとバックアップしてやりたい。
今までは他人のフリをしなければならなかったので、自分の力を最大限にしてユウを助けようにも『度を越している』と周囲の反対意見に阻まれてきた。
だが、堂々と親子の名乗りを上げた以上、もう誰にも遠慮をする必要は無い。
ジュピタープロダクションも、自身の持ち株を増やして筆頭株主になった今、実質的に聖の会社だ。
実子である畠山ユウへ、将来この会社を譲渡する事も容易になったワケだ。
ならばこれからの人生は、ユウの幸せの為だけに使いたい。
聖はそう決意し、史郎ではなくユウを選んだ。
本心では、今でも迷う時があるが……だが、ユウの事を別にしても、聖がまっとうな道を歩むもうとするならば、これから先は反社会勢力と付き合うわけにはいかない。
どうあっても、史郎とは別れなければならないのだ。
「――――御堂さん? 」
真壁は、頭を抱えたまま動きを止めた聖を気掛かりそうに見遣る。
「どうしたんですか? まさか、本当に頭痛でも……」
「いや。大丈夫だ」
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