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素直に頭を下げて礼を言うユウに、美央は頬を赤くしながらブンブンと首を振って答える。
「だから、顔を上げてくださいよ! 」
「――――ありがとう」
ユウはもう一度礼を言うと、意を決したように美央を見つめた。
「それじゃあ、早速、そのマサミのいるスタジオに行こうか」
「はい。オレの知り合いも何人か同じ現場に入っている筈なんで、ヤツが自暴自棄になって暴れようとしても、こっちの助っ人は幾らでもいるから心配無用ですよ」
と、美央はニカリと笑って請け負った。
――――だが、すぐに二人は茫然としてしまう。
なぜならば、犯人の片棒を担いでいると見当をつけていたADのマサミは、ミヤビの件とは全くの無関係であったからだ。
マサミは、あっけらかんとした様子で、美央とユウを交互に見遣る。
「え~? なんすか、そのミヤビって。ボク、そもそも兄弟はいないんですけど~? で、それが何か関係あるんスか? あ、あの……ところで畠山ユウ本人ですよね? めっちゃファンなんですよ!! サインって、もらえないっスか」
大スターのユウを前に、マサミは傍から見ていて分かるくらいに舞い上がりながらそう言い出した。
そして――。
「は? イナバウアー……? ボーカル? ボクって、邦楽バンド系は知らないんですよねー。それに、それバックバンドっしょ? 」
「いや、そもそもイナバウアーじゃねーし。Innovativeって、マジで知らないのか? 」
「知らないっスよ」
「Innovativeはソロバンドでも活動はしているんだが――ああ、今は活動休止中だけどな。お前、本当にマジで知らないのかよ!? 」
強めに詰め寄る美央に、マサミは困ったように答える。
「だから、無関係ですって」
「だから、顔を上げてくださいよ! 」
「――――ありがとう」
ユウはもう一度礼を言うと、意を決したように美央を見つめた。
「それじゃあ、早速、そのマサミのいるスタジオに行こうか」
「はい。オレの知り合いも何人か同じ現場に入っている筈なんで、ヤツが自暴自棄になって暴れようとしても、こっちの助っ人は幾らでもいるから心配無用ですよ」
と、美央はニカリと笑って請け負った。
――――だが、すぐに二人は茫然としてしまう。
なぜならば、犯人の片棒を担いでいると見当をつけていたADのマサミは、ミヤビの件とは全くの無関係であったからだ。
マサミは、あっけらかんとした様子で、美央とユウを交互に見遣る。
「え~? なんすか、そのミヤビって。ボク、そもそも兄弟はいないんですけど~? で、それが何か関係あるんスか? あ、あの……ところで畠山ユウ本人ですよね? めっちゃファンなんですよ!! サインって、もらえないっスか」
大スターのユウを前に、マサミは傍から見ていて分かるくらいに舞い上がりながらそう言い出した。
そして――。
「は? イナバウアー……? ボーカル? ボクって、邦楽バンド系は知らないんですよねー。それに、それバックバンドっしょ? 」
「いや、そもそもイナバウアーじゃねーし。Innovativeって、マジで知らないのか? 」
「知らないっスよ」
「Innovativeはソロバンドでも活動はしているんだが――ああ、今は活動休止中だけどな。お前、本当にマジで知らないのかよ!? 」
強めに詰め寄る美央に、マサミは困ったように答える。
「だから、無関係ですって」
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