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Is it the love which isn't achieved?
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愛らしく可憐なオメガには、とても敵わない。
やはり自分は、アルファとして『愛される』側ではなく、『愛する』側としての役目を宿命づけられているのか?
(ましてや、采も僕も、同じアルファだ。アルファ同士では、やっぱり恋が実る事なんて無理なのか――――僕は……もう、日本にはいない方が良いのかもしれない……)
このままでは、どんどん未練が募りそうだ。
僕の方が学歴も申し分ないし、運動能力も高い。世間からの評価は上々だ。
そんなオメガよりも、全ての面で、よっぽど僕の方が――――と、どうしようもない事をグダグダと言いそうだ。
自分は、あのオメガのように、子を身籠る事など到底不可能なのに。
采と、あのオメガを祝福しなければならないのに、嫌な言葉がどんどん自分の口から飛び出そうで、怖くなる。
(僕は、そんな最低なヤツには成り下がりたくない……)
それが、せめてもの達実の矜持だ。
だから達実は、音を立てないように気を遣いながら、そっとその場を離れた。
◇
「ど、どうしたの、達実くん? 」
嘉偉は、意気消沈とした様子で、九条邸へ帰宅した達実に戸惑った。
せっかく達実に美味しいものをご馳走しようと思い、三ツ星レストランを予約していたというのに、それを反故にされてムッとしていたのだが……萎れた花のような憂い顔の達実を前に、嘉偉は自分の不機嫌などすっ飛んで行った。
慌てて、嘉偉は達実にしがみつく。
「何があったの!? 」
「……ううん。何でもないんだ……」
「采叔父さんに、イジメられたの? 」
「……」
「やっぱり、そうなんだね! 叔父さん、サイッテー!! 達実くんに意地悪するなんて、信じられない! 」
「そうじゃ……ないんだよ」
達実は儚げに笑うと、荷物をまとめに、滞在用に用意されていた自分の部屋へ戻っていく。
その後ろを追いながら、嘉偉は「じゃあ、何があったの? 」と、取りすがった。
「達実くん! もっと、ここに居ていいんだよ! 何で荷造りしようとしているのさっ」
「――――元々、僕はすぐに北欧へ帰るつもりだったからね。ダディの法要も終わったし、もう……」
「ダメダメ、そんなの絶対ダメだよ! 」
嘉偉は、この美しい従兄弟が大好きなのだ。
もっと一緒に居たいし、遊びたい。
色々な場所へ連れて行って、『どうだ、僕の従兄弟だぞ。綺麗で素敵なアルファだろう』と言って、見せびらかして自慢もしたい。
だから、達実を引き留める理由を必死になって探し出した。
「そ――そうだ! 遺産の手続きもまだ終わってないんでしょう? だから、まだ日本にいないとっ」
「僕は、遺産は全て放棄するから、もうそんなに日本に滞在しなくても――」
「ダメだよ! そ、そういう事は、ちゃんと各書?ってやつを弁護士や税理士とも交わさないと……母さんだって、達実くんともっとお話がしたいって言ってたし! 」
どうにかして引き留めようとする嘉偉に、達実は憂い顔のまま嘆息する。
「嘉偉が、そうやって僕に懐いてくれるのは嬉しいけど……正直に言うとね……僕、もう采の顔を見るのが辛いんだ。だから、日本から出て行きたいんだ」
「やっぱり、叔父さんが原因か! 」
嘉偉は顔を真っ赤にして、地団駄を踏んだ。
「もう! 本当に最低!! 僕から、母さんに言ってあげるよ。采叔父さんが達実くんをイジメたって! 」
純粋に怒りの表情を見せる嘉偉に、達実は苦笑した。
「ううん。イジメられたんじゃないよ。ただ……采には、オメガの恋人が現われて……で、采は番を作る気らしいんだ」
達実のセリフに、嘉偉は一瞬言葉を失う。
「え……? 番? 」
やはり自分は、アルファとして『愛される』側ではなく、『愛する』側としての役目を宿命づけられているのか?
(ましてや、采も僕も、同じアルファだ。アルファ同士では、やっぱり恋が実る事なんて無理なのか――――僕は……もう、日本にはいない方が良いのかもしれない……)
このままでは、どんどん未練が募りそうだ。
僕の方が学歴も申し分ないし、運動能力も高い。世間からの評価は上々だ。
そんなオメガよりも、全ての面で、よっぽど僕の方が――――と、どうしようもない事をグダグダと言いそうだ。
自分は、あのオメガのように、子を身籠る事など到底不可能なのに。
采と、あのオメガを祝福しなければならないのに、嫌な言葉がどんどん自分の口から飛び出そうで、怖くなる。
(僕は、そんな最低なヤツには成り下がりたくない……)
それが、せめてもの達実の矜持だ。
だから達実は、音を立てないように気を遣いながら、そっとその場を離れた。
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「ど、どうしたの、達実くん? 」
嘉偉は、意気消沈とした様子で、九条邸へ帰宅した達実に戸惑った。
せっかく達実に美味しいものをご馳走しようと思い、三ツ星レストランを予約していたというのに、それを反故にされてムッとしていたのだが……萎れた花のような憂い顔の達実を前に、嘉偉は自分の不機嫌などすっ飛んで行った。
慌てて、嘉偉は達実にしがみつく。
「何があったの!? 」
「……ううん。何でもないんだ……」
「采叔父さんに、イジメられたの? 」
「……」
「やっぱり、そうなんだね! 叔父さん、サイッテー!! 達実くんに意地悪するなんて、信じられない! 」
「そうじゃ……ないんだよ」
達実は儚げに笑うと、荷物をまとめに、滞在用に用意されていた自分の部屋へ戻っていく。
その後ろを追いながら、嘉偉は「じゃあ、何があったの? 」と、取りすがった。
「達実くん! もっと、ここに居ていいんだよ! 何で荷造りしようとしているのさっ」
「――――元々、僕はすぐに北欧へ帰るつもりだったからね。ダディの法要も終わったし、もう……」
「ダメダメ、そんなの絶対ダメだよ! 」
嘉偉は、この美しい従兄弟が大好きなのだ。
もっと一緒に居たいし、遊びたい。
色々な場所へ連れて行って、『どうだ、僕の従兄弟だぞ。綺麗で素敵なアルファだろう』と言って、見せびらかして自慢もしたい。
だから、達実を引き留める理由を必死になって探し出した。
「そ――そうだ! 遺産の手続きもまだ終わってないんでしょう? だから、まだ日本にいないとっ」
「僕は、遺産は全て放棄するから、もうそんなに日本に滞在しなくても――」
「ダメだよ! そ、そういう事は、ちゃんと各書?ってやつを弁護士や税理士とも交わさないと……母さんだって、達実くんともっとお話がしたいって言ってたし! 」
どうにかして引き留めようとする嘉偉に、達実は憂い顔のまま嘆息する。
「嘉偉が、そうやって僕に懐いてくれるのは嬉しいけど……正直に言うとね……僕、もう采の顔を見るのが辛いんだ。だから、日本から出て行きたいんだ」
「やっぱり、叔父さんが原因か! 」
嘉偉は顔を真っ赤にして、地団駄を踏んだ。
「もう! 本当に最低!! 僕から、母さんに言ってあげるよ。采叔父さんが達実くんをイジメたって! 」
純粋に怒りの表情を見せる嘉偉に、達実は苦笑した。
「ううん。イジメられたんじゃないよ。ただ……采には、オメガの恋人が現われて……で、采は番を作る気らしいんだ」
達実のセリフに、嘉偉は一瞬言葉を失う。
「え……? 番? 」
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