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Is it the love which isn't achieved?
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「うん。で、オメガのお腹には赤ちゃんもいるみたいなんだ。だから多分、これから九条では僕なんかに構っていられないくらい、とても忙しくなると思うよ」
それを聞き、嘉偉は驚愕の表情になった。
「采叔父さんが、結婚……!? そんなの初耳だ! 」
「だよね。あの独身貴族が、とうとう番を作るなんて――――僕も、そんな事はないと思い込んでいたよ」
だから、采にはまだ付け込む隙があると思っていた。
好きだ、こんなに大好きだ。
だから――――と、心を込めて言い続ければ。
それに、采は……達実にキスをしてくれた。
派手にケンカして、意識が朦朧としていた達実であったが、采のあのキスは本当だった。
(僕の想いも、届く筈だって信じていたんだけどな)
でももう、そんな奇跡は起こらないようだ。
『オレは、お前の事は……好きじゃない! 』
あの時の采の言葉が、胸にずっと突き刺さったままだ。
結局、アルファである達実は、愛されるために存在するような……魅力あふれるオメガの代わりにはなれない。
「――――多分近い内に、采の方から正式な報告があると思うよ」
「その話、どこで聞いたの? 」
「采のマンションで。偶然、その場に居合わせてね。……行儀は悪いけど、立ち聞きさせてもらったんだ」
「で、そのまま帰って来たんだ」
「うん……なんて言えば分からなかったし。僕、本当は采が好きだったからね――」
こんな話を、誰かにするのは初めてだ。
もしかしたら、達実はずっと誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
自分の、本当の心を。
「僕たち、会えばいつもケンカばかりだったから……采は、ダディを僕にとられたとずっと思っていたみたいで……いつも、憎しみを込めたような眼で僕を睨んできた」
そうだ。采はいつも、達実を憎々し気に睨んできた。
でも達実は、采と仲良くなりたかった。
一緒に遊んでもらいかった。
無邪気な幼い子供だった頃、達実はヨチヨチと歩きながら一生懸命小さな手を広げて、自分よりずっと大きな采の後をいつも付いて回っていた。
その頃、采も既に二十代の青年であったので、自分よりずっと幼い義弟の相手など、どうすればいいのか戸惑っていただろう。
采は、自分の後をついて回る子供を、露骨に邪険にして追い払うような真似はしなかったが――――だからといって、采が達実を抱き上げることは一度として無く。
いつも采は、達実が九条邸を訪れる時は席を外すようになっていた。
キッと、険しい視線で達実を睨み、無言のまま出て行くのだ。
(采は、どうして僕のことが嫌いなんだろう)
悲しくなって、義父の膝の上に座って悄然としていると、義父は優しく達実の頭を撫でて慰めてくれた。
(……達実は悪くないよ。あいつが捻くれてしまったのは、全部私の責任だ。私は采の母親を大切にしたが、愛してはいなかったから……)
――――ダディはどうして、采のマミーを愛さなかったの?
(それはね、私は七海達樹というオメガだけを激しく愛してしまったからだよ。……達実の、パパをね)
長くは生きられぬオメガだった七海は、最後に命を懸けて、同じくオメガだった奏と契った。
その結果奇跡が起きて、この世に達実が誕生した。
九条凛はそれを何よりも喜び、七海の残した唯一無二の宝である達実を溺愛した。
それは、母体となった奏が危惧するよりも深く、熱く。
(君を……強引に九条の籍に入れたのも、九条の財産を誰よりも多く贈与したかったからだ。でも、それでまた采と揉めてしまって――恵美は分かってくれたんだが……)
やはりどうしても、実子である筈の采より、愛情は達実の方へと流れてしまう。
九条自身、その事をどうにか改善しようと思っていたようだが、なかなか感情は上手いようにはコントロールできない。
それを聞き、嘉偉は驚愕の表情になった。
「采叔父さんが、結婚……!? そんなの初耳だ! 」
「だよね。あの独身貴族が、とうとう番を作るなんて――――僕も、そんな事はないと思い込んでいたよ」
だから、采にはまだ付け込む隙があると思っていた。
好きだ、こんなに大好きだ。
だから――――と、心を込めて言い続ければ。
それに、采は……達実にキスをしてくれた。
派手にケンカして、意識が朦朧としていた達実であったが、采のあのキスは本当だった。
(僕の想いも、届く筈だって信じていたんだけどな)
でももう、そんな奇跡は起こらないようだ。
『オレは、お前の事は……好きじゃない! 』
あの時の采の言葉が、胸にずっと突き刺さったままだ。
結局、アルファである達実は、愛されるために存在するような……魅力あふれるオメガの代わりにはなれない。
「――――多分近い内に、采の方から正式な報告があると思うよ」
「その話、どこで聞いたの? 」
「采のマンションで。偶然、その場に居合わせてね。……行儀は悪いけど、立ち聞きさせてもらったんだ」
「で、そのまま帰って来たんだ」
「うん……なんて言えば分からなかったし。僕、本当は采が好きだったからね――」
こんな話を、誰かにするのは初めてだ。
もしかしたら、達実はずっと誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
自分の、本当の心を。
「僕たち、会えばいつもケンカばかりだったから……采は、ダディを僕にとられたとずっと思っていたみたいで……いつも、憎しみを込めたような眼で僕を睨んできた」
そうだ。采はいつも、達実を憎々し気に睨んできた。
でも達実は、采と仲良くなりたかった。
一緒に遊んでもらいかった。
無邪気な幼い子供だった頃、達実はヨチヨチと歩きながら一生懸命小さな手を広げて、自分よりずっと大きな采の後をいつも付いて回っていた。
その頃、采も既に二十代の青年であったので、自分よりずっと幼い義弟の相手など、どうすればいいのか戸惑っていただろう。
采は、自分の後をついて回る子供を、露骨に邪険にして追い払うような真似はしなかったが――――だからといって、采が達実を抱き上げることは一度として無く。
いつも采は、達実が九条邸を訪れる時は席を外すようになっていた。
キッと、険しい視線で達実を睨み、無言のまま出て行くのだ。
(采は、どうして僕のことが嫌いなんだろう)
悲しくなって、義父の膝の上に座って悄然としていると、義父は優しく達実の頭を撫でて慰めてくれた。
(……達実は悪くないよ。あいつが捻くれてしまったのは、全部私の責任だ。私は采の母親を大切にしたが、愛してはいなかったから……)
――――ダディはどうして、采のマミーを愛さなかったの?
(それはね、私は七海達樹というオメガだけを激しく愛してしまったからだよ。……達実の、パパをね)
長くは生きられぬオメガだった七海は、最後に命を懸けて、同じくオメガだった奏と契った。
その結果奇跡が起きて、この世に達実が誕生した。
九条凛はそれを何よりも喜び、七海の残した唯一無二の宝である達実を溺愛した。
それは、母体となった奏が危惧するよりも深く、熱く。
(君を……強引に九条の籍に入れたのも、九条の財産を誰よりも多く贈与したかったからだ。でも、それでまた采と揉めてしまって――恵美は分かってくれたんだが……)
やはりどうしても、実子である筈の采より、愛情は達実の方へと流れてしまう。
九条自身、その事をどうにか改善しようと思っていたようだが、なかなか感情は上手いようにはコントロールできない。
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