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La Vie en rose
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惨めだ。
こんな言い訳のような事を言い続ける自分が、何より惨めだ。
だけど達実は、心の底から湧き起こる激情が溢れるのを止められない。
声を震わせながら、達実はアレンを問い質す。
「采は、僕にキスをしたんだ! ……だから……」
「タツミ――」
「全部、僕が勝手に勘違いしていたと……アレンはそう言いたいのか!? 」
頬を、いつの間にか熱い涙が伝い落ちている。
綺麗な翠玉の瞳を潤ませながら、達実は血を吐くような声を振り絞った。
「僕だって、采を愛している! 誰にも負けないくらい、愛しているんだ!! 」
「……タツミ……」
アレンにとっては、聞くのも堪えがたい程に辛い告白だ。
何故なら、アレンもまた達実を愛しているのだから。
だがアレンは、口を挟まないで達実の言葉に耳を傾ける。
そのアレンに向かい、達実は弱々しい声になって言い続ける。
「僕、僕は――林檎の嘘を問い詰めて、采の目を覚ましてやる。だって、アレンが喋っているのは全部、アレンの想像なんだろう? ……だから――」
言っている自分が、どんどん惨めになって来る。
無様で、醜悪で、みっともない最低なヤツになっていく。
こんな情けない姿を晒すなど、一生死ぬまで誰にも見せたくなかったのに。
分かっているが、達実は――――もう止められない。
「だから、アレンも今の言葉を撤回してくれっ。あいつには――――林檎には、人間の心なんてないって、言ってくれ。頼むから……! 」
ただの財産目当てだ。
身籠ってもいない子供をダシにして、采はだまされているだけだと。
その言葉だけが、聞きたい。
――――だが、それが達実の願望にしか過ぎないのだという事は、何よりも本人が分かっていた。
愛されるために存在するオメガには、達実は到底敵わない。
アルファの自分は、オメガには勝てない。
「あ、あぁ……」
低い嗚咽を漏らしながら、達実はその場に膝を折って泣き崩れた。
美しく華麗に、堂々と咲き誇る大輪の薔薇。
誰もが羨望の眼差しを送る、艶やかな達実。その普段の彼との、激しい落差。
見る影もない程の、あまりに哀れな様子に――――アレンの胸が、キリキリと痛みに悲鳴を上げた。
「タツミ――! 」
無意識に、腕を広げて達実を抱き締める。
柔らかくしなやかな、達実の肉体。
花の香りがするその柔らかな髪に顔を埋めて、アレンは自身の想いを吐き出す。
「私は、罪深い男だ。君をこんなに苦しませて――――しかし私は、君をだましてでもいいから、君をどうにかして手に入れたかったんだ。だからあのオメガとサイが接近するように、姑息にも画策をした。でもそれが、こんなに君を悲しませる事になるなんて……」
「アレンっ」
「許してくれ。でも私は、君のことを愛しているんだ」
「ア――」
「愛しているんだよ、タツミ」
誰よりも美しい、気高い薔薇を。
――――真摯なその言葉に、達実は抵抗する事を忘れたように間近でアレンを見た。
「――アレン……でも、僕はアルファだ。オメガじゃない。子供は――」
「そんなことは、どうでもいい」
キッパリと言い切り、アレンは再び腕に力を入れる。
「君が、サイを好きな事は知っている。だが、それでも私は――この思いを諦めることはできない。君を、愛しているんだ」
「僕、は……」
「私にとっては、君こそが無二の運命の人だ。愚かな子供だましの策略を実行しようとするほどに、私は君に狂うほど心を奪われている」
嘘偽りのない、アレンの熱い告白。
こんな言い訳のような事を言い続ける自分が、何より惨めだ。
だけど達実は、心の底から湧き起こる激情が溢れるのを止められない。
声を震わせながら、達実はアレンを問い質す。
「采は、僕にキスをしたんだ! ……だから……」
「タツミ――」
「全部、僕が勝手に勘違いしていたと……アレンはそう言いたいのか!? 」
頬を、いつの間にか熱い涙が伝い落ちている。
綺麗な翠玉の瞳を潤ませながら、達実は血を吐くような声を振り絞った。
「僕だって、采を愛している! 誰にも負けないくらい、愛しているんだ!! 」
「……タツミ……」
アレンにとっては、聞くのも堪えがたい程に辛い告白だ。
何故なら、アレンもまた達実を愛しているのだから。
だがアレンは、口を挟まないで達実の言葉に耳を傾ける。
そのアレンに向かい、達実は弱々しい声になって言い続ける。
「僕、僕は――林檎の嘘を問い詰めて、采の目を覚ましてやる。だって、アレンが喋っているのは全部、アレンの想像なんだろう? ……だから――」
言っている自分が、どんどん惨めになって来る。
無様で、醜悪で、みっともない最低なヤツになっていく。
こんな情けない姿を晒すなど、一生死ぬまで誰にも見せたくなかったのに。
分かっているが、達実は――――もう止められない。
「だから、アレンも今の言葉を撤回してくれっ。あいつには――――林檎には、人間の心なんてないって、言ってくれ。頼むから……! 」
ただの財産目当てだ。
身籠ってもいない子供をダシにして、采はだまされているだけだと。
その言葉だけが、聞きたい。
――――だが、それが達実の願望にしか過ぎないのだという事は、何よりも本人が分かっていた。
愛されるために存在するオメガには、達実は到底敵わない。
アルファの自分は、オメガには勝てない。
「あ、あぁ……」
低い嗚咽を漏らしながら、達実はその場に膝を折って泣き崩れた。
美しく華麗に、堂々と咲き誇る大輪の薔薇。
誰もが羨望の眼差しを送る、艶やかな達実。その普段の彼との、激しい落差。
見る影もない程の、あまりに哀れな様子に――――アレンの胸が、キリキリと痛みに悲鳴を上げた。
「タツミ――! 」
無意識に、腕を広げて達実を抱き締める。
柔らかくしなやかな、達実の肉体。
花の香りがするその柔らかな髪に顔を埋めて、アレンは自身の想いを吐き出す。
「私は、罪深い男だ。君をこんなに苦しませて――――しかし私は、君をだましてでもいいから、君をどうにかして手に入れたかったんだ。だからあのオメガとサイが接近するように、姑息にも画策をした。でもそれが、こんなに君を悲しませる事になるなんて……」
「アレンっ」
「許してくれ。でも私は、君のことを愛しているんだ」
「ア――」
「愛しているんだよ、タツミ」
誰よりも美しい、気高い薔薇を。
――――真摯なその言葉に、達実は抵抗する事を忘れたように間近でアレンを見た。
「――アレン……でも、僕はアルファだ。オメガじゃない。子供は――」
「そんなことは、どうでもいい」
キッパリと言い切り、アレンは再び腕に力を入れる。
「君が、サイを好きな事は知っている。だが、それでも私は――この思いを諦めることはできない。君を、愛しているんだ」
「僕、は……」
「私にとっては、君こそが無二の運命の人だ。愚かな子供だましの策略を実行しようとするほどに、私は君に狂うほど心を奪われている」
嘘偽りのない、アレンの熱い告白。
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