彼が恋した華の名は:4

亜衣藍

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後日談

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「それは――良かったな」
「あんた、なんだろう?」

――――一般人を操って、ヤツを殺すように仕向けたのは。

 聖がその答えを欲しているのは分かったが、やはり史郎はとぼけた。

「さぁ? 何の事だか、オレはサッパリ分からんな。こっちだって暇じゃねーんだ」

 最後まで口を割らない史郎に、聖はチッと舌打ちをする。
 そうして、諦めたように嘆息した。

「オレに恩を売って置くせっかくのチャンスをふい・・にするとは、バカな野郎だ」

 むぅっと可愛らしく頬を膨らませる聖が可愛くて、放出したばかりの男根が再び勃起する兆候を、史郎は感じ取っていた。
 この後、三ラウンド目に突入したのは自然の摂理であろう。

   🍄

 マンションへ帰った聖は、溜め息をつきながら革ジャンのポケットへ手を突っ込むと、そこに入れていた物を取り出した。

「あの野郎、とうとう口を割らなかったな」

 関川に兇手を差し向けたのは、自分だと自白してくれれば狙い通りだったのだが。
 何か勘でも働いたのか、史郎は最後までそれを口にしなかった。

「あーあ。粘って損したぜ」

 苦虫を噛み潰したような顔で、悪態をつく。

 聖の手には、小型のボイスレコーダーが握られていた。
 史郎が自供した音声を取りたかったのだが、無駄になってしまった。

 日本の法律にはこんなものがある。

 刑法第61条
1、人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2、教唆犯を教唆した者についても、前項と同様とする。

 つまり、人を唆して犯罪を行わせた場合は、その人物も罪を犯したことになるのだ。

「これで史郎を締め上げる、今後の良い材料になるハズだったんだが……まぁいい」

 ボイスレコーダーをケースへ仕舞うと、聖はフッと息を吐いた。

――――人生は儘ならないものだ。

 だが、そのくらいが退屈せずに済む、丁度いい塩梅なのかもしれない。


「さぁて、休暇でも取って、久しぶりにゆっくりするか」
 
 そういうと、聖は嫣然と笑ったのだった。

-――end―――


次ページ、オマケ漫画を付けました!(^^)!
よければ見て行ってください🌸
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