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Good-bye, days dear
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季節は過ぎ去り、時はあっという間に移り変わる。
聖はそれを肌で感じながら、時代に取り残されまいと日々足掻いている。
“会社をもっと大きくして、愛しい我が子に何不自由のない暮らしをさせたい”
その一念だけで、ずっと歯を食いしばって生きて来たが。
――――だが、もう若い時のように無理は出来ない。
どんなに若々しく見えようが、確実に歳を取ってきている。
度重なる謀略とそれに伴う肉体の交合で心身ともに疲弊し、回復しきれずに弱っていたのは事実だ。
だから、どこかに心の安らぎを求めて、つい加賀誉と逢瀬を重ねてしまった。
――――愛されるより、愛したい。
聖は、誰かを愛したいのだ。
その相手である誉を拒絶することは辛かった。
そして、誉に去られる事はもっと辛かった。
僅かな日々だったが、甘い恋人のような時を過ごして楽しかったのに。
しかしそれ以上に、深い悲しみと苦悩を味わう結果に終わった。
でも、こんなのは全部自業自得だ。
誰を恨むことも出来やしない。
すべて、自分が蒔いた種だ。
こんな生き方しかできないのも、自分が悪いのだから。
――――それが、どうしようもなく寂しい。
「どうした、ミドー?」
声を掛けられ、ハッと聖は現実へ戻った。
ここは、Rホテルのゲストハウスだ。
ダグラスは聖の願いを聞き入れて、翌日強引に白子豪に面会するアポイントを捻じ込んだのだ。
仏頂面の執事を前に、ダグラスは小声で注意を促す。
「今回アポを取る為に、かなり強引に迫ったから。相手は不快に思っているだろう。本当に、大丈夫なのかい?」
心配そうな様子でソワソワする相手に微笑み返すと、聖は組んでいた脚を解いた。
それまで仏頂面だった執事がドアの方へ向き直り、主人を迎える為の動作に入ったからだ。
聖とダグラスも起立し、それに倣う。
――――どうやら、お出ましのようだ。
ガチャリとドアが開くと、如何にも育ちの良さそうなエリート然とした青年と、彼の前後を護るように、ボディガードと思しき男達が入室してきた。
首を垂れる執事の前の素通りした青年は、わざとらしいくらい露骨に聖を無視すると、隣にいたダグラスへと握手を求めた。
「どうも、バーグマンさん。この前の件ではご迷惑をおかけして申し訳ない。国に帰る前に、お会いできてよかったです」
「いえ、こちらこそ」
「貴方とは、今後とも是非お付き合いをしたいと思っていたところです。我が白山グループは、グローバルなショービジネスに注力する方針ですから」
ニッコリと笑い、力強い手でダグラスの手を握り締める。
子豪の全身から漲る自信の正体は、一度も挫折を知らないであろう御曹司特有のものだった。
(己の権力を信じて疑わない、お坊ちゃんって事だな)
今まで何が起ころうと、札束で全て解決出来たのだろう。
だから、今回もそれで済むと思っているに違いない。
(――――それじゃあ一つコイツに、世の中、金で解決できないこともあるんだって教えてやろうじゃないか)
聖は俯きながら、くっと笑った。
そうして、おもむろに顔を上げる。
両眼に力を入れ、嫣然と微笑みながら、真正面から子豪を見つめた。
時が、止まる。
「初めまして、白子豪さん。私はジュピタープロダクションの代表取締役をしております、御堂聖というものです」
聖はそれを肌で感じながら、時代に取り残されまいと日々足掻いている。
“会社をもっと大きくして、愛しい我が子に何不自由のない暮らしをさせたい”
その一念だけで、ずっと歯を食いしばって生きて来たが。
――――だが、もう若い時のように無理は出来ない。
どんなに若々しく見えようが、確実に歳を取ってきている。
度重なる謀略とそれに伴う肉体の交合で心身ともに疲弊し、回復しきれずに弱っていたのは事実だ。
だから、どこかに心の安らぎを求めて、つい加賀誉と逢瀬を重ねてしまった。
――――愛されるより、愛したい。
聖は、誰かを愛したいのだ。
その相手である誉を拒絶することは辛かった。
そして、誉に去られる事はもっと辛かった。
僅かな日々だったが、甘い恋人のような時を過ごして楽しかったのに。
しかしそれ以上に、深い悲しみと苦悩を味わう結果に終わった。
でも、こんなのは全部自業自得だ。
誰を恨むことも出来やしない。
すべて、自分が蒔いた種だ。
こんな生き方しかできないのも、自分が悪いのだから。
――――それが、どうしようもなく寂しい。
「どうした、ミドー?」
声を掛けられ、ハッと聖は現実へ戻った。
ここは、Rホテルのゲストハウスだ。
ダグラスは聖の願いを聞き入れて、翌日強引に白子豪に面会するアポイントを捻じ込んだのだ。
仏頂面の執事を前に、ダグラスは小声で注意を促す。
「今回アポを取る為に、かなり強引に迫ったから。相手は不快に思っているだろう。本当に、大丈夫なのかい?」
心配そうな様子でソワソワする相手に微笑み返すと、聖は組んでいた脚を解いた。
それまで仏頂面だった執事がドアの方へ向き直り、主人を迎える為の動作に入ったからだ。
聖とダグラスも起立し、それに倣う。
――――どうやら、お出ましのようだ。
ガチャリとドアが開くと、如何にも育ちの良さそうなエリート然とした青年と、彼の前後を護るように、ボディガードと思しき男達が入室してきた。
首を垂れる執事の前の素通りした青年は、わざとらしいくらい露骨に聖を無視すると、隣にいたダグラスへと握手を求めた。
「どうも、バーグマンさん。この前の件ではご迷惑をおかけして申し訳ない。国に帰る前に、お会いできてよかったです」
「いえ、こちらこそ」
「貴方とは、今後とも是非お付き合いをしたいと思っていたところです。我が白山グループは、グローバルなショービジネスに注力する方針ですから」
ニッコリと笑い、力強い手でダグラスの手を握り締める。
子豪の全身から漲る自信の正体は、一度も挫折を知らないであろう御曹司特有のものだった。
(己の権力を信じて疑わない、お坊ちゃんって事だな)
今まで何が起ころうと、札束で全て解決出来たのだろう。
だから、今回もそれで済むと思っているに違いない。
(――――それじゃあ一つコイツに、世の中、金で解決できないこともあるんだって教えてやろうじゃないか)
聖は俯きながら、くっと笑った。
そうして、おもむろに顔を上げる。
両眼に力を入れ、嫣然と微笑みながら、真正面から子豪を見つめた。
時が、止まる。
「初めまして、白子豪さん。私はジュピタープロダクションの代表取締役をしております、御堂聖というものです」
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