彼が恋した華の名は:2

亜衣藍

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Poisonous flower

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「あんただって、それを承知で親父を呼び寄せたんだろうが!」

 一夏は激高すると、立ち竦んだままだった聖の頬を殴り付けようと、手を振り上げた。

 だが、その手は途中で止まる。

 涙に濡れる、綺麗に澄んだ碧瑠璃の瞳を目の当たりにして――――。

“ドキン”

 一夏の胸は、違う意味で高鳴った。

 そうして、可憐に零れる涙を目にして、口を突いて出た言葉は、またしても事前に用意していたセリフではなかった。

「――親父なんかどうでもいい」

「?」

「オレはあんたに……興味がある」

 言うと同時に、その美しく芳しい身体を引き寄せ、ギュッと抱き締めていた。

 聖は一瞬、抵抗するべきかどうかと悩むが、とりあえずその身を一夏へ預ける。

――――聖の肉体は、不思議な手触りをしていた。

 脂肪の薄い、腕の中のこの身体は、女とは明らかに違う。

 一夏はこれまで、肉感的でグラマーな女を好んで抱いていたが、そんなものと比べるまでもなく――この身体は、しなやかな強さを備えている引き締まった男の肉体なのだと分かる。

 しかし、ブヨブヨとした脂肪の付いていない身体は、逆に抱き締め甲斐がある。

 自分と同性であるにも拘らず、全く不快な感じはしない。

 一夏は一つひとつを確かめるように、背中から腰、そして尻へと手のひらを這わせた。

 見た目以上に張りのある、柔らかい肉体だ。

 たるんでいる箇所は一つもない。

 何より、手に吸い付いてくるような肌はしっとりと艶めいていて、とてもいい手触りがする。それに、めちゃくちゃ良い香りだ。

 女のように油臭い匂いではないので、ずっと嗅いでいられる。

 その事を自覚すると同時に、一夏は自分の雄芯が、いつの間にか限界まで勃起していることに気付く。

 無意識に、己のそれを腕の中の肉体へと擦りつけていた現実にハッとして、一夏は目を見開いた。

「あ、オレ――」

 これではまるで、盛りの付いたオス犬のようじゃないか!

 途端に一夏は顔を真っ赤にして、慌てて身体を離そうとする。

 そんな若者らしい正直な行動が、聖の琴線に触れた。

「お前……可愛いな」

「は!?」

「……そのまま、動くな」

 そう言うと、聖はするりと手を伸ばして、一夏の熱い雄芯を握った。

 そうして、相手の反応を待たずに、巧みに上下にしごく。

 到底、こらえ切れるものではなかった。

 一夏は小さく呻くと、熱い白濁をその手中へと放ってしまう。

――――だが、まだ足りない。

 背中へ回していた両手で聖の尻を掴むと、力加減をする余裕もなくめちゃくちゃに揉みしだく。同時に、密着していた身体の肩口へと、咬み付くようなキスをする。

 これにはたまらず、聖は抗議の声を上げた。

「おい! 痕がつくから、やめ……」

 だが、今度はその唇を塞ぐように、一夏の舌が深く潜り込んできた。

「ンッうぅ……」

 濡れる音と、糸を引いて滴る唾液。

 互いの唇が、充血して赤く染まる。

 息も絶えだえになりながら、聖は合間に囁く。

「――キスは、まぁまぁだな」

「ふん、余裕ぶってんじゃ……」

親父史郎の方は、もっと上手いけどな」

「!」

 煽るようなセリフに見事に反応し、一夏は掴んでいた尻肉を左右へ開いた。

 普段は外気に触れる事のない後孔に空気が触れ、聖は呻き声を上げる。

「や、め――」

「親父と比べんじゃねーよ! この……」

「……『この』なんだ?」
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