彼が恋した華の名は:2

亜衣藍

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真壁了、犬の生活🐕

真壁了、忠犬の日常🐕

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 きっと、大喜びでペロペロと美味しそうに舐めて食べただろう。

(ワン公、毛玉……)

 二匹そろって、ブンブンと尻尾を振って喜んでいる様子を想像すると、涙が溢れそうになって来て困る聖である。

 パッと顔を背け、聖はひらりと手を振ってみせた。

「――――まぁ、一度考えてみてくれ。犬に興味が無ければ、それで構わない」

 そう言うと、聖は颯爽とエントランスへ消えていった。

 真壁は当惑しながら、去っていくその背中へと再び頭を下げていた。

   🐕

 翌日、眠い目を擦りながら、真壁は車を走らせていた。

 彼は、あれから一晩じっくりと『生き物を飼う事』を考えていた。

 命あるものを飼う以上は、その生き物が天寿を全うするまで、しっかり責任を持って面倒を見なければならない。

 決して、生半可な覚悟で手を出していいものではない。

 社長秘書兼運転手、その他ジュピタープロダクションに在籍するタレントのマネージメントまで担当している真壁は、日々忙しい。

 そんな環境下でも、きちんと飼い犬に対して毎日愛情を持って接し、規則正しく散歩もさせることは可能であろうか?

「う~ん……家の方は問題ないんだが……」

 真壁のマンションは、聖のマンションほど広くはないが一応ペット可だ。

 大型犬でなければ、飼っていい事になっている。

 だが、ペットを飼った事のない身では、生き物を迎えるというのは二の足を踏む問題だ。

(しかし……これ以上気落ちしている聖さんの顔を見るのも忍びないしな……)

 この際、聖と一緒にペットショップへ行って、彼が好きな仔犬を選んでもらい、それを真壁が飼うというのはどうだろうか?

 それなら、「うちの子が聖さんに会いたがっているようです」というセリフを出せば、最強の殺し文句になる気がする。

(いいな、それは! オレのマンションに来てもらう、尤もな口実になるぞ)
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