87 / 90
真壁了、犬の生活🐕
真壁了、忠犬の日常🐕
しおりを挟む
きっと聖は、瞳をキラキラさせながら真壁の元を訪ねて来るだろう。
そのついでに、飼い主である真壁の方にも興味を持ってもらえれば万々歳だ。
これならモチベーションアップになるし、命を懸けて必ず犬を大切にする!
(うん、それなら四方丸く収まるぞ。奮発していいワインを用意しておけば、聖さんもご機嫌のままオレのマンションへ滞在してくれるかも……)
ゆったりとした部屋着姿で、自宅リビングのコタツでくつろいでいる聖の姿を想像するだけで、つい頬の緩む真壁である。
そうしてムフフっとほくそ笑んでいると、対岸の歩道をオラオラで歩くガラの悪い連中が目についた。
今時、まだあんなチーマーのような輩がいるのかと意識をそちらへ向けたところ、見知った顔が先頭にいることに気付く。
「あっ!」
「っ!?」
相手も、真壁に気付いたようだ。
そのまま道路を横断して近付いてくる様子に、真壁は仕方なしに路肩へ車を停車させる。
窓を開けて「何か用か?」と訊ねようとしたところ、向こうの方から口火を切って来た。
「久しぶりだな、オッサン」
「――ああ、そうだな」
声をかけてきた男は、先日互いに犬になっていた青菱一夏であった。
しかし一夏はあまり記憶が残っていないのか、ちょっと訝し気に首を傾げる。
「ええと、最後に会ったのは……ん? 青菱の本部だったか?」
ボクサー犬とポメラニアンになって、互いに腹を見せて聖に構ってアピールをしていた記憶は、やはり曖昧のようだ。
頭を振りながら、一夏は『そんな事はどうでもいいか』と言い、次に思いもかけぬことを口にした。
「オレの親父が、昨日から行方をくらましてんだ。お前、どっかで見なかったか?」
「親父? 青菱史郎のことか?」
「そうだよ。それ以外に誰がいるってんだ? お陰でこっちは、昨日から全構成員へ招集かけて秘密裏に探し回ってんだ。敵対する組織に拉致られたか、どっかの女の所へしけ込んでんのか……親父もマジで気紛れだからな……」
そのついでに、飼い主である真壁の方にも興味を持ってもらえれば万々歳だ。
これならモチベーションアップになるし、命を懸けて必ず犬を大切にする!
(うん、それなら四方丸く収まるぞ。奮発していいワインを用意しておけば、聖さんもご機嫌のままオレのマンションへ滞在してくれるかも……)
ゆったりとした部屋着姿で、自宅リビングのコタツでくつろいでいる聖の姿を想像するだけで、つい頬の緩む真壁である。
そうしてムフフっとほくそ笑んでいると、対岸の歩道をオラオラで歩くガラの悪い連中が目についた。
今時、まだあんなチーマーのような輩がいるのかと意識をそちらへ向けたところ、見知った顔が先頭にいることに気付く。
「あっ!」
「っ!?」
相手も、真壁に気付いたようだ。
そのまま道路を横断して近付いてくる様子に、真壁は仕方なしに路肩へ車を停車させる。
窓を開けて「何か用か?」と訊ねようとしたところ、向こうの方から口火を切って来た。
「久しぶりだな、オッサン」
「――ああ、そうだな」
声をかけてきた男は、先日互いに犬になっていた青菱一夏であった。
しかし一夏はあまり記憶が残っていないのか、ちょっと訝し気に首を傾げる。
「ええと、最後に会ったのは……ん? 青菱の本部だったか?」
ボクサー犬とポメラニアンになって、互いに腹を見せて聖に構ってアピールをしていた記憶は、やはり曖昧のようだ。
頭を振りながら、一夏は『そんな事はどうでもいいか』と言い、次に思いもかけぬことを口にした。
「オレの親父が、昨日から行方をくらましてんだ。お前、どっかで見なかったか?」
「親父? 青菱史郎のことか?」
「そうだよ。それ以外に誰がいるってんだ? お陰でこっちは、昨日から全構成員へ招集かけて秘密裏に探し回ってんだ。敵対する組織に拉致られたか、どっかの女の所へしけ込んでんのか……親父もマジで気紛れだからな……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
46
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる