彼が恋した華の名は：3

9 living hell

9-22

「御堂聖には、一糸まとわぬ全裸になってもらおう。そして、その姿のまま衆人環視の中でオナニーショーというのは楽しそうだと思わないか？」

「っ！」

「データの採取もその場で行えばいい。ゲストのいい余興にもなるし、一石二鳥だ」

　その場にいた、安蒜以外の全員がギョッとしたように目を見開いた。

　すぐさま、聖は『冗談じゃねぇ！』口を開きかけるが――そこをグッと堪えて、彼は口を噤んだ。

　多分、ここに居るもの、あと少しの我慢だろう。

　ここで暴れて、それこそ無理矢理生体データを取られるよりは、大人しくしていた方が利口だと思う。

　それに、これで合理的にジンの復讐のタイミングをズラす事も出来る。

　それこそ、凶行も無事に阻止できるだろう。

　こんなクズ相手に、ジンがこれ以上手を汚す必要などない。

（仕方がない。しばらくの間は我慢するか）

――――ここに至るにあたって、聖はスマホを所持する事を禁じらた為に、外部との連絡手段が無い。それはジンも同様だ。

　それなのに何故、聖はこの孤島から脱出できると確信しているのか？

（本当は、アテ・・にしちゃあならねぇんだけどな）

　舌打ちしたい気分を堪えていたら、逆に苦笑したくなってきた。

　だが、とにかく聖はこの場は素直に従うことにした。

「……約束しろ。ジンには手を出すな」

「健気だね、君は。ハハハ、良いだろう！　あの男には、先程の部屋でそのまま待機してもらうことにしよう」

　素直に拘束された聖を満足げに睥睨すると、安蒜は暴君さながら命令を下す。


「ゲストが揃い次第、ショーを開始する。それまでこの男を、地下室に閉じ込めておけ！」