彼が恋した華の名は:3

亜衣藍

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最終章

最終章-7

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 黒服はそう言うと、次に慇懃無礼な態度で聖を促す。

「どうぞ御堂様、主人並びにお客様方がお待ちで御座います。我々と共に参りましょう」

「――わかった」

 ここで時間稼ぎをする猶予は、もはや絶たれたようだ。

 聖は苦虫を嚙み潰したような表情で、渋々、男たちに囲まれながら部屋を後にした。

   ◇

「――皆様、お楽しみ頂けたでしょうか」

 司会役のスタッフの声に、興奮したような同意が返ってきた。

「ああ! やはり実物はいい!」

「全く同意です。写真やデータ表だけでは、やはりイメージが掴みづらいですからね」

「ほほほ、あたくしバイヤーとして参加しておりましたけど、ああいう見目の好いペットを作るのも良いかなと思いましたわ」

 客たちの楽し気な声を背景にしながら、生体データの見本としてステージに上がったモデルは、暗い表情で下がって行く。

 身体中余すことなく視姦された上、実際に秘めた場所まで弄り回された屈辱に、相当打ちひしがれた様子だ。

 こんな場所に出向くのだから、背に腹は代えられないような余程の事情があったのだろう。そこには、聖とは別の理由があったに違いないだろうが。

 だが、幾ら何でも、彼等はさすがにここまで披露する事は免除されていた。

「それでは皆様、いよいよ本日のメインイベントで御座います」

 その声に、ざわついていたサロンは静まる。

 興奮と期待で、客たちの目はギラギラと輝きだした。

「lady's & gentleman! 先程、オーナーよりご紹介ありました御堂聖様の登場に移ります。Special showとして、御堂様ご自身の自慰により、直接の生体データをこの場で採取する予定でございます」

 つまり、オナニー・ショーだ。

 下品な淫売見世で行われるような催しだが、演者は誰あろうあの御堂聖・・・だ。

『傾国の美女』
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