96 / 131
最終章
最終章-19
しおりを挟む
すると、聖と同時にプールに飛び込んだジンが、綾瀬にサポートされならバシャバシャと藻掻き水から顔を出す。
綾瀬は水面に浮かぶペットボトルに気付くと、すぐさまジンの脇の下へ差し込む。
「ふぅ、これで一安心かな」
「ゲホッ!ヴ……」
これで、さすがに聖にも分かった。
「そうか――お前、カナヅチだったか」
自分が泳げるものだから、配慮が足りなかった。
頭に血がのぼっていた所為か、そんなこと、考える事さえ思い浮かばなかった。
「二人とも、悪かったな……」
水面から上がってきた綾瀬とジンへ向かって素直に頭を下げた聖に、綾瀬の助手の青年が、バスタオルとジャージを差し出しながら口を開いた。
「どうぞ、これを着てください。念のため、所長の指示で着替えを用意してました。それから、向こうの入り江にボートを用意してあります。所長がマルサと取引をして、特別に見逃す手はずになっています」
「用意周到だな」
「……今回の事は、一番、謝らなければならないのはオレです。最初の、間違った内容の報告書を上げたのはオレなんです。本当に申し訳ありませんでした」
生意気そうな外見に似合わず、神妙な様子で頭を下げた青年に、聖は嘆息しながら首を振る。
「もういい。二番目の報告書は正しかったんだろう? ただ、オレにはそれを確認する時間が無かっただけだ――――しかし、この短時間で、よくもまぁマルサなんか動かせたな」
ジャージを着ながら疑問を口にすると、綾瀬が濡れたシャツを絞りながら答えた。
「元々、AHIRUは巨額脱税の容疑でマークされていたんだよ。あとは踏み込むだけの、証拠固めの段階だったらしい」
「脱税?」
「ああ」
「……そうだな、マルサが出るならそうなるか。しかし、てっきり俺は、裏の商売で足が付いて、人身売買の容疑で奴等はパクられるかと思ってたが……」
綾瀬は水面に浮かぶペットボトルに気付くと、すぐさまジンの脇の下へ差し込む。
「ふぅ、これで一安心かな」
「ゲホッ!ヴ……」
これで、さすがに聖にも分かった。
「そうか――お前、カナヅチだったか」
自分が泳げるものだから、配慮が足りなかった。
頭に血がのぼっていた所為か、そんなこと、考える事さえ思い浮かばなかった。
「二人とも、悪かったな……」
水面から上がってきた綾瀬とジンへ向かって素直に頭を下げた聖に、綾瀬の助手の青年が、バスタオルとジャージを差し出しながら口を開いた。
「どうぞ、これを着てください。念のため、所長の指示で着替えを用意してました。それから、向こうの入り江にボートを用意してあります。所長がマルサと取引をして、特別に見逃す手はずになっています」
「用意周到だな」
「……今回の事は、一番、謝らなければならないのはオレです。最初の、間違った内容の報告書を上げたのはオレなんです。本当に申し訳ありませんでした」
生意気そうな外見に似合わず、神妙な様子で頭を下げた青年に、聖は嘆息しながら首を振る。
「もういい。二番目の報告書は正しかったんだろう? ただ、オレにはそれを確認する時間が無かっただけだ――――しかし、この短時間で、よくもまぁマルサなんか動かせたな」
ジャージを着ながら疑問を口にすると、綾瀬が濡れたシャツを絞りながら答えた。
「元々、AHIRUは巨額脱税の容疑でマークされていたんだよ。あとは踏み込むだけの、証拠固めの段階だったらしい」
「脱税?」
「ああ」
「……そうだな、マルサが出るならそうなるか。しかし、てっきり俺は、裏の商売で足が付いて、人身売買の容疑で奴等はパクられるかと思ってたが……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
36
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる