彼が恋した華の名は:3

亜衣藍

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最終章

最終章-22

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 もしもあんたが捕まったら、結局困るのはあんた本人なんだし、第一また・・御堂聖を一人にする気なのか?

 冷静になって、その事を考えてみろ。

 こっちもマルサが調査を進めているという情報を掴んだから、手を打っておいた。

――――だから、あんたは大人しくここに居てくれと。

「マルサは、豊川と安蒜がどこに財産を隠しているのか密かに調べていた。だが場所を特定できずに、ずっと地団駄を踏んでいたらしい。親切なオレの友人が、その事を教えてくれた」

 綾瀬の前職は、警官だった。

 だから彼はその時に培った人脈を活かして、総力を挙げて情報を収集する事が出来たのだ。

「国税局は数年にかけてマークしていたにもかかわらず、AHIRUの資産隠しの決定的な確証が掴めず苦戦したらしい。だから、オレの取引に応じたんだよ。奴等の隠し財産の場所を教える代わりに、御堂聖と混血の男・・・・を救出する件は黙認するというのをね」

 帰国した安蒜と豊川が潜伏しているプライベートアイランドに、間違いなく多額の財産が隠されている。

 踏み込むなら、今だと。

「じゃあ、島に奴等の本当に隠し財産があるというのは、ハッタリか」

 呆れたような聖の声に、綾瀬は目を細めて笑った。

「まぁね。でも、案外本当だと思うよ? それに、マルサの強制捜査は裁判所の捜査令状を持って着手するんだ。正式な手続きを踏んだうえでの捜査は、対象者は拒否できない。例え捜査が空振りだったとしても、誰も文句は言えないよ」

 人海戦術のような徹底捜査なのだし、まさか証拠は0という事もないだろう。

 それに、徹底的に調べれば、他にも色々と後ろ暗い事が出て来るに違いない……。

 それを聞き、助手の佐々木も口を開いた。

「有名なギャングで大悪党のアル・カポネも、最初の主な容疑は脱税でしたね」

「そういうこと――さぁ、見えて来たよ」

 徐々に、崩れかけた教会と、入り江の小さな港が見えて来た。

 そこで、微動だにせず仁王立ちしている人影も。
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