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後日談
Eternal-4
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そんな抗議を無視しながら、史郎はそのまま聖を抱え上げた。
何度も利用しているこのホテル。
勝手知ったるもので、まるで我が家のような足取りで、史郎は聖を抱えたまま広いバスルームへと向かう。
「史郎! 最初にオレの質問に答えろ」
「分かったわかった」
言いながら、聖をバスの中へと座らせると、史郎は上ジャージのファスナーをシャッと下ろした。
流れるようなその作業に、聖は口を挟む隙も無い。
「おい!」
「ん?」
器用にジャージの上着を腕から抜いてやりながら、史郎は手を止める事なく問い返す。
「何を訊きたいってんだ?」
「だから、青菱の――おいっ!」
今度はシャワーを勢いよく頭から掛けられ、聖は怒って立ち上がろうとするが。
「危ないから座ってろ」
言うと同時に、肩に強い力が掛かり、聖の抵抗は封じられた。
そのままボディソープを頭から掛けられてしまい、動くにうごけなくなる。
「史郎、おまっ――ぷっ」
「口開けると泡が入るぞ。目も瞑ってろ」
「~」
ムッとするが、確かにこれでは動けないし喋れない。
それに、昨日から緊張状態がずっと続いていたので、ここに来てようやくホッとしているのも事実だ。
(海風に当たって、髪も服も潮の香りが染みついていたからな。マンションに帰ったら一番にシャワーで流そうと思っていたところだ……。ちょうどいいって言えば、そうだが)
だが、この男と一緒にいて、無事で済むはずがない。
『史郎、言っておくが――オレはヤルつもりはないからな』
と、念を押すつもりであるのだが、如何せん全身泡まみれになって洗われている状態にあっては、ロクに口を開く事が出来ない。
何度も利用しているこのホテル。
勝手知ったるもので、まるで我が家のような足取りで、史郎は聖を抱えたまま広いバスルームへと向かう。
「史郎! 最初にオレの質問に答えろ」
「分かったわかった」
言いながら、聖をバスの中へと座らせると、史郎は上ジャージのファスナーをシャッと下ろした。
流れるようなその作業に、聖は口を挟む隙も無い。
「おい!」
「ん?」
器用にジャージの上着を腕から抜いてやりながら、史郎は手を止める事なく問い返す。
「何を訊きたいってんだ?」
「だから、青菱の――おいっ!」
今度はシャワーを勢いよく頭から掛けられ、聖は怒って立ち上がろうとするが。
「危ないから座ってろ」
言うと同時に、肩に強い力が掛かり、聖の抵抗は封じられた。
そのままボディソープを頭から掛けられてしまい、動くにうごけなくなる。
「史郎、おまっ――ぷっ」
「口開けると泡が入るぞ。目も瞑ってろ」
「~」
ムッとするが、確かにこれでは動けないし喋れない。
それに、昨日から緊張状態がずっと続いていたので、ここに来てようやくホッとしているのも事実だ。
(海風に当たって、髪も服も潮の香りが染みついていたからな。マンションに帰ったら一番にシャワーで流そうと思っていたところだ……。ちょうどいいって言えば、そうだが)
だが、この男と一緒にいて、無事で済むはずがない。
『史郎、言っておくが――オレはヤルつもりはないからな』
と、念を押すつもりであるのだが、如何せん全身泡まみれになって洗われている状態にあっては、ロクに口を開く事が出来ない。
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