彼が恋した華の名は:3

亜衣藍

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後日談

Eternal-16

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 すると、悪戯をしていた史郎の手がピタリと止まった。

 そうしてバツが悪そうに、不承不承頷く。

「……ああ」

「やっぱりな。だから、罪滅ぼしでここまで協力したんだな」

 島から救い出したのが、聖だけではなくジン・・も一緒だったという点から確信していた。

 もちろん、探偵が気を利かせたというのもあるだろうが、それにしても、史郎の対応は妙に穏やかで不気味なくらいだった。

 助けても何の得にもならないジンの為に、弁護士を用意するよう探偵に依頼し、家庭裁判所へ就籍の手続きをするよう道筋を付けてやったり。

 らしくない史郎の行動に、彼にはそれだけをするだけの何か・・大きな理由が――――それに近い負い目のようなモノがあるのだと睨んだ。

 そうでもない限り、この史郎が、聖を寝取った男であるジンをわざわざ救うはずがない。

「意外だよ。あんたにも、罪悪感ってものがあったんだな」

 ましてや、フロランスフランス女の息子である『竹野仁』は既に死亡している。

 ならば、それこそ『赤羽新』は史郎とは無関係であるのに。

――――にもかかわらず、この傍若無人で知られた青菱史郎が、ジンに手を貸すとは。

「案外、あんたは人が善いんだな」

 揶揄する聖に向かい、史郎は面白くなさそうな顔で舌打ちをした。

「言っておくが、オレは戸籍売買については直接は係わってない。ただ、今は解散しているが……青菱会系の末端に、根岸一家っていう下部組織があったんだ。戸籍売買は、その根岸一家のシノギだった」

 だが、根岸一家の幹部数人が逮捕され、組は解散した。

 史郎は、その際に根岸側から入手した、戸籍売買の顧客名簿を一度だけ閲覧したのだが。

「竹野仁ってのに聞き覚えがあったから、赤坂でお前を※36ページ抱いた後に調べ直したのさ。すぐに、フランス女が買った戸籍だと分かったが……同時に、他にも竹野姓を購入した男児JINがいることや、どうやらフランス女の息子竹野仁に成りすましている男がいるらしい事も解ってな」

 どうも、かなり事態は複雑になっているようだと密かに調べさせたところ、竹野仁に成りすましているその男は、戸籍を共有するくらいに仁と親密な関係なのだと分かった。
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