【完結】記憶喪失の男の人を助けたら私のストーカーでした!?

十六原

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気まずい時間

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「…………」
「…………」

あの後。
私たちの間には沈黙が流れていた。正直に言うとかなり気まずい。何を話していいかさっぱり分からない。

さっき勢いで「お話聞きましょうか?」なんて言ってしまったことをちょっと後悔した。そもそも記憶喪失の人に何を聞くつもりだったんださっきの私は。

(何も考えずに勢いだけで行動する、私の悪い癖が出ちゃったな……)

さっきまではあんなにおどおどしていた男性はというと、ようやく少しリラックスできたらしく、表情がだいぶ柔らかくなったように見えた。でも、だからといって何かを喋るわけではなく、微笑みながらこちらをちらちらと見てくるだけ。もしかしたら、私が話を切り出すのを待っているのかもしれない。

「……さっきよりは多少落ち着いたみたいですけど、何か思い出せそうなこととかありますか?」
「え、ない……です、すみません。何も持ってないから手がかりになりそうなものとかもなくて……」
「謝ることじゃないですよ」
「あ、ありがとうございます。優しい……ですね」

無理やり会話を再開させると、男性はまた少し緊張したような顔になる。安心してもらえるようになるべく優しめの声で話しかけるように気をつけていたら、えへへ、と嬉しそうに男性が笑った。この人、笑うとけっこう幼く見える気がする。

「見たところ私と同年代くらいかなと思うんですけど、ご自分ではどれくらいの年齢だと思ってます?」
「そうですね、20代前半……もしかしたら10代後半くらい? に見えます。なんとなくですけど」
「なるほど、じゃあ年齢けっこう近そうです。まあ、だからなんだって話ですけどね」
「僕は嬉しいです! ……な、なんか親近感湧きますし……あなたとなら仲良くなれそう、です」

なんだそれ。

正直そう思ったけど、さすがに口には出さないでおいた。でも、この人、記憶喪失だっていうのにのんきすぎやしないか。さっきから私が質問しないと喋ろうとしないし。本当になんとかする気があるのだろうか。
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