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突然の告白

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寝る時間になっても、黒太郎くんはいつまでも私のことを心配していた。私がストーカーなんて話をしてしまったからだろうか。とにかく、ずっと私にべったりなのだ。そろそろ寝ようと言っても、なかなか手を離してくれない。
私がベッドに入ると、やっぱり彼も一緒に入ってきた。今日こそはちゃんとソファで寝てもらおうと思っていたのに、また言いくるめられてしまう。そのまま彼に抱きしめられていると、なんだか私も安心した気持ちになってくるから不思議だ。

「……ゆかりさん、今日もお疲れ様です」

優しい声で囁かれる。私は返事の代わりに、ぎゅっと強く抱きついた。

「ゆかりさん。僕、……あなたのこと……好きです」

突然そう言われて、一瞬思考が停止する。今、何と言ったのだろう。聞き間違いでなければ、彼は私のことが好きだと言わなかっただろうか。頭が混乱して、上手く言葉が出てこない。何か答えないと……。私が口を開こうとする前に、彼は続けて言った。

「愛してます」

私は驚いて顔を上げる。彼は相変わらず私のことをじっと見つめていた。真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうになる。私はその視線から逃れることができなかった。彼は私の頬に手を添えて、親指でゆっくりと唇に触れる。そして、もう一度言った。
僕と付き合ってくれませんか、と。
私はしばらく呆然としていたが、やがて我に返ると慌てて首を横に振った。無理だと思った。だって、記憶もない人と付き合うなんて考えられない。第一、私たちはお互いのことをほとんど知らない。それなのにいきなり恋人同士だなんて。
だけど、そんな考えとは裏腹に、彼の真剣な眼差しを見ると胸が締め付けられるような感覚に襲われた。それと同時に、胸の奥がじんわりと温かくなっていくような不思議な気持ちになる。この気持ちは何なのだろう。私は自分の心がわからなくなっていた。こんなのありえないと思う反面、どこか嬉しいと思っている自分もいる気がする。私もこの人のことが好きなのかもしれない。だけど、どうしてもそれを素直には受け入れられなくて。
しばらくの間沈黙が流れた後、彼は諦めたように小さくため息を吐くと、急に私を抱き寄せた。それから耳元でささやくように言う。

「僕はあなたと一緒にいられるだけで幸せなんです。だから、僕のそばにいてください」

気づいたら、彼の腕の中で、私は頷いていた。
結局私は彼の告白を受け入れることにしたのだ。記憶喪失の人に付け込むような真似をしてしまって、本当に申し訳ないと思う。それでも、彼の気持ちを知ってしまった以上、このまま無かったことにすることはできなかった。

「……嬉しい。ゆかりさん、こっち向いてください」

彼は少し照れたように微笑むと、私の頬に手を添える。私は目を閉じて、顔を少し上に向けた。すると、しばらくしてから唇に柔らかい感触が伝わってくる。それがキスだと気づくまで、それほど時間はかからなかった。
恥ずかしくて目を開けることができない。心臓の音がうるさいくらいに響いている。彼が顔を離すと、私はおずおずと目を開いた。目が合った瞬間、お互いに笑い出す。幸せすぎてどうにかなりそうだ。
彼は私の頭を撫でながら、優しく問いかけてきた。

「もっとゆかりさんに触れたいです……、……いいですか?」
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