運命を殺したい僕、運命を幸せにしたい俺

かりん

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10 呼び名に込めるのは祈り。

夕暮れ

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漸くちょっとエロいシーンになります。
よろしくお願いします
ーーー
(side光希)
「生徒会長、ごめん」

そう呼ばれ、俺はハッとした。嫌な予感がする。壮一郎は一体夏向に何を言ったんだ。

どうしていいのかわからない。今更ながら夏向が俺を『生徒会長』と呼ぶ意味。
俺が戸惑っていると、確信をつくように夏向は俺にお願いする。

「その手を、どうか離して欲しい……です」

そう言われて離せるわけがない。今離せば、夏向は俺の前から一生姿を表さないような気がした。急にいなくなったあの日みたいに。
やっと見つけたのに、いなくなってしまう。
それは今の俺に耐えられるものでは無い。

「嫌だ」
「嫌だって言われても……」

学校の廊下だけれど俺は強く夏向を抱きしめた。このあたりは俺のフェロモンが充満して誰も近付かなくなってる。不自然に人気の無い廊下だ。けれども好都合とばかりに背中と項に手を回して、夏向の頭に顔を埋めた。
俺の手の中で夏向ばバタバタと暴れる。それでも離さない俺に、観念したように夏向は呟いた。

「暑いです、だから」
「敬語もやめて」
「……」
「お願い、お願いだ。夏向。俺を見て」

夏向の顔が、鼻先が当たるくらいの近くで覗き込む。
色の薄い目が一瞬俺を見る。
夏向はそしてぎゅっと目を閉じた。
拒絶の反応、それに俺は耐えられなかった。

「夏向」
「……」

呼びかけても、返事はない。
暗い何かが、俺の心を侵食し闇に染めた。

ごめん。
俺は夏向の手を強く引っ張りとある場所に連れていく。
「ちょっと、やめ。だから僕は嫌だってば」
「黙って」
「……っ」

夏向は抵抗して暴れたけれど、強めにフェロモンを出し、大人しくさせる。
向かう先はもちろん決まってる。
学校の王者である俺の、縄張り。生徒会室だ。
そこは常時鍵がかかっていて、役員の俺じゃないと開けることが出来ない。ふわっと、扉の前から右代春都のフェロモンの残り香を感じて、余計に俺の心を嫉妬で満たした。
例のハトファイでの映像はライブ放送で生放送だ。さっきまで、そこにいたという実感が伴ってくる。

生徒会室の部屋はふたつあって、ひとつはいつも使う業務をこなす場所。そしてその奥に繋がるのは仮眠スペース。
俺はあまり使わないけれど……いつだったかの生徒会長が、自分の部屋にさえ帰るのが億劫だと言って作った部屋だ。
無駄に広くて、セミダブルくらいのベッドまでちゃんとある。薄暗い部屋の照明をつけて明るくする。ああ、そういえばもう夕暮れだ。そんなに時間が経っていたのか。

「んっ……」

夏向をベッドに放り出し、勢いよく口付ける。
優しいキスしかしなかったから、こうも乱暴なのは始めてだ。
今から俺は、夏向に酷いことをしてしまう。それは分かってる。けれども俺の中で散々我慢した心は暴れ出して止まらない。
知らなかった、俺のこんな本性。
発情期まで待つって言ったのは、どこの誰だろう。でも、発情期まで待っていても夏向はもう、俺の傍に居ないかもしれない。ならばギリギリ俺が手を離していない今しかない。
……今繋ぎ止めるしか無いはずだ。

「だめ、やめて……ん」
「口、開いて」

俺が命令しても、夏向は意地になりぐっと口を閉じている。


「夏向」

仕方ないので、代わりに夏向の上唇と下唇の境目を、ぺろりと舐めた。どうにか舌をねじ込もうと試みると、観念して夏向はうっすら口を開く。
その隙を逃さず舌を夏向の口内にいれた。
甘い、美味しい。唾液と舌が絡みつき、まるで新鮮な果実をかじったようだ。もっともっと味わいたい。
奥の方で縮こまってる夏向の舌を俺の舌で引っ張り出して、絡めとる。たまに夏向の舌が俺から逃げようとするが、逃がさない。
後頭部と背中をがっちり掴んで、キスを堪能した。自分があげたチョーカーが指に当たり、その存在をやっと思い出した。Ω用のチョーカーの中でも一番高性能のチョーカー。勿論値段もそれなりだが、俺は迷わずそれを選んだ。
このチョーカーは夏向にしか外すことが出来ないものだ。買った俺ですら外せない。夏向が番になってもいいと思う時にこのチョーカーは外れるだろう。

発情期以外では関係がないけれど……それでも、なんなら今すぐにでも夏向を発情させて俺のものにしたい。

途中何度も呼吸を挟んで一方通行なキスを続けていると、フェロモンでぐずぐずになった夏向からも積極的に舌を絡めてきた。
夏向の積極的なキスはテクニックがあって上手かった。俺には経験から来るテクニックは無い。強いαの、本能に従ったままのキスだ。

夏向が初めてでは無いのは知っていた。腸が煮えくり返る思いだが、それは夏向に向かってでは無い。俺が知らない、夏向を抱いた野郎を全員ぶちのめしたい。そんなαの、猛獣のような危険な思考回路が俺の頭を駆け巡る。

でも今はとにかく、夏向に俺の存在を刻みつけたかった。
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