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2部 光希と夏向のそれから
隠し事
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(side光希)
最近、夏向の様子が変だ。校内放送で職員室に呼び出された時からだ。俺が心配しないように気丈に振舞おうとするけれど……時々寂しそうな顔をしているのはバレバレだった。でも夏向は隠そうとする。
俺はどう話を切り出せば良いんだろう。普通に聞いても夏向ははぐらかす。
不安はそれだけでは無い。夏向は無自覚だが、あの壇上での発情事件の後、夏向が校内のαからモテだすようになってきた。貢物やお誘いが、ほとんどαからなのを夏向は気づいていない。
……まあ、近づく前に俺が遠ざけているから気づかないんだろうけど。
俺と夏向は正式にはまだ番にはなっていないから、狙えると思ってるんだろうな。俺と夏向は『運命』なのに、俺がどれだけ夏向をおとす事に全力を尽くしたと思ってるんだ。彼らには無理だろう……それでも嫉妬してしまうのはαの宿命なんだろうか。
ああ、それと。今日は夏向に言わなければいけない事もある。テーブルの上で宿題を広げている夏向に俺は話しかけた。
「夏向、ちょっといい?」
「なぁに?」
夏向は俺と視線を合わせるために顔を上げてくれる。俺はすっと夏向の隣に座った。夏向は俺のその仕草を目で追っていた。
「今、副会長が空席なのを知っているかな?」
「うん、知ってるよ。光希が副会長を決めるんだっけ?」
「そうだよ」
そう。この学園の生徒会役員は、生徒会長が決める。生徒会長は選挙で決定されるけれど……他の役員は、選挙では決まらない。
内閣総理大臣が国務大臣を任命するみたいな仕組みだなと俺も思う。
それは、もしかしたら早くに社会に適用しやすくする為なのかもしれない。
「それで、副会長なんだけど……藍からの強い推薦で、夏向に任せようかと考えている」
「……へ?」
俺がそう言った瞬間、夏向の右手からシャーペンが落ちる。夏向が浮かべた表情は困惑だった。驚かれるとは思っていたが、そこまでだったなんて。しかし、俺もここで話を止めては行けないと思い、話を続ける。
「きっと直ぐに発情したから……夏向は知らないだろうけど、あの演説はΩを中心に、多くの生徒の心を動かしたんだよ。だから夏向に相応しい、藍はそう感じたんだろう。俺はその演説を知らないけれど……生徒たちの反応は知っている。だから俺も同意した。ちなみにこれは、運命だから贔屓している訳では無いよ。寧ろ夏向に負担が増えるだろうから、申し訳無いくらいだ」
「えっと、でも……僕」
おどおどと視線を逸らす夏向に、異変を感じる。もしかしたら、最近様子が変なのと関係しているかもしれない。
「でも、何?」
「でも……えっと、とにかく僕に副会長は出来ない」
「なんでかな。どうしても嫌なら良いけれど……理由くらいはききたい。だって、君。俺に隠し事しているだろう?」
「隠し事……なんて」
「してないの、本当に?」
眉を顰めると、夏向の『ひっ』という小さな悲鳴が聞こえてきた。俺は分からないけれど……俺が睨む顔は、どうやら怖いらしい。けれど、だからといって、今は優しい顔をしてやるつもりは無い。
暫く時間が経過して、夏向は観念したようだ。『分かった言うから!!』と涙目になった。
「実は……今学期で、僕はこの学園を辞めないといけない」
「……え?」
頭ががんと、殴られたような衝撃。夏向が、この学園からいなくなる。それはあまりにも急なことだし、それを今まで俺に隠していた、というのも驚いた。
「なんで?」
最近、夏向の様子が変だ。校内放送で職員室に呼び出された時からだ。俺が心配しないように気丈に振舞おうとするけれど……時々寂しそうな顔をしているのはバレバレだった。でも夏向は隠そうとする。
俺はどう話を切り出せば良いんだろう。普通に聞いても夏向ははぐらかす。
不安はそれだけでは無い。夏向は無自覚だが、あの壇上での発情事件の後、夏向が校内のαからモテだすようになってきた。貢物やお誘いが、ほとんどαからなのを夏向は気づいていない。
……まあ、近づく前に俺が遠ざけているから気づかないんだろうけど。
俺と夏向は正式にはまだ番にはなっていないから、狙えると思ってるんだろうな。俺と夏向は『運命』なのに、俺がどれだけ夏向をおとす事に全力を尽くしたと思ってるんだ。彼らには無理だろう……それでも嫉妬してしまうのはαの宿命なんだろうか。
ああ、それと。今日は夏向に言わなければいけない事もある。テーブルの上で宿題を広げている夏向に俺は話しかけた。
「夏向、ちょっといい?」
「なぁに?」
夏向は俺と視線を合わせるために顔を上げてくれる。俺はすっと夏向の隣に座った。夏向は俺のその仕草を目で追っていた。
「今、副会長が空席なのを知っているかな?」
「うん、知ってるよ。光希が副会長を決めるんだっけ?」
「そうだよ」
そう。この学園の生徒会役員は、生徒会長が決める。生徒会長は選挙で決定されるけれど……他の役員は、選挙では決まらない。
内閣総理大臣が国務大臣を任命するみたいな仕組みだなと俺も思う。
それは、もしかしたら早くに社会に適用しやすくする為なのかもしれない。
「それで、副会長なんだけど……藍からの強い推薦で、夏向に任せようかと考えている」
「……へ?」
俺がそう言った瞬間、夏向の右手からシャーペンが落ちる。夏向が浮かべた表情は困惑だった。驚かれるとは思っていたが、そこまでだったなんて。しかし、俺もここで話を止めては行けないと思い、話を続ける。
「きっと直ぐに発情したから……夏向は知らないだろうけど、あの演説はΩを中心に、多くの生徒の心を動かしたんだよ。だから夏向に相応しい、藍はそう感じたんだろう。俺はその演説を知らないけれど……生徒たちの反応は知っている。だから俺も同意した。ちなみにこれは、運命だから贔屓している訳では無いよ。寧ろ夏向に負担が増えるだろうから、申し訳無いくらいだ」
「えっと、でも……僕」
おどおどと視線を逸らす夏向に、異変を感じる。もしかしたら、最近様子が変なのと関係しているかもしれない。
「でも、何?」
「でも……えっと、とにかく僕に副会長は出来ない」
「なんでかな。どうしても嫌なら良いけれど……理由くらいはききたい。だって、君。俺に隠し事しているだろう?」
「隠し事……なんて」
「してないの、本当に?」
眉を顰めると、夏向の『ひっ』という小さな悲鳴が聞こえてきた。俺は分からないけれど……俺が睨む顔は、どうやら怖いらしい。けれど、だからといって、今は優しい顔をしてやるつもりは無い。
暫く時間が経過して、夏向は観念したようだ。『分かった言うから!!』と涙目になった。
「実は……今学期で、僕はこの学園を辞めないといけない」
「……え?」
頭ががんと、殴られたような衝撃。夏向が、この学園からいなくなる。それはあまりにも急なことだし、それを今まで俺に隠していた、というのも驚いた。
「なんで?」
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