ソ連時代の児童文学を読んでみた!

江戸川ばた散歩

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4.チムール少年隊/アルカージー・ガイダール

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 今回読んだのは、岩波少年文庫の昭和32年版。
 先日入手した小学館の少年少女世界名作文学のソビエト編3には「チムールとその隊員」というタイトル。
 名作文学の方はそもそも「原作」と書いてある辺り、多少なりとも翻訳だけでなく改変が加えられているので、岩波の方で。
 大きな内容は変わらないんだけど、時々比較すると表現で「む」と思うところがあったり、「あれここ省略するんだ」というとこもあるのでね。

 物語は、アレクサンドロフ大佐の娘達、姉の18歳のオリガ(オーリャ)と妹の13歳のエヴゲーニヤ(ジェーニャ)がモスクワ付近の別荘にやってきたところから始まるんですね。
 基本は下のジェーニャがその地の少年達をまとめて「赤軍に出征した兵士の留守家族を見守って、時には手助けする」チムールという少年とその「隊員」達との話。
 並行して、チムールのおじであるゲオルギー・ガラーエフとオーリャが出会って何というかほのぼのと若者らしい何とやらな心の交流~というのもあるんですがね。
 まあそこは基本子供のための本なので。
 チムール達は「こっそり」活動しているので、赤い星の印をつけた出征家族、黒い星をつけた戦死者家族は何かと「ありゃまあいつのまに」薪が積み上げてあったり、井戸の水が汲んであったりするんですな。
 あと地域の大柄な不良少年と「軍事/政治委員(コミッサール)」「おやぶん/首領(アタマン)」と呼び合い(前者は岩波、後者は小学館)敵対関係にあったり。
 チムールの仲間が捕虜になったから、夜中に取り返しに行って、不良少年達を小屋に閉じ込めた後、さらしもの的な看板をつけておくとこは何というか(笑)。「飛ぶ教室」にも集団同士の争いはあるんですが、こっちは相談できる大人が居るのに対し、子供だけでやり合うあたりで、手加減もへったくれも無いよなあ、と。
 ジェーニャも彼等の仲間に入って、未亡人や子供のところに通ったり、女の子の隊員と友達になったり、とやってるんですが。
 そんな活動の意味をつゆ知らない姉さんのオリガは「あの子は元から何だけど、最近は特にどうかしてしまった! モスクワに帰さなくちゃ!」と息巻いたり。
 その彼女自身はゲオルギーとオートバイに乗ったり、音楽会で一緒に演奏したりしてるんですが。
 まあそんな時にモスクワに大佐が来るという電報が来る訳ですが。
 手違いでジェーニャの元に来るのが遅れたんですね。彼女はその時戦死者家族の子供を預かっていたし。
 どうしようどうしよう「最後の列車にも間に合わない!」と彼女は隊員に召集かける訳ですわ。
 そこでチムールはゲオルギーのバイクを持ち出し、後ろにジェーニャを乗せてモスクワまで走る訳ですよ。おい13歳ども!
 そこでジェーニャは父親の大佐にようやく再会できるし、チムールは今までの行動をオリガに説明できるし、と。
 だがそこで終わらないんですね。ゲオルギーが召集されまして。
 戦車隊の大尉の制服を着た彼を、チムールの隊員達50人以上で見送るのが最後の辺り。

 この「留守家族」や「戦死者家族」見守り運動がピオニールとかでも「チムール運動」とされてソ連中で行われた…… と岩波の解説にはあるんですがね。

 まあまたロシア版Wikiの翻訳交えて。
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%93%D0%B0%D0%B9%D0%B4%D0%B0%D1%80,_%D0%90%D1%80%D0%BA%D0%B0%D0%B4%D0%B8%D0%B9_%D0%9F%D0%B5%D1%82%D1%80%D0%BE%D0%B2%D0%B8%D1%87#%D0%9D%D0%B0%D0%B8%D0%B1%D0%BE%D0%BB%D0%B5%D0%B5_%D0%B8%D0%B7%D0%B2%D0%B5%D1%81%D1%82%D0%BD%D1%8B%D0%B5_%D0%BF%D1%80%D0%BE%D0%B8%D0%B7%D0%B2%D0%B5%D0%B4%D0%B5%D0%BD%D0%B8%D1%8F
 アルカディ・ペトロヴィチ・ガイダールは1904年生まれで、1941年に戦死してます。本名はゴリコフ。
 このチムールの話は、彼が亡くなる前年のものなんですね。

>1940年 - 4月初旬に脚本「ティムールとそのチーム」を完成させ、6月中旬からそれを基にした同名の物語を執筆し、8月中旬にクリンで完成させる。

 元々は映画の脚本として書いたものらしく、それをまた小説形式にしたのが、この話の様です。
 どうも続編も作られた様で、

>1941年 - 春、彼は「ティムールと彼のチーム」の続編である第2シリーズの脚本「ティムールの誓い」の作業を開始する[42]。 
 
ってのもありますな。
 映画化は1940年と1976年。あとテレビシリーズがある様ですね。
 東欧圏でのドラマ化とかも。
 1976年の映画はYouTubeで見られるみたいです。
https://www.youtube.com/watch?v=QTLzzt5PmVY

 ……まあこのWikiたどっていくとなかなか面白くてですね。
 彼自身に関しては、その後また「ボリスの冒険(原題「学校」)」を読んだ時にまた考えようかと思うんですが。
 彼の息子の名前がチムール。

>この映画の脚本は、同名の物語が創作される前の 1939 年末から 1940 年初頭にかけてアルカディ・ガイダルによって書かれた[1]。主人公(ティムールとジェーニャ)の名前は、作者の最初の結婚で生まれた息子の名前にちなんで付けられている。彼の二番目からの養女。

 息子と娘の名をつけたんですね……
 まあ、その前に別の名で書かれたものに、
以下チムール・ガイダルのWiki。

> ソ連の作家アルカディ・ペトロヴィチ・ガイダルと二番目の妻リア・ラザレヴナ・ソロミャンスカヤの息子である[2]。
 ティムール・ガイダルは、 1948 年にレニングラード高等海軍学校、軍事政治アカデミーのジャーナリズム学部を卒業しました。1954年のレーニン。彼はバルチック艦隊と太平洋艦隊の潜水艦に勤務しました。その後、彼は新聞「ソビエト・フリート」と「レッド・スター」で働き、1957年からは新聞「プラウダ」で軍事部門に勤務し、1972年からはその部長となり、自身も「プラウダ」特派員を務めた。 「キューバ、ユーゴスラビア、そしてアフガニスタンで。彼はモスクワニュースとイズベスチヤにも掲載されました」、パイオニア誌の編集委員のメンバーでした。彼は1965年から1971年までベオグラードで働いた[3]。

 この人がまた、

>彼は有名な作家P.P.バジョフの娘、アリアドネ・パブロフナ・バジョワと結婚し、息子は1992年にロシア政府議長を務めたエゴール・ティムロヴィッチ・ガイダル、養子はニキータ・マトヴェーヴィチ・バジョフであった。

 この間の「石の花」の作者パジョフの娘と結婚しているんですね……
 こういうのもあるから、調べたどっていくのは面白い!

 あ、ちなみにアルカージー・ガイダルの日本版Wikiはそもそもありません。息子のチムールも。
 が!
 彼の孫のWikiはあります。
 エゴール・ガイダルhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%AB
 政治家ですよ!

> 祖父のアルカジー・ガイダル(ゴリコフ)(1904-1941)は、内戦時代に「赤いコミッサール」として反革命派に対する情け容赦ない弾圧ぶりで恐れられ、後に人気児童文学作家になった。父親チムール(1926-1999)は海軍少将であり、作家としても知られた。母方の祖父は作家のパーヴェル・バジョフである。

 何というか何というか。
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