お隣まで何百メートルな地方のだらだら百合ライフ。

江戸川ばた散歩

文字の大きさ
43 / 65

第43話 5/2-A 遠州の石箕

しおりを挟む
 昨日に引き続き…… いやそれ以上に…… だ…… る…… い……
 この季節はだから嫌なんだー!
 ともかくワタシが格別何もしてなくとも、大気がどっ! と身体の上にのしかかってくるようで!
 起きてはだるく! 寝転んでもだるく!
 唐突に眠気は襲ってくるし!
 こういう時ホントに会社通いでなくて良かったと思う…… まあ今は通っていたとしてもテレワークだろーがなー。
 そんな中、こいつはまあ朝もはよからはなれの掃除をしちゃ、次のひご製作してやがった。
 この長さなら、まあたぶんかごよりは石箕だろな、とワタシにも想像つく。
 今はそうそう扱ってないけど、昔は小学校で、訳もわからず「いしみ」と呼んでいたそれだ。
 だいたい校庭の「石拾い」「草取り」になると必ず引っ張り出された。年季の入ったものだったけど、頑丈だった。
 ところがこれがいつの間にか店から姿を消した。
 というより、ワタシが大学のためにここを離れてる時にゃ、ホムセンでも見なくなったことに気付いた。
 同じ形のものはあっても、プラスチックの軽いものになってしまった。
 竹製のこの石箕が本当に使い勝手が良いのかどうか、小学校以来使っていないワタシには正直判らない。
 ただ重いものも軽いものも、何でもかんでも載せても大丈夫な安心感がある。
 修理もできる。プラスチックのものは一度壊したら使えない。今でこそぱっと買いにいけばそれっぽいものはあるけど、「これ」はさすがに無くなってしまった。

「……遠州の石箕だから?」
「何」
「いや、あんたが作り続ける理由」
「んー」

 一瞬手を止める。

「じーさんが教えてくれたのがこれってのが一番かな」
「伝統とかそーいうんじゃなくて?」
「まーそれもあるけど」
「ふうん?」
「箕っていうのはあちこちにあるんだよ。だけど元々それは豆とか種とか篩うもんでさ、重いもんに耐えるもんじゃねえの」
「そうなの?」
「別府で他の地方のものも教えてもらった」

 ほれ、と作業場の棚を指す。

「形は一緒だけど違うだろ? アタシ等の使ってた奴と」
「あー」

 手に取る。確かに。軽いし。

「でもここいらのじーさんばーさんは重いアレが結構欲しいんだよな」
「そっか」

 まあそんなら、も少し遠目にだらだらするべ。
 だるいのは変わらないんだけどな! だから茶の時に暑いと言われてもべたついてやる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...