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第28話 隣に座った白い帽子の女性
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「おお~っ打ったぁぁぁ」
イリジャは前の座席を思わず掴んで身を乗り出した。スタンド座席の、球が落ちたあたりでは歓声が上がっている。
「すげえじゃねえの。こっちのチーム」
「そう…… だね」
キディは生返事をする。彼は未だに、自分の正面に見えるベンチに座っているのが自分の相棒だ、という現実がよく理解できていなかった。
確かに相棒はこの街――― コアンファンに仕事に行く、と言ったはずだ。その仕事がこれだっていうのだろうか。
*
2アウトから、五番のテディベァルが、蜂蜜色の頭にヘルメットを乗せてバッターボックスに入った。肩につくかつかないか、程度の髪の毛は、量があるのか、ヘルメットからあちこちはみ出していた。
ふらふらとバットを揺らせながら、見逃しの三振。回は一回の裏に変わった。
「ほんじゃーいっちょ、守ってくるかあ」
テディベァルはバットをグラブに持ち替えると、自分のポジションであるレフトへと軽やかに走っていった。
「打たれるなよ?」
マーチ・ラビットはベンチを出て行くビーダーに向かって、半ば嫌みの混じった言葉を投げた。すると彼はにやり、とマーチ・ラビットに笑って返した。
主審の合図で、サンライズの攻撃が始まった。一番はライトのボトキンからだった。
スタンドから歓声が上がる。どうやらサンライズを応援する集団のものの様だった。観客は無論、対戦相手のことなど知らない。何となく不利だよな、とマーチ・ラビットは思った。
「監督、投球練習してきますよ」
「好きにしろ」
正直言って、ただベンチで座っている、というのは彼の性には合わなかった。替えの捕手のエンドローズを手招きすると、マーチ・ラビットはブルペンに入って行った。
何球か、キャッチボールをとりあえずとしていたら、ひゅん、という音が彼の耳には届いた。
いや、届いた様な気がしただけかもしれない。彼は思わずマウンドの方を見る。目を見張る。
「ストラックアウト!」
あっという間の三球三振だった。マーチ・ラビットは思わずその様子に目を取られる。二番打者も同様だった。三度、ヒュ・ホイの手の中に、乾いた音が響いたと思ったら、もうその打者の攻撃は終わっていた。
「すっげ~」
とエンドローズもその様子に目を見張る。練習の時にも何度かビーダーの投げっぷりは見てきたはずなのに。
「実戦になるとまるで違うじゃねーかよ……」
マーチ・ラビットは思わず目を細めた。
「俺こいつの後な訳?」
何となく、ビーダーに一試合任せたい様な気がしてきた。
三人目をゴロで打ち取り、ビーダーは駆け足気味にベンチへと戻ってくる。
「これじゃあ俺の出番なんてないよなあ」
やや皮肉を込めて言うマーチ・ラビットに、ビーダーは近づくと、にやり、と笑った。
「冗談じゃない」
その表情を目の当たりにした時、マーチ・ラビットはぎょっとした。
「俺はね、マーティ、あんたのピッチングを見たいのよ」
「俺よりずっと、正確で速いじゃないか」
「そういう問題じゃないんだよ」
口元を歪めてビーダーは笑った。だがマーチ・ラビットが驚いたのは、その笑顔ではなかった。目だ。
「お前さあ」
「ん?」
「投げてる時の目って、サメの様だぜ?」
「あれ、サメなんてよく知ってるね、マーティ」
ポケットに手を突っ込むと、ビーダーはベンチへ戻ろうとする。
「レーゲンボーゲンにはサメはいないのにさ」
*
「ここ、空いているかしら」
不意に声を掛けられ、キディは顔を上げた。通路に中年の女性が立っていた。隣の席。キディは自分の右隣をふっと見る。通路に面した場所に彼らは座っていた。
「あ、はい……」
前の方、とは言え、全部が全部埋まっている訳ではない。できるだけ仲間内で固まりたい、と思ってる者は、少し後ろに行っても皆で見ようと思うものである。キディの隣は、ちょうど一つぶん、席が空いていた。
ありがとう、と女性は言って、イリジャとキディの前を通してもらい、席に座った。
「お一人なんですか?」
「ええ。ベースボールが好きなの」
女性は、ややつばの広い、白い帽子をかぶり、すっきりとした筒型をした緑色のワンピースを身につけていた。白い、太いベルトがくっきりと映えている。
「お二人で見に来たの? ここの方?」
彼女はゆったりとした口調で訊ねる。
「いえ、ハルゲウから……」
「まあ、ずいぶんと遠くから……」
「ええ、でもたまには休み取ってもいいかな、って」
「そう…… 仕事熱心なのね」
ふふ、と女性は笑った。ひざに両肘を、あごをその上に乗せ、しばらく黙ってゆったりと試合を眺めていた。
キディはその様子を見ながら、何となく、右腕のあたりにむずむずするものを感じていた。
試合は三回の裏になっていた。二回になり、サンライズ側も一軍投手を出してきたことから、対戦チームもなかなか打てなくなった。スクェアは詰まって三塁にフライ。ペトローネが三遊間に打って一塁に出たが、その後のウィンディが三振、投手のストンウェルが犠牲フライに失敗して3アウト、チェンジ。
「あれ、あのストンウェルって投手、俺何か見覚えあるけど」
「それはそうでしょうね」
イリジャの声に、横の女性が応える様につぶやいたので、キディは驚いて顔を向けた。
「ご存じなんですか?」
「ええ。私ベースボール好きですからね。あなた方は、全星域リーグの方のことはご存じない?」
視線をグラウンドから離さず、彼女は続けた。
「あの投手は、私の目が正しければ、元コモドドラゴンズの投手、ノブル・ストンウェルだわ」
「ストンウェル……って言ってましたね」
「私はよく知っているわ。あの投手はあのチームに居た頃は、強烈な攻め方で有名だったから。普段は大人しい顔をしてるというのに」
「へえ……」
キディはオペラグラスを構え直し、投手の顔に焦点を合わせる。確かに、そこには厳しい表情があった。
いや、厳しいというよりは。キディは思う。凶暴だ。かっと敵を見据えるあの目。なのに笑みを浮かべているの様に見える口元。彼はふと背筋が寒くなる。
セットポジションから、サンライズの四番、スパーギンへの第一球……
カーン、と突き抜けた音が、場内に響いた。
「打ったー!!」
周囲の観客がおおおおおおおおおお、と声を上げ、腕を突き上げる。真芯で捕らえたストレートの速い球は、勢いもそのままに、レフトスタンドへと吸い込まれて行ったのだ。
キディはまだオペラグラスを握ったままだった。そのまま、ストンウェル投手の表情を追った。立ち上がりの一球を狙われたというのに、その口元は変わらず、不敵なまでの笑みを浮かべている。
「あのストンウェル投手はね、点を取られると、目が座るのよ」
「それは怖いなあ」
「イリジャも知っていたの?」
「や、見たことあるかなあ、って感じ。でもコモドドラゴンズのひとだったのかー。だったらきっと、昔TVか何かで見たんだろうなあ」
「あなたは見たことが無いかしら?」
女性は首を傾げて訊ねる。キディはオペラグラスを外し、彼女の方を見た。目線が合う。
「いえ」
女性はにっこりと笑った。
イリジャは前の座席を思わず掴んで身を乗り出した。スタンド座席の、球が落ちたあたりでは歓声が上がっている。
「すげえじゃねえの。こっちのチーム」
「そう…… だね」
キディは生返事をする。彼は未だに、自分の正面に見えるベンチに座っているのが自分の相棒だ、という現実がよく理解できていなかった。
確かに相棒はこの街――― コアンファンに仕事に行く、と言ったはずだ。その仕事がこれだっていうのだろうか。
*
2アウトから、五番のテディベァルが、蜂蜜色の頭にヘルメットを乗せてバッターボックスに入った。肩につくかつかないか、程度の髪の毛は、量があるのか、ヘルメットからあちこちはみ出していた。
ふらふらとバットを揺らせながら、見逃しの三振。回は一回の裏に変わった。
「ほんじゃーいっちょ、守ってくるかあ」
テディベァルはバットをグラブに持ち替えると、自分のポジションであるレフトへと軽やかに走っていった。
「打たれるなよ?」
マーチ・ラビットはベンチを出て行くビーダーに向かって、半ば嫌みの混じった言葉を投げた。すると彼はにやり、とマーチ・ラビットに笑って返した。
主審の合図で、サンライズの攻撃が始まった。一番はライトのボトキンからだった。
スタンドから歓声が上がる。どうやらサンライズを応援する集団のものの様だった。観客は無論、対戦相手のことなど知らない。何となく不利だよな、とマーチ・ラビットは思った。
「監督、投球練習してきますよ」
「好きにしろ」
正直言って、ただベンチで座っている、というのは彼の性には合わなかった。替えの捕手のエンドローズを手招きすると、マーチ・ラビットはブルペンに入って行った。
何球か、キャッチボールをとりあえずとしていたら、ひゅん、という音が彼の耳には届いた。
いや、届いた様な気がしただけかもしれない。彼は思わずマウンドの方を見る。目を見張る。
「ストラックアウト!」
あっという間の三球三振だった。マーチ・ラビットは思わずその様子に目を取られる。二番打者も同様だった。三度、ヒュ・ホイの手の中に、乾いた音が響いたと思ったら、もうその打者の攻撃は終わっていた。
「すっげ~」
とエンドローズもその様子に目を見張る。練習の時にも何度かビーダーの投げっぷりは見てきたはずなのに。
「実戦になるとまるで違うじゃねーかよ……」
マーチ・ラビットは思わず目を細めた。
「俺こいつの後な訳?」
何となく、ビーダーに一試合任せたい様な気がしてきた。
三人目をゴロで打ち取り、ビーダーは駆け足気味にベンチへと戻ってくる。
「これじゃあ俺の出番なんてないよなあ」
やや皮肉を込めて言うマーチ・ラビットに、ビーダーは近づくと、にやり、と笑った。
「冗談じゃない」
その表情を目の当たりにした時、マーチ・ラビットはぎょっとした。
「俺はね、マーティ、あんたのピッチングを見たいのよ」
「俺よりずっと、正確で速いじゃないか」
「そういう問題じゃないんだよ」
口元を歪めてビーダーは笑った。だがマーチ・ラビットが驚いたのは、その笑顔ではなかった。目だ。
「お前さあ」
「ん?」
「投げてる時の目って、サメの様だぜ?」
「あれ、サメなんてよく知ってるね、マーティ」
ポケットに手を突っ込むと、ビーダーはベンチへ戻ろうとする。
「レーゲンボーゲンにはサメはいないのにさ」
*
「ここ、空いているかしら」
不意に声を掛けられ、キディは顔を上げた。通路に中年の女性が立っていた。隣の席。キディは自分の右隣をふっと見る。通路に面した場所に彼らは座っていた。
「あ、はい……」
前の方、とは言え、全部が全部埋まっている訳ではない。できるだけ仲間内で固まりたい、と思ってる者は、少し後ろに行っても皆で見ようと思うものである。キディの隣は、ちょうど一つぶん、席が空いていた。
ありがとう、と女性は言って、イリジャとキディの前を通してもらい、席に座った。
「お一人なんですか?」
「ええ。ベースボールが好きなの」
女性は、ややつばの広い、白い帽子をかぶり、すっきりとした筒型をした緑色のワンピースを身につけていた。白い、太いベルトがくっきりと映えている。
「お二人で見に来たの? ここの方?」
彼女はゆったりとした口調で訊ねる。
「いえ、ハルゲウから……」
「まあ、ずいぶんと遠くから……」
「ええ、でもたまには休み取ってもいいかな、って」
「そう…… 仕事熱心なのね」
ふふ、と女性は笑った。ひざに両肘を、あごをその上に乗せ、しばらく黙ってゆったりと試合を眺めていた。
キディはその様子を見ながら、何となく、右腕のあたりにむずむずするものを感じていた。
試合は三回の裏になっていた。二回になり、サンライズ側も一軍投手を出してきたことから、対戦チームもなかなか打てなくなった。スクェアは詰まって三塁にフライ。ペトローネが三遊間に打って一塁に出たが、その後のウィンディが三振、投手のストンウェルが犠牲フライに失敗して3アウト、チェンジ。
「あれ、あのストンウェルって投手、俺何か見覚えあるけど」
「それはそうでしょうね」
イリジャの声に、横の女性が応える様につぶやいたので、キディは驚いて顔を向けた。
「ご存じなんですか?」
「ええ。私ベースボール好きですからね。あなた方は、全星域リーグの方のことはご存じない?」
視線をグラウンドから離さず、彼女は続けた。
「あの投手は、私の目が正しければ、元コモドドラゴンズの投手、ノブル・ストンウェルだわ」
「ストンウェル……って言ってましたね」
「私はよく知っているわ。あの投手はあのチームに居た頃は、強烈な攻め方で有名だったから。普段は大人しい顔をしてるというのに」
「へえ……」
キディはオペラグラスを構え直し、投手の顔に焦点を合わせる。確かに、そこには厳しい表情があった。
いや、厳しいというよりは。キディは思う。凶暴だ。かっと敵を見据えるあの目。なのに笑みを浮かべているの様に見える口元。彼はふと背筋が寒くなる。
セットポジションから、サンライズの四番、スパーギンへの第一球……
カーン、と突き抜けた音が、場内に響いた。
「打ったー!!」
周囲の観客がおおおおおおおおおお、と声を上げ、腕を突き上げる。真芯で捕らえたストレートの速い球は、勢いもそのままに、レフトスタンドへと吸い込まれて行ったのだ。
キディはまだオペラグラスを握ったままだった。そのまま、ストンウェル投手の表情を追った。立ち上がりの一球を狙われたというのに、その口元は変わらず、不敵なまでの笑みを浮かべている。
「あのストンウェル投手はね、点を取られると、目が座るのよ」
「それは怖いなあ」
「イリジャも知っていたの?」
「や、見たことあるかなあ、って感じ。でもコモドドラゴンズのひとだったのかー。だったらきっと、昔TVか何かで見たんだろうなあ」
「あなたは見たことが無いかしら?」
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