〈完結〉婚約破棄を力技で破棄させた理由と結果。

江戸川ばた散歩

文字の大きさ
2 / 24

1 第一王子殺害事件の実行犯

しおりを挟む
「まずは最初に一つ申し上げたいことがございます」

 王族、貴族達がずらりと銘々に何かしらの席を作り座っている真ん中に、アンネリアとハリエット・ランジア子爵令嬢の席が対面に作られている。
 ハリエットはこの「皇帝の代理人」に対し、しゃんと姿勢を正し、真っ直ぐ見据えながら告げる。

「七年前、この国では第一王子と王女が襲撃され、第一王子の殺害、王女が行方不明になる、という事件がございました」
「ああ」

 確かに、とアンネリアはうなづく。 
 周囲の貴族達も、

「あの事件が無ければ……」
「あれはおいたわしかった」
「妾妃腹とはいえ、非常に賢い方でいらしたのに……」

 等々の声があちこちでざわつく。

「私は、あの襲撃の実行犯の一人でございます」
「何だと」

 アンネリアもさすがにそれには本気で驚いた。
 彼女はそれまでも様々な、この国における現在につながる過去の問題をあぶり出してきた。
 資料と共に三年だ。
 だがこの事件については、どう所々にもやがかかっていて、これという答えが見えてこなかったのだ。

「其方が実行犯。だがハリエット、其方は現在幾つだ?」
「二十歳になります」

 アンネリアはそれは無いだろう、とばかりに首を横に振る。

「それでは当時はまだ十三歳。それでいて、実行犯だったというのか? 見張りとかそういうものだったか?」
「いえ、妾妃様の離れの邸宅で、使用人をこの手で幾人か殺害しております」
「其方がか」
「私と、その仲間です」
「仲間」
「私は、海を越えた砂漠の国、シェラジアの傭兵集団に属しておりました」

 !
 シェラジア。
 その国の名を聞いてアンネリアは驚く。
 彼女が忠誠を置く帝国は、大陸の大半を擁しているが、それが世界の全てではない。
 彼女自身の故郷である南西の辺境領とは海を挟んだ南側に、また別の大陸が存在するのだ。
 南の大陸、と仮に呼ばれているが、その中身に関してはまだ帝国からしても謎が多い存在である。
 ただ、海一つ越えれば良いだけに、その砂漠の国「シェラジア」のことはアンネリアも多少は知っていた。
 その国の傭兵集団のことも。

「成る程それは興味深い。詳しく聞かせてもらいたいものだ」

 彼女は身を乗り出す。

「では聞こう。七年前、其方達を雇ったのは誰だ?」
「そこで先ほど屍と化した、第二王子、現在の王太子だった男です」

 ざわめきはどよめきに変わった。
 アンネリアの背後に席を作り並び座る国王夫妻の顔色はみるみるうちに変わっていった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

《完結》初夜をすっぽかされた令嬢は夫を死亡扱いする

さんけい
恋愛
クズ夫の非常識を帳簿で粛々と清算!真実の愛?笑わせるわね! 全14話。

【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?

チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。 そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。 約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。 しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。 もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。 リディアは知らなかった。 自分の立場が自国でどうなっているのかを。

病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪

鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。 「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」 だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。 濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが… 「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話

ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。 完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

愛する義兄に憎まれています

ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。 義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。 許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。 2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。 ふわっと設定でサクっと終わります。 他サイトにも投稿。

処理中です...