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1 第一王子殺害事件の実行犯
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「まずは最初に一つ申し上げたいことがございます」
王族、貴族達がずらりと銘々に何かしらの席を作り座っている真ん中に、アンネリアとハリエット・ランジア子爵令嬢の席が対面に作られている。
ハリエットはこの「皇帝の代理人」に対し、しゃんと姿勢を正し、真っ直ぐ見据えながら告げる。
「七年前、この国では第一王子と王女が襲撃され、第一王子の殺害、王女が行方不明になる、という事件がございました」
「ああ」
確かに、とアンネリアはうなづく。
周囲の貴族達も、
「あの事件が無ければ……」
「あれはおいたわしかった」
「妾妃腹とはいえ、非常に賢い方でいらしたのに……」
等々の声があちこちでざわつく。
「私は、あの襲撃の実行犯の一人でございます」
「何だと」
アンネリアもさすがにそれには本気で驚いた。
彼女はそれまでも様々な、この国における現在につながる過去の問題をあぶり出してきた。
資料と共に三年だ。
だがこの事件については、どう所々にもやがかかっていて、これという答えが見えてこなかったのだ。
「其方が実行犯。だがハリエット、其方は現在幾つだ?」
「二十歳になります」
アンネリアはそれは無いだろう、とばかりに首を横に振る。
「それでは当時はまだ十三歳。それでいて、実行犯だったというのか? 見張りとかそういうものだったか?」
「いえ、妾妃様の離れの邸宅で、使用人をこの手で幾人か殺害しております」
「其方がか」
「私と、その仲間です」
「仲間」
「私は、海を越えた砂漠の国、シェラジアの傭兵集団に属しておりました」
!
シェラジア。
その国の名を聞いてアンネリアは驚く。
彼女が忠誠を置く帝国は、大陸の大半を擁しているが、それが世界の全てではない。
彼女自身の故郷である南西の辺境領とは海を挟んだ南側に、また別の大陸が存在するのだ。
南の大陸、と仮に呼ばれているが、その中身に関してはまだ帝国からしても謎が多い存在である。
ただ、海一つ越えれば良いだけに、その砂漠の国「シェラジア」のことはアンネリアも多少は知っていた。
その国の傭兵集団のことも。
「成る程それは興味深い。詳しく聞かせてもらいたいものだ」
彼女は身を乗り出す。
「では聞こう。七年前、其方達を雇ったのは誰だ?」
「そこで先ほど屍と化した、第二王子、現在の王太子だった男です」
ざわめきはどよめきに変わった。
アンネリアの背後に席を作り並び座る国王夫妻の顔色はみるみるうちに変わっていった。
王族、貴族達がずらりと銘々に何かしらの席を作り座っている真ん中に、アンネリアとハリエット・ランジア子爵令嬢の席が対面に作られている。
ハリエットはこの「皇帝の代理人」に対し、しゃんと姿勢を正し、真っ直ぐ見据えながら告げる。
「七年前、この国では第一王子と王女が襲撃され、第一王子の殺害、王女が行方不明になる、という事件がございました」
「ああ」
確かに、とアンネリアはうなづく。
周囲の貴族達も、
「あの事件が無ければ……」
「あれはおいたわしかった」
「妾妃腹とはいえ、非常に賢い方でいらしたのに……」
等々の声があちこちでざわつく。
「私は、あの襲撃の実行犯の一人でございます」
「何だと」
アンネリアもさすがにそれには本気で驚いた。
彼女はそれまでも様々な、この国における現在につながる過去の問題をあぶり出してきた。
資料と共に三年だ。
だがこの事件については、どう所々にもやがかかっていて、これという答えが見えてこなかったのだ。
「其方が実行犯。だがハリエット、其方は現在幾つだ?」
「二十歳になります」
アンネリアはそれは無いだろう、とばかりに首を横に振る。
「それでは当時はまだ十三歳。それでいて、実行犯だったというのか? 見張りとかそういうものだったか?」
「いえ、妾妃様の離れの邸宅で、使用人をこの手で幾人か殺害しております」
「其方がか」
「私と、その仲間です」
「仲間」
「私は、海を越えた砂漠の国、シェラジアの傭兵集団に属しておりました」
!
シェラジア。
その国の名を聞いてアンネリアは驚く。
彼女が忠誠を置く帝国は、大陸の大半を擁しているが、それが世界の全てではない。
彼女自身の故郷である南西の辺境領とは海を挟んだ南側に、また別の大陸が存在するのだ。
南の大陸、と仮に呼ばれているが、その中身に関してはまだ帝国からしても謎が多い存在である。
ただ、海一つ越えれば良いだけに、その砂漠の国「シェラジア」のことはアンネリアも多少は知っていた。
その国の傭兵集団のことも。
「成る程それは興味深い。詳しく聞かせてもらいたいものだ」
彼女は身を乗り出す。
「では聞こう。七年前、其方達を雇ったのは誰だ?」
「そこで先ほど屍と化した、第二王子、現在の王太子だった男です」
ざわめきはどよめきに変わった。
アンネリアの背後に席を作り並び座る国王夫妻の顔色はみるみるうちに変わっていった。
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