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10 異母きょうだいとの違い
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「異母きょうだいであるアルマ様とリタリット様は、控えめな妾妃様の性質を継がれてか、自分達に仕える者達の気持ちをよく汲んでいたと聞いています。
正直言えば、我々フットサム王子の配下の者は、向こう側の同じ立場の者達に対し、羨ましく感じておりました。
きちんと理を尽くして諫めれば素直に反省する気持ち、自分の非を認め改善する潔さ。
そして何より、侍従達をきちんと自分と同じ人と認めていたことです。
無論身分や立場はあります。
が、それでもそこを除けば同じ人間である以上、自分の態度により喜び怒り悲しむ存在であるということはきちんと把握しておりました。
ごく当たり前に。
それはリタリット王女も同様でした。
生きておられれば現在十八。花も盛りの頃でしょう。
自分も何度かたまたまお目にかかったことがあります。
よく駆け回るのが好きな方で、自分にぶつかったことが。
そんな時もまず、王女はこうすぐに口にできた。ぶつかってごめんなさい、と。
無論それはアルマ王子も同様でした。
馬の通り道がちょうど同じだった時、こちらが急ぎの用事だった時には構わないから早く行くがいい、と当たり前の様に言って下さいました。
フットサム王子でしたら、まずこう仰ったでしょう『何故そこに居るんだ』と。
そうなれば、自然フットサム王子の方が悪く言われてしまうのも仕方が無いことです。
あの方に必要だったのは、自分も含めた――いや、もっと前からの周囲が、王子のその性質に気付き、『それは違う、だからこの時にはこう動きなさい』と現実と自身の感じ方との折り合いの付け方を教えることだったのですが――
残念ながら、フットサム王子は、王子だったがために、それが自覚されず、そして指摘もされずに来ました。
その結果が『王妃の子である自分が妾妃の子であるあの二人より皆から慕われるのはおかしい』という思い込みです。
部分的には正しいでしょう。身分という点では。
ですが、仕える喜びを感じられるのはどちらか、という人望に関しては、圧倒的にアルマ様の方が上だったのです。
しかし何故『そう』なのか、フットサム王子には判らない。理解できない。
そして『それは間違いだ』『間違いは正さなくてはならない』となります。
結果として、あの襲撃があったのです。
そう、あの襲撃について、おそらく誰かがフットサム王子に後に尋ねたならば、『自分がやった。当然のことだから』と答えたでしょう。
ですが、誰もそれを王子に聞かなかった。
可能性はあっても、誰も聞けなかった。
そしてフットサム王子にしてみれば、当然のことだから、その後も平然と日々を過ごしている。
平然としているから、さすがにそこまでは、と皆思う。結果として聞けない。
堂々巡りです。
自分はその襲撃時には十五、弱々しい故に参加させられませんでした。
ですが、戻ってきた配下の者達を見て、何があったのかは想像出来ました。
そして翌日の騒ぎです。確信できました。
それから数日して、弱った少女が居ることを自分は知ったのです」
正直言えば、我々フットサム王子の配下の者は、向こう側の同じ立場の者達に対し、羨ましく感じておりました。
きちんと理を尽くして諫めれば素直に反省する気持ち、自分の非を認め改善する潔さ。
そして何より、侍従達をきちんと自分と同じ人と認めていたことです。
無論身分や立場はあります。
が、それでもそこを除けば同じ人間である以上、自分の態度により喜び怒り悲しむ存在であるということはきちんと把握しておりました。
ごく当たり前に。
それはリタリット王女も同様でした。
生きておられれば現在十八。花も盛りの頃でしょう。
自分も何度かたまたまお目にかかったことがあります。
よく駆け回るのが好きな方で、自分にぶつかったことが。
そんな時もまず、王女はこうすぐに口にできた。ぶつかってごめんなさい、と。
無論それはアルマ王子も同様でした。
馬の通り道がちょうど同じだった時、こちらが急ぎの用事だった時には構わないから早く行くがいい、と当たり前の様に言って下さいました。
フットサム王子でしたら、まずこう仰ったでしょう『何故そこに居るんだ』と。
そうなれば、自然フットサム王子の方が悪く言われてしまうのも仕方が無いことです。
あの方に必要だったのは、自分も含めた――いや、もっと前からの周囲が、王子のその性質に気付き、『それは違う、だからこの時にはこう動きなさい』と現実と自身の感じ方との折り合いの付け方を教えることだったのですが――
残念ながら、フットサム王子は、王子だったがために、それが自覚されず、そして指摘もされずに来ました。
その結果が『王妃の子である自分が妾妃の子であるあの二人より皆から慕われるのはおかしい』という思い込みです。
部分的には正しいでしょう。身分という点では。
ですが、仕える喜びを感じられるのはどちらか、という人望に関しては、圧倒的にアルマ様の方が上だったのです。
しかし何故『そう』なのか、フットサム王子には判らない。理解できない。
そして『それは間違いだ』『間違いは正さなくてはならない』となります。
結果として、あの襲撃があったのです。
そう、あの襲撃について、おそらく誰かがフットサム王子に後に尋ねたならば、『自分がやった。当然のことだから』と答えたでしょう。
ですが、誰もそれを王子に聞かなかった。
可能性はあっても、誰も聞けなかった。
そしてフットサム王子にしてみれば、当然のことだから、その後も平然と日々を過ごしている。
平然としているから、さすがにそこまでは、と皆思う。結果として聞けない。
堂々巡りです。
自分はその襲撃時には十五、弱々しい故に参加させられませんでした。
ですが、戻ってきた配下の者達を見て、何があったのかは想像出来ました。
そして翌日の騒ぎです。確信できました。
それから数日して、弱った少女が居ることを自分は知ったのです」
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