12 / 24
11 ハリエットとの出会い
しおりを挟む
「フットサム王子をお起こしするのは当番制でした。
そしてその日は自分が当番でした。
寝台の上には、痩せ細り、王子の体液やら何やらで汚れた少女がぐったりとしていました。
うっすらと開けた瞳が自分を見た時、その美しさに自分の心臓が跳ねました。
その自分の様子に王子はむっとしたのでしょう。
朝は淡々と作業をこなされるのが王子の予定でしたから。
ええ、ですから他の侍従は彼女が居ても何も言わず作業をしていたのでしょう。
ですがその時自分は、このままではこの少女は死んでしまう、と思ったのです。
そこで精一杯、この少女を助けつつ、王子を怒らせない方法を考えました。
王子にとって少女は何なのか。おそらくは玩具なのだろう。『そろそろ壊れそうだ』と仰いましたから。
そこで自分は、半ば賭けでこう言いました。『少し手入れすれば、まだ使えますよ』と。
少しでもフットサム王子がその『玩具』が壊れることが勿体無い、と思っていればこの言葉に乗るかもしれない。
別のものでいい、と思ったなら自分に叱責が飛ぶだろう、と思いつつ。
ありがたいことに、前者でした。
何処で手に入れたのか、という問いに王子は傭兵の生き残りだ、とあっさり答えました。
王子にはそういうところもありました。
確かに予定を遮られると怒りますが、こちらの質問には頓着なく答えるのです。
王子は我々も人とは感じていないので、答えたところで何でもないと思っていらしたのでしょう。
自分はそれをいいことに、率直にこの少女が王子を殺す危険は無いのか、彼女が王子と結んだ契約は、等々を聞き出しました。
彼女に充分な食事を与え、湯浴みをさせ、清潔な衣服を着せたら、思った通り、いえそれ以上に、自分が夢見た美しい少女の姿になりました。
そして王子はその仕上がりに満足し、自分を彼女付きにしました。
これは二つの意味で非常にありがたいことでした。
一つは、王子直属でないことで、自分自身のストレスが減ること。
二つ目は、何と言っても、この美しい少女の世話ができることです。
無論、夜には王子の寝室に送り出さねばならないし、苛立った王子に彼女が殴られることもありました。
ですが、何もされないよりましです。
彼女はそもそも殴られるにしても、訓練ができていたせいか、非常に上手くかわしていました。
王子は彼女の顔を気に入っていたので、顔は決して殴りませんでした。
専らその腕を取って壁に叩きつけたりするのが多かったのです。
とは言え、彼女、ハリエット嬢自身からその素性や好みやして欲しくないこと等を聞き出すのは、至難の業でした。
何せ基本的に口が固いのです。
それは訓練によるものでしたので仕方がありません。
それでも一年二年と経つうちに、ぼつぼつと自分のことを話してくれる様になりました。
ええ、彼女にしても、自分のことを目的に使える駒と踏んでくれたのでしょう。
望むところでした」
そしてその日は自分が当番でした。
寝台の上には、痩せ細り、王子の体液やら何やらで汚れた少女がぐったりとしていました。
うっすらと開けた瞳が自分を見た時、その美しさに自分の心臓が跳ねました。
その自分の様子に王子はむっとしたのでしょう。
朝は淡々と作業をこなされるのが王子の予定でしたから。
ええ、ですから他の侍従は彼女が居ても何も言わず作業をしていたのでしょう。
ですがその時自分は、このままではこの少女は死んでしまう、と思ったのです。
そこで精一杯、この少女を助けつつ、王子を怒らせない方法を考えました。
王子にとって少女は何なのか。おそらくは玩具なのだろう。『そろそろ壊れそうだ』と仰いましたから。
そこで自分は、半ば賭けでこう言いました。『少し手入れすれば、まだ使えますよ』と。
少しでもフットサム王子がその『玩具』が壊れることが勿体無い、と思っていればこの言葉に乗るかもしれない。
別のものでいい、と思ったなら自分に叱責が飛ぶだろう、と思いつつ。
ありがたいことに、前者でした。
何処で手に入れたのか、という問いに王子は傭兵の生き残りだ、とあっさり答えました。
王子にはそういうところもありました。
確かに予定を遮られると怒りますが、こちらの質問には頓着なく答えるのです。
王子は我々も人とは感じていないので、答えたところで何でもないと思っていらしたのでしょう。
自分はそれをいいことに、率直にこの少女が王子を殺す危険は無いのか、彼女が王子と結んだ契約は、等々を聞き出しました。
彼女に充分な食事を与え、湯浴みをさせ、清潔な衣服を着せたら、思った通り、いえそれ以上に、自分が夢見た美しい少女の姿になりました。
そして王子はその仕上がりに満足し、自分を彼女付きにしました。
これは二つの意味で非常にありがたいことでした。
一つは、王子直属でないことで、自分自身のストレスが減ること。
二つ目は、何と言っても、この美しい少女の世話ができることです。
無論、夜には王子の寝室に送り出さねばならないし、苛立った王子に彼女が殴られることもありました。
ですが、何もされないよりましです。
彼女はそもそも殴られるにしても、訓練ができていたせいか、非常に上手くかわしていました。
王子は彼女の顔を気に入っていたので、顔は決して殴りませんでした。
専らその腕を取って壁に叩きつけたりするのが多かったのです。
とは言え、彼女、ハリエット嬢自身からその素性や好みやして欲しくないこと等を聞き出すのは、至難の業でした。
何せ基本的に口が固いのです。
それは訓練によるものでしたので仕方がありません。
それでも一年二年と経つうちに、ぼつぼつと自分のことを話してくれる様になりました。
ええ、彼女にしても、自分のことを目的に使える駒と踏んでくれたのでしょう。
望むところでした」
11
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?
チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。
そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。
約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。
しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。
もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。
リディアは知らなかった。
自分の立場が自国でどうなっているのかを。
病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』
メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。
【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪
鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。
「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」
だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。
濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが…
「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる