15 / 24
14 美しさは力
しおりを挟む
「引っ立てよ」
アンネリアは命令する。
気になっていた、パーティ会場の後ろに居た二人組。
一人は黒衣の騎士らしいが、もう一人。
「逃げはしない」
黒衣の騎士はマントでもう一人をかばう様にして立っていた。
淡い色の金髪の少年か、とアンネリアは見た。
ただよく顔は判らない。
その髪がばらりと長く顔を隠していること、そして少年というには、線がやや細い様に思えたのだ。
アンネリアにしてみれば、自身の周囲は筋肉が命、という様な鍛えた者ばかりである。
なのにこの国に来てからというもの、彼女の目からしたら果たして男か女か判らない様な者も多いのだ。
「逃げはしない。だから前方に行く。ハリエット嬢をめがけて投げたことは否定しない。だが俺は王太子派でも無い」
「では何派だ?」
それには答えず、黒衣の騎士は、少年らしき者をかばいつつ、前へと進み出て用意された席に着いた。
「其方達が何かは判らぬが、まだハリエット嬢とその協力者の話が終わっていないからな」
「感謝する」
黒衣の騎士は横に連れを座らせ、自身のマントを取ると相手に掛けた。
重い、と連れはつぶやいた。
――高い?
ふとアンネリアは思う。
やや裏返った様な高い声がした様な気がした。
「では服のことはまあ良いとしよう。アイアン・ダッスルの話の続きを」
「はい」
アイアンはドレスの辺りで止まった話の続きを始める。
「それからというもの、フットサム王子は何かと彼女を外に連れ出し始めました。
ただ、何処の誰とも知らない女を人目のある外に出すのは、という声がさすがにあがる様になりました。
そこで王子の懇意の下級貴族の中で、独身で困窮しているランジア子爵と彼女を養子縁組させました。
腐っても子爵ですから、宮中に出入りするのもおかしくはない、という形が一応取れました。
それが辺境伯令嬢のおいでになる半年前のことです」
「なるほど、では私が来たのは、まだハリエット嬢にしても社交界に出てさほどの時間が経っていない頃だったのだな」
「その通りです。ただその半年の間に、王子はハリエット嬢をかなりの時間連れ歩き、若いにもかかわらず、やや禍々しいまでの印象を与える美しさを、宮廷に見せつけたのです」
「禍々しいまでの、か。本当に其方はハリエット嬢に心酔しているのだな」
「無論です。
彼女が美しくなかったら、あの人を物にしか思えなかった王子は、仕事が済み次第彼女をもゴミの様に殺していたことでしょう。
そして彼女自身の逃がしたかった相手にしても、生き残るチャンスを与えられることはなかった。
飛び抜けた美しさというのは、それだけで力なのです」
アンネリアは命令する。
気になっていた、パーティ会場の後ろに居た二人組。
一人は黒衣の騎士らしいが、もう一人。
「逃げはしない」
黒衣の騎士はマントでもう一人をかばう様にして立っていた。
淡い色の金髪の少年か、とアンネリアは見た。
ただよく顔は判らない。
その髪がばらりと長く顔を隠していること、そして少年というには、線がやや細い様に思えたのだ。
アンネリアにしてみれば、自身の周囲は筋肉が命、という様な鍛えた者ばかりである。
なのにこの国に来てからというもの、彼女の目からしたら果たして男か女か判らない様な者も多いのだ。
「逃げはしない。だから前方に行く。ハリエット嬢をめがけて投げたことは否定しない。だが俺は王太子派でも無い」
「では何派だ?」
それには答えず、黒衣の騎士は、少年らしき者をかばいつつ、前へと進み出て用意された席に着いた。
「其方達が何かは判らぬが、まだハリエット嬢とその協力者の話が終わっていないからな」
「感謝する」
黒衣の騎士は横に連れを座らせ、自身のマントを取ると相手に掛けた。
重い、と連れはつぶやいた。
――高い?
ふとアンネリアは思う。
やや裏返った様な高い声がした様な気がした。
「では服のことはまあ良いとしよう。アイアン・ダッスルの話の続きを」
「はい」
アイアンはドレスの辺りで止まった話の続きを始める。
「それからというもの、フットサム王子は何かと彼女を外に連れ出し始めました。
ただ、何処の誰とも知らない女を人目のある外に出すのは、という声がさすがにあがる様になりました。
そこで王子の懇意の下級貴族の中で、独身で困窮しているランジア子爵と彼女を養子縁組させました。
腐っても子爵ですから、宮中に出入りするのもおかしくはない、という形が一応取れました。
それが辺境伯令嬢のおいでになる半年前のことです」
「なるほど、では私が来たのは、まだハリエット嬢にしても社交界に出てさほどの時間が経っていない頃だったのだな」
「その通りです。ただその半年の間に、王子はハリエット嬢をかなりの時間連れ歩き、若いにもかかわらず、やや禍々しいまでの印象を与える美しさを、宮廷に見せつけたのです」
「禍々しいまでの、か。本当に其方はハリエット嬢に心酔しているのだな」
「無論です。
彼女が美しくなかったら、あの人を物にしか思えなかった王子は、仕事が済み次第彼女をもゴミの様に殺していたことでしょう。
そして彼女自身の逃がしたかった相手にしても、生き残るチャンスを与えられることはなかった。
飛び抜けた美しさというのは、それだけで力なのです」
11
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?
チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。
そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。
約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。
しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。
もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。
リディアは知らなかった。
自分の立場が自国でどうなっているのかを。
病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』
メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。
王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。
【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪
鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。
「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」
だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。
濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが…
「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる