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離婚された侯爵夫人の実母が義母に対し語る

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 そんな中で、あの子がエレーナ様の双子ちゃんに対しそんな思いを抱いてしまった時、私がまず感じたのは、

「エレーナ様お逃げになって」

でした。
 昔のことがありますから、あの子にとってのエレーナ様の双子ちゃんというのは、何って言うのでしょう……
 奥様、最初にまだお二人が生まれたばかりの頃、あの子も訪ねていったことがあるのですよね。
 そしてその時はさして興味を持たなかったと。
 それはそうですよ。
 その時期の赤子など、それこそ泣くのが仕事のようなものでしょう? 
 あの子が死んだ妹のことを忘れていたとしても、赤子はそんなものだ、という記憶は何処かにあったのだと思います。
 ですがそれから数年して、何というか、絵に描いた様な可愛い…… しかもしつけが良いのだか、色んな人達の出入りで人慣れしているのか判りませんが、マゼンタにも愛想良い双子ちゃんに出会ってしまったなら……

 あの子は確かに欲しがるでしょうね。

 そしてたぶん、もう数年して、可愛いばかりでは無くなった時、きっともう要らない、となるんですよ。

 ……猫? 猫を飼ったことがあるのですか? あの子がこちらで。
 いえ、手紙にも書かれていなかったのですが。
 その時はどうだったのですか?
 ダグ様とのお出かけの時に見つけた小さな野良猫ですか…… 
 それでその猫はどう?
 ……ああ、やっぱり。
 見つけた当初は、きっと気になっただけあって、結構夢中で相手するのですよ。
 ですが、続かないのですよ。生きているものには。
 それでも、ご親戚のお宅にもらわれていったなら安心ですよ。マゼンタが家庭教師をしていたというご親戚でしたね。
 それから様子を見に行くことは……
 やはり、無いですか。
 それでもいつの間にか世話を忘れていたというのは、とてもあの子らしいと思いますよ。
 見かねた小間使いが奥様に相談したのも当然だと思います。 
 今では……? 
 そうですか! 見つけた頃の数倍の大きさに! 良かった。本当に良かったですわ。
 それから猫のことを口にしたことは?
 ……やはり無いですか。
 やっぱり、忘れているのでしょうね。
 ですから、やっぱり双子ちゃんに関しても、きっとその時期だけで、育ったら邪魔になって、誰かの元に押しつけて、忘れてしまうはずですよ。
 可愛いと言ったところで、子供は成長するものですからね。
 あの子の想像できる範囲で動く人形ではないのですから。
 本当に、強制的にも引き離して正解ですよ。
 無論、あの子達のお父上のこともあるでしょうし。
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