3 / 48
1巻
1-3
しおりを挟む
◇ ◇ ◇
「……ふぅ。少し体が怠いなぁ」
その後、魔法の指導が終わった俺は、屋敷内を歩いていた。
いつもよりも、すれ違う使用人の数がだいぶ少ない。
それもそのはず、父はつい先ほど王都ティリアンへ、多くの従者を連れて向かったのだ。
長い期間かけて色々な会議をするらしく、帰ってくるのは一か月後になると予想される。
ふっ、これは大胆に動くチャンスだ。
今の内に下水道へ忍び込んで、《テイム》の実験をするとしよう。
臭いとか汚れ? その辺は問題ないな。
この街の下水道は定期的にちゃんと掃除されてるよ。
一番近い下水道の入り口へと向かう。
あまり一人で遠くに行くのはやめた方がいいが、このくらいの距離なら大丈夫だろう。
到着すると、そこには掃除用具を持ったおじさんがいた。
恐らくこの人は下水道の掃除をしている人だ。
流石に一人で下水道に入るのは心細かったので、俺はその人がいたことに安堵しながら声をかける。
「ちょっといいですか?」
「うお!? って何故こんなところに子供が? それにその服……相当いい家柄の子なんじゃないか? 迷子かい?」
おじさんは俺の姿を見るなり、目を見開いて声を上げた。
まあ、当然の反応だよな。
五歳の子供が一人で出歩いていたら、誰だって驚くよ。
ま、そんなことは置いといて、用件を言うか。
「僕は迷子じゃないので大丈夫です。下水道にいるであろうスライムを、僕が先日授かった《テイム》の祝福で従魔にしてみたくてここまで来たんです。もしよかったら、そのお手伝いをしていただけませんか? 一人じゃ心細くて……」
「そ、そうなのか……でも、なんで一人で来たんだ? お父さんやお母さんと一緒に魔物を捕まえて従魔にしたほうが安全だろう。もしかして何か事情があるのか……?」
おじさんは戸惑いながらもそう言う。
こんなこともあろうかとちょうどいい言い訳を用意してあるから、それで乗り切るとしよう。
「僕はここでお父さんとお母さんに内緒でこっそりと《テイム》の練習をして、驚かせたいのです。お願い……できませんか?」
そして、ねだるようにジッとおじさんのことを見つめる。
五歳の子供にこんな眼差しを向けられれば、当然――
「分かったよ。任せてくれ」
おじさんはグッと親指を立てると、胸を張ってそう言った。
よし。ちょろ……ゴホンゴホン。なんでもないです。
「じゃあ、坊やはここで待っててくれ。俺が一緒でも、やっぱり子供が下水道に入るのは危ないからな」
おじさんは下水道へ続く扉を開けると、颯爽と中に入って行った。
騙すようで申し訳ないが、別にこれで彼が不利益を被るようなことはない。
安心して、任せるとしよう。
そうして待つこと数分……
「あ、帰ってきた」
奥からタタタと足音が聞こえてきたかと思うと、バケツを抱えたおじさんが現れた。バケツには蓋がしてある。
そして、バケツの中からは何かが動く音が聞こえてきた。
どうやらこの中に、スライムがいるようだ。
「はぁ、はぁ……スライムを持ってきたぞ。準備が整ったら言ってくれ。ゆっくりとこの蓋を開けるから、その隙にテイムするんだ」
おじさんは蓋を押さえたまま、バケツを地面に置く。
「ありがとうございます。では、お願いします」
俺は息を整えると、バケツに手をかざしてそう言った。
「分かった。ゆっくりといくぞ」
おじさんはそう言うと、慎重にゆっくりとバケツの蓋をずらしていく。
すると、中にいる半透明で水色のモチモチとした感じの生き物――スライムが、少しずつその姿を現した。
「友達になろう。《テイム》」
俺はそのスライムに優しく語りかける感じで《テイム》を使った。
次の瞬間、スライムと繋がったような感覚になる。表現が難しいが、多分成功したんだと思う。
確認のため、何か命令してみるか。
「スライムさん。手を上げてみて」
この世界のスライムには手や顔はなく、ただのぷよぷよとした塊だから、この指示は違ったかなと思いつつも、少し待ってみる。
数秒後、バケツの中にいるスライムが体の一部を上へと掲げ、あたかも手を上げているような仕草をした。
「成功だ……」
俺は声を震わせながら、喜びを噛み締めて言う。
それにしても、多分今のは俺の言葉を理解して……というよりは、俺の頭の中のイメージ――思いに反応して行動したんだと思う。
スライムは手を上げるという動作を知らないと思うからね。
この様子なら多少難しい命令でも聞いてくれそうだ。
F級ってこんな詳細に命令が下せるものなのか?
てっきり、もっと言うことを聞かせるのに苦戦するかと思っていた。
「おめでとう、坊や。そのスライムはどうするんだ?」
「うん。ちょっと愛着が湧いちゃったから、下水道でこっそりと飼うことにします。事情があって家には連れて帰れなくて……もし清掃の時に見つけても殺さないでください。この子には、おじさんと会ったら合図をするように命令しておくから」
「分かったよ」
おじさんはそう言って、俺の言葉に優しく頷いた。
よし。これでまずは一匹ゲット。
そういえば、《テイム》って従魔と視覚の共有もできるんだよな?
下水道は色んな場所に繋がっているから、視覚を共有すれば、街の様子を屋敷の中から見て、楽しむことだってできる。
F級で視覚共有したり、遠隔で命令したりすることができるのか不明だが……まぁ、そこら辺の実験もしていくとしよう。
ちなみに魔法と祝福は全く別のものなので、《テイム》の能力を使う時は魔力や呪文は使わない。
「では、スライム……いや、ネム。頼んだよ」
しれっと名付けつつ、俺はスライム――ネムに頭の中で頼み事をする。
言葉ではなく、思いに反応して行動したことから、恐らくこれだけでも俺の考えは伝わったはず。
「きゅ! きゅ!」
俺の命令を聞いたネムは、可愛らしい声を上げながら、体を上下に動かす。
了解……とでも言っているような感じだ。
「ほう。随分と懐いてるな」
おじさんはそんなネムを見て、感心したように言う。
「うん。あ、そろそろ家に戻らないと。おじさん、ネムを下水道に戻してください。あと、掃除頑張ってください!」
「おう! 頑張るよ! 坊やも元気でな!」
俺のお子様スマイルをもろに受けたおじさんは、にっこりと微笑むと、ガッツポーズをして頷いた。
あー、やっぱお子様スマイルは反則だな。それも、俺って自分で言うのもなんだが結構美形だからね。
俺はおじさんに軽く手を振ると、足早に屋敷へと駆け出した。
その後、屋敷に帰り、自室へと戻った俺はベッドにゴロリと仰向けで寝転がると、口を開く。
「さてと。んじゃ、早速ネムの視界を覗いてみるか」
そう呟き、俺は自身とネムの間にある繋がりを意識して、ネムの目に入り込むイメージをする。
フワッと視覚が切り変わり、真っ暗になった。
ぴちゃぴちゃと水の跳ねる音が反響するように聞こえてくる。どうやら成功のようだ。
「よし。成功だ。てか、音が聞こえるってことは、何気に他の感覚も共有できてるのか。これ結構凄いことだよな? ……あとは、この距離から命令を出せるかだが……」
俺は若干不安になりながらも、下水道を進むネムに命令を下す。
「ネム。俺の思いが伝わっているのなら、そこで立ち止まってくれないかな?」
すると、さっきまで聞こえていたぴちゃぴちゃという音が止まった。
本当に、立ち止まった……!
「ネム。再び目的地へ――下水道の外へ向かって進んでくれ」
なんと、再びぴちゃぴちゃと音が響き始めたのだ。
「よし。これは成功で間違いないな」
俺は思わずニヤリと笑う。
F級では厳しいだろうと思っていたのだが、まさか成功するとはね。
これはマジでありがたい。
感覚が共有できれば、街の様子を好きに楽しむことができるだろう。
でもヘマしてネムが見つかったら、最悪殺されちゃいそうだから、そこは気をつけないと。
「……あ、光だ」
進んでいくと、やがて先の方にうっすらと光が見えてきた。間違いない。あそこが出口だ。
すると、俺の気持ちを汲んだのか、ネムの進む速度が若干速くなった。
ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ……
そしてついに、下水道の外に出ることができたのだ。
「よし。さて、ここはどこだろうか……?」
俺は、ネムに周囲を見渡すよう命じながらそう呟く。
上には青空が見え、目の前には川……と、川にかかった橋を渡る多くの人。
「やっぱりあの川に出たか」
シュレインには、都市を南北に区切るように横断する川が流れており、この街に住む人々の生活用水となっている。
下水道から出たすぐの場所であることから、ここは川下である東の方なのだろう。
「さてと……まずは道に上がらないとな」
ただ、どうやって行けばいいのだろうか。
歩くことができる道は今いる場所から二メートルほど上にあり、階段や梯子は近くにない。
川の両側の石垣をよじ登るのも無理そうだ。
スライムでは、どうやったってここから出ることはできない。
唯一できることは、川に流されることで、街の外へ行くぐらいしか……
「う~ん……川の先には確か森が広がってたよな。ただ、そこへ行かせるのは結構危険だな……」
俺は腕を組みながら、ムムムと唸る。
スライムは簡単に見つけられるとはいえ、初めてテイムし、名前まで付けたこの子を捨て駒にするような行動は取りたくない。
あの森には、スライムよりも強い魔物が沢山いるんだよ。
やれやれ。愛着が湧いてしまうのも考えものだなぁ……
「……しゃーない。一旦下水道に戻ってくれ。何匹かスライムをテイムして、森へは余裕ができてから偵察に行かせるとするか」
俺はネムに命令をして、下水道へと戻らせる。
すると、前方に何か動くものが見えた。
「なんだ!? ……ああ、スライムか」
そこにいたのは、一匹のスライムだった。
スライムは共食いとかはしないので、特に警戒する必要もないだろう。
ここで、ふとあることを思いつく。
「ここから遠隔でテイムできないかな?」
そんな反則じみたテイマーなんて聞いたことないが、別にやってダメでも損はしないし、試せることは試しておかないと。
そんな思いから、俺は目の前でぽよんぽよんと可愛らしく上下に動くスライムに《テイム》を使う。
「……ん!? 繋がった!?」
何故か、成功したのだ。
まさかの成功に、俺は思わずガバッとベッドから起き上がる。
そのせいで一時的に視覚共有が切れたが、すぐにネムと視覚を共有すると、俺は唇を震わせた。
「マジかよ。マジでやべぇな……」
目の前にいるスライムをジッと見つめながら、俺は感嘆の息を漏らす。
信じられず、再び自身の感覚を確かめてみるが、確かに繋がりが一つ増えているのが感じられる。
「……変わってみるか」
俺は確認するため、視覚をそのスライムに移す。
ふっと視覚が切り替わった。
目の前には一匹のスライム。そして、その後ろには下水道の出口。
視覚共有ができるということは、テイムできているという確固たる証拠だ。
ああ、確定だ。
どうやら俺はテイムした魔物の視覚越しに、他の魔物をテイムできるらしい。
「……ははっ、《テイム》でこんなことができるなんてな。S級でも絶対無理だろ。聞いたことがないし。もしや、これが転生特典とか……?」
いや、流石にそりゃないか。
だったら、なんでわざわざF級にしたんだって話になるし。
ていうか、そもそも神と呼ばれる存在がいるのかすらも分からない。
確かに祝福はあるけど、それを神が与えているという証拠はどこにもないしな。
「まぁ、可能性が広がったのは嬉しいことだ。ネムだけはこっちに移動させとくか。来てくれ、ネム」
視覚共有を切ると、俺はネムを改めてこの部屋に召喚した。
パッと目の前にネムが現れる。
「おっと」
俺はネムを両手で包み込む。
ネムは体長十五センチほど。五歳児の俺では、ちょっと大きめに感じるな。
「きゅ! きゅ! きゅ!」
ネムはまるで主人に懐く子犬のように、べったりと俺にくっつく。
う、すまん。流石に臭い。あと、下水道の汚れが……
だが、問題ない。これは想定していたことだ。
「【魔力よ。光り輝き浄化せよ】」
俺は呪文を唱えた。
俺とネムは光に包まれたかと思うと、汚れが綺麗さっぱりなくなった。
「これでよし」
「きゅきゅ?」
ニヤリと笑う俺に、ネムは不思議そうに首(?)を傾げた。
使った魔法は、つい先ほどエリーさんに教えてもらった光属性の魔法――【浄化】だ。
今みたいに、大抵の汚れは消すことができる。
きっつい汚れは何度もかけなきゃダメだろうけど、この街の下水道に住んでいたネムなら、これくらいで十分綺麗にできる。
【浄化】で発生源がなくなったおかげで、臭いもだいぶ消えた。
まだ少し空気中に残っているが、しばらく経てば消えることだろう。
「よしよし。こうして見ると、結構可愛いな」
「きゅきゅきゅ!」
ネムの体はひんやりとした柔らかいゼリーのような触り心地で、結構気持ちいい。
そして、子犬のように懐いてくれる。
ははは……どんどん愛着が湧いてくるな。
一部の貴族の間でスライムを飼うのが流行っていると耳にした時は不思議に思ったが、今ならよく分かる。
「さてと……あ、あっちのスライムは何やってんだろ?」
命令していない時はどうしているのかと疑問に思った俺は、下水道に残ったスライムと視覚を共有する。
先ほどと同じようにぴちゃぴちゃと音がする。
どうやら、普段と同じように過ごしているようだ。
……あ、いいこと思いついた。
「あのさ。スライムと出会ったら、俺にそのことを伝えるっていうのは……できる?」
『きゅ!』
俺の質問に、下水道にいるスライムが元気よく返事をした。
へ~、できるんだ。
「んじゃ、スライムを見つけたら教えてくれ。頼んだよ」
そう言って、俺は視覚を自身に戻すと、再びネムに視線を向ける。
「きゅ! きゅ! きゅ!」
ネムがぽかぽかと腕(?)で俺を叩いている。
あれ? なんか怒ってるような感じがするんだが……
「怒ってる?」
「きゅ!」
当然とでも言うように、ネムは頭(?)を動かして頷いた。
あ、やっぱり怒ってたか。にしても何故……
「……あ、もしかして、他のスライムと話してたから?」
思い当たる節がそれしかなく、俺はそう問いかける。
すると、ネムは「きゅ!」と強く頷いた。
嫉妬かーい。てか、スライムも嫉妬するんだな……
「あー、そうか……大丈夫だよ。ネムが最初にテイムした魔物だからね。特別扱いするさ。だから、他の従魔と会話したり、多少仲良くしたりするぐらいは許してくれよ」
そう言いながら、俺はネムの体を優しく撫でる。
それだけで上機嫌になったのか、ネムは「きゅきゅ!」と鳴き声を上げて、頷いてくれた。
「うん。ありがとう。あ、そういやネムの隠し場所はどうするか……」
ここに呼んだはいいものの、隠し場所がない。誰かに見つかるのは避けたいからなぁ。
なんかめんどくさいことになりそうだし。
俺はネムを抱きかかえたまま、ゴロリと寝転がり、天井をぼんやりと眺める。
「ん~……あ、あそこだ!」
俺は天井の小さな隙間を指差すと、声を上げた。
使用人だって、天井裏までは毎日掃除しない。年に一回ぐらいはしそうだが、その時は上手いこと隠れてもらうようにしよう。
そう考えた俺は、早速ネムに声をかける。
「ネム。俺がこの部屋から出ている間は、あの隙間から天井裏に入って、そこに隠れてくれないかな?」
「きゅっきゅっ!」
俺の言葉に、ネムは首(?)を横に振った。できない……じゃなくて、嫌だってことか。
理由は恐らく、俺と離れたくないからだろう。さっきの嫉妬ぶりを見れば、容易く推察できる。
確かに、俺もできれば一緒にいたいけど、ネムを隠しながら持つことはできない。
「うん。その気持ちは分かるよ。ただね。もし、君の存在がバレてしまったら、二度と俺と会えなくなってしまうかもしれないんだよ。それは嫌だろ?」
「きゅ!? きゅきゅきゅ!」
俺は優しく諭すように、ネムに説明する。
ネムは俺の言葉にビクッと体を震わせ、ぶんぶんと頭(?)を上下に振った。
どうやら説得には成功したみたいだ。
「うん。ありがとう。まぁ、基本この部屋にいるから、安心して」
そう言って、俺はネムを撫でる。
すると突然、頭の中に鳴き声が響き渡った。
『きゅきゅ!』
「ん!? ……ああ。あっちのスライムか」
俺は一瞬驚いたが、すぐに下水道にいるスライムの鳴き声であると理解し、そのスライムに視覚を移す。
直後、視界が真っ暗になった。だが、目の前に何かがいるということは分かる。
「……なるほど。スライムを見つけたのか。では、《テイム》」
俺は目の前にいる何かがスライムであると判断し、即座に《テイム》を使う。
すると、目の前にいるスライムと繋がる感覚がした。
「よし。成功だな。じゃ、新入りの君はこのまま下水道を出て、川を下り、その先にある森を目指してくれ。着いたら報告を。誰にも見つからないように気をつけてくれ」
『きゅきゅ!』
俺の命令に、新しいスライムは元気よく鳴き声を上げると、ぴちゃぴちゃと水音を立てながら、去って行った。
もしかしたら、あのスライムは死んでしまうかもしれないが……その時は仕方ないと割り切ろう。
無論、死なせないように手は尽くすつもりだが、それでも万が一ということはあるのだ。
何せ、スライムは最弱クラスの魔物の中でも、特に弱いのだから。
「……ふぅ」
俺は息をつくと、視覚を元に戻す。
そして、相変わらずじゃれてくるネムを優しく抱きしめるのであった。
「……ふぅ。少し体が怠いなぁ」
その後、魔法の指導が終わった俺は、屋敷内を歩いていた。
いつもよりも、すれ違う使用人の数がだいぶ少ない。
それもそのはず、父はつい先ほど王都ティリアンへ、多くの従者を連れて向かったのだ。
長い期間かけて色々な会議をするらしく、帰ってくるのは一か月後になると予想される。
ふっ、これは大胆に動くチャンスだ。
今の内に下水道へ忍び込んで、《テイム》の実験をするとしよう。
臭いとか汚れ? その辺は問題ないな。
この街の下水道は定期的にちゃんと掃除されてるよ。
一番近い下水道の入り口へと向かう。
あまり一人で遠くに行くのはやめた方がいいが、このくらいの距離なら大丈夫だろう。
到着すると、そこには掃除用具を持ったおじさんがいた。
恐らくこの人は下水道の掃除をしている人だ。
流石に一人で下水道に入るのは心細かったので、俺はその人がいたことに安堵しながら声をかける。
「ちょっといいですか?」
「うお!? って何故こんなところに子供が? それにその服……相当いい家柄の子なんじゃないか? 迷子かい?」
おじさんは俺の姿を見るなり、目を見開いて声を上げた。
まあ、当然の反応だよな。
五歳の子供が一人で出歩いていたら、誰だって驚くよ。
ま、そんなことは置いといて、用件を言うか。
「僕は迷子じゃないので大丈夫です。下水道にいるであろうスライムを、僕が先日授かった《テイム》の祝福で従魔にしてみたくてここまで来たんです。もしよかったら、そのお手伝いをしていただけませんか? 一人じゃ心細くて……」
「そ、そうなのか……でも、なんで一人で来たんだ? お父さんやお母さんと一緒に魔物を捕まえて従魔にしたほうが安全だろう。もしかして何か事情があるのか……?」
おじさんは戸惑いながらもそう言う。
こんなこともあろうかとちょうどいい言い訳を用意してあるから、それで乗り切るとしよう。
「僕はここでお父さんとお母さんに内緒でこっそりと《テイム》の練習をして、驚かせたいのです。お願い……できませんか?」
そして、ねだるようにジッとおじさんのことを見つめる。
五歳の子供にこんな眼差しを向けられれば、当然――
「分かったよ。任せてくれ」
おじさんはグッと親指を立てると、胸を張ってそう言った。
よし。ちょろ……ゴホンゴホン。なんでもないです。
「じゃあ、坊やはここで待っててくれ。俺が一緒でも、やっぱり子供が下水道に入るのは危ないからな」
おじさんは下水道へ続く扉を開けると、颯爽と中に入って行った。
騙すようで申し訳ないが、別にこれで彼が不利益を被るようなことはない。
安心して、任せるとしよう。
そうして待つこと数分……
「あ、帰ってきた」
奥からタタタと足音が聞こえてきたかと思うと、バケツを抱えたおじさんが現れた。バケツには蓋がしてある。
そして、バケツの中からは何かが動く音が聞こえてきた。
どうやらこの中に、スライムがいるようだ。
「はぁ、はぁ……スライムを持ってきたぞ。準備が整ったら言ってくれ。ゆっくりとこの蓋を開けるから、その隙にテイムするんだ」
おじさんは蓋を押さえたまま、バケツを地面に置く。
「ありがとうございます。では、お願いします」
俺は息を整えると、バケツに手をかざしてそう言った。
「分かった。ゆっくりといくぞ」
おじさんはそう言うと、慎重にゆっくりとバケツの蓋をずらしていく。
すると、中にいる半透明で水色のモチモチとした感じの生き物――スライムが、少しずつその姿を現した。
「友達になろう。《テイム》」
俺はそのスライムに優しく語りかける感じで《テイム》を使った。
次の瞬間、スライムと繋がったような感覚になる。表現が難しいが、多分成功したんだと思う。
確認のため、何か命令してみるか。
「スライムさん。手を上げてみて」
この世界のスライムには手や顔はなく、ただのぷよぷよとした塊だから、この指示は違ったかなと思いつつも、少し待ってみる。
数秒後、バケツの中にいるスライムが体の一部を上へと掲げ、あたかも手を上げているような仕草をした。
「成功だ……」
俺は声を震わせながら、喜びを噛み締めて言う。
それにしても、多分今のは俺の言葉を理解して……というよりは、俺の頭の中のイメージ――思いに反応して行動したんだと思う。
スライムは手を上げるという動作を知らないと思うからね。
この様子なら多少難しい命令でも聞いてくれそうだ。
F級ってこんな詳細に命令が下せるものなのか?
てっきり、もっと言うことを聞かせるのに苦戦するかと思っていた。
「おめでとう、坊や。そのスライムはどうするんだ?」
「うん。ちょっと愛着が湧いちゃったから、下水道でこっそりと飼うことにします。事情があって家には連れて帰れなくて……もし清掃の時に見つけても殺さないでください。この子には、おじさんと会ったら合図をするように命令しておくから」
「分かったよ」
おじさんはそう言って、俺の言葉に優しく頷いた。
よし。これでまずは一匹ゲット。
そういえば、《テイム》って従魔と視覚の共有もできるんだよな?
下水道は色んな場所に繋がっているから、視覚を共有すれば、街の様子を屋敷の中から見て、楽しむことだってできる。
F級で視覚共有したり、遠隔で命令したりすることができるのか不明だが……まぁ、そこら辺の実験もしていくとしよう。
ちなみに魔法と祝福は全く別のものなので、《テイム》の能力を使う時は魔力や呪文は使わない。
「では、スライム……いや、ネム。頼んだよ」
しれっと名付けつつ、俺はスライム――ネムに頭の中で頼み事をする。
言葉ではなく、思いに反応して行動したことから、恐らくこれだけでも俺の考えは伝わったはず。
「きゅ! きゅ!」
俺の命令を聞いたネムは、可愛らしい声を上げながら、体を上下に動かす。
了解……とでも言っているような感じだ。
「ほう。随分と懐いてるな」
おじさんはそんなネムを見て、感心したように言う。
「うん。あ、そろそろ家に戻らないと。おじさん、ネムを下水道に戻してください。あと、掃除頑張ってください!」
「おう! 頑張るよ! 坊やも元気でな!」
俺のお子様スマイルをもろに受けたおじさんは、にっこりと微笑むと、ガッツポーズをして頷いた。
あー、やっぱお子様スマイルは反則だな。それも、俺って自分で言うのもなんだが結構美形だからね。
俺はおじさんに軽く手を振ると、足早に屋敷へと駆け出した。
その後、屋敷に帰り、自室へと戻った俺はベッドにゴロリと仰向けで寝転がると、口を開く。
「さてと。んじゃ、早速ネムの視界を覗いてみるか」
そう呟き、俺は自身とネムの間にある繋がりを意識して、ネムの目に入り込むイメージをする。
フワッと視覚が切り変わり、真っ暗になった。
ぴちゃぴちゃと水の跳ねる音が反響するように聞こえてくる。どうやら成功のようだ。
「よし。成功だ。てか、音が聞こえるってことは、何気に他の感覚も共有できてるのか。これ結構凄いことだよな? ……あとは、この距離から命令を出せるかだが……」
俺は若干不安になりながらも、下水道を進むネムに命令を下す。
「ネム。俺の思いが伝わっているのなら、そこで立ち止まってくれないかな?」
すると、さっきまで聞こえていたぴちゃぴちゃという音が止まった。
本当に、立ち止まった……!
「ネム。再び目的地へ――下水道の外へ向かって進んでくれ」
なんと、再びぴちゃぴちゃと音が響き始めたのだ。
「よし。これは成功で間違いないな」
俺は思わずニヤリと笑う。
F級では厳しいだろうと思っていたのだが、まさか成功するとはね。
これはマジでありがたい。
感覚が共有できれば、街の様子を好きに楽しむことができるだろう。
でもヘマしてネムが見つかったら、最悪殺されちゃいそうだから、そこは気をつけないと。
「……あ、光だ」
進んでいくと、やがて先の方にうっすらと光が見えてきた。間違いない。あそこが出口だ。
すると、俺の気持ちを汲んだのか、ネムの進む速度が若干速くなった。
ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ……
そしてついに、下水道の外に出ることができたのだ。
「よし。さて、ここはどこだろうか……?」
俺は、ネムに周囲を見渡すよう命じながらそう呟く。
上には青空が見え、目の前には川……と、川にかかった橋を渡る多くの人。
「やっぱりあの川に出たか」
シュレインには、都市を南北に区切るように横断する川が流れており、この街に住む人々の生活用水となっている。
下水道から出たすぐの場所であることから、ここは川下である東の方なのだろう。
「さてと……まずは道に上がらないとな」
ただ、どうやって行けばいいのだろうか。
歩くことができる道は今いる場所から二メートルほど上にあり、階段や梯子は近くにない。
川の両側の石垣をよじ登るのも無理そうだ。
スライムでは、どうやったってここから出ることはできない。
唯一できることは、川に流されることで、街の外へ行くぐらいしか……
「う~ん……川の先には確か森が広がってたよな。ただ、そこへ行かせるのは結構危険だな……」
俺は腕を組みながら、ムムムと唸る。
スライムは簡単に見つけられるとはいえ、初めてテイムし、名前まで付けたこの子を捨て駒にするような行動は取りたくない。
あの森には、スライムよりも強い魔物が沢山いるんだよ。
やれやれ。愛着が湧いてしまうのも考えものだなぁ……
「……しゃーない。一旦下水道に戻ってくれ。何匹かスライムをテイムして、森へは余裕ができてから偵察に行かせるとするか」
俺はネムに命令をして、下水道へと戻らせる。
すると、前方に何か動くものが見えた。
「なんだ!? ……ああ、スライムか」
そこにいたのは、一匹のスライムだった。
スライムは共食いとかはしないので、特に警戒する必要もないだろう。
ここで、ふとあることを思いつく。
「ここから遠隔でテイムできないかな?」
そんな反則じみたテイマーなんて聞いたことないが、別にやってダメでも損はしないし、試せることは試しておかないと。
そんな思いから、俺は目の前でぽよんぽよんと可愛らしく上下に動くスライムに《テイム》を使う。
「……ん!? 繋がった!?」
何故か、成功したのだ。
まさかの成功に、俺は思わずガバッとベッドから起き上がる。
そのせいで一時的に視覚共有が切れたが、すぐにネムと視覚を共有すると、俺は唇を震わせた。
「マジかよ。マジでやべぇな……」
目の前にいるスライムをジッと見つめながら、俺は感嘆の息を漏らす。
信じられず、再び自身の感覚を確かめてみるが、確かに繋がりが一つ増えているのが感じられる。
「……変わってみるか」
俺は確認するため、視覚をそのスライムに移す。
ふっと視覚が切り替わった。
目の前には一匹のスライム。そして、その後ろには下水道の出口。
視覚共有ができるということは、テイムできているという確固たる証拠だ。
ああ、確定だ。
どうやら俺はテイムした魔物の視覚越しに、他の魔物をテイムできるらしい。
「……ははっ、《テイム》でこんなことができるなんてな。S級でも絶対無理だろ。聞いたことがないし。もしや、これが転生特典とか……?」
いや、流石にそりゃないか。
だったら、なんでわざわざF級にしたんだって話になるし。
ていうか、そもそも神と呼ばれる存在がいるのかすらも分からない。
確かに祝福はあるけど、それを神が与えているという証拠はどこにもないしな。
「まぁ、可能性が広がったのは嬉しいことだ。ネムだけはこっちに移動させとくか。来てくれ、ネム」
視覚共有を切ると、俺はネムを改めてこの部屋に召喚した。
パッと目の前にネムが現れる。
「おっと」
俺はネムを両手で包み込む。
ネムは体長十五センチほど。五歳児の俺では、ちょっと大きめに感じるな。
「きゅ! きゅ! きゅ!」
ネムはまるで主人に懐く子犬のように、べったりと俺にくっつく。
う、すまん。流石に臭い。あと、下水道の汚れが……
だが、問題ない。これは想定していたことだ。
「【魔力よ。光り輝き浄化せよ】」
俺は呪文を唱えた。
俺とネムは光に包まれたかと思うと、汚れが綺麗さっぱりなくなった。
「これでよし」
「きゅきゅ?」
ニヤリと笑う俺に、ネムは不思議そうに首(?)を傾げた。
使った魔法は、つい先ほどエリーさんに教えてもらった光属性の魔法――【浄化】だ。
今みたいに、大抵の汚れは消すことができる。
きっつい汚れは何度もかけなきゃダメだろうけど、この街の下水道に住んでいたネムなら、これくらいで十分綺麗にできる。
【浄化】で発生源がなくなったおかげで、臭いもだいぶ消えた。
まだ少し空気中に残っているが、しばらく経てば消えることだろう。
「よしよし。こうして見ると、結構可愛いな」
「きゅきゅきゅ!」
ネムの体はひんやりとした柔らかいゼリーのような触り心地で、結構気持ちいい。
そして、子犬のように懐いてくれる。
ははは……どんどん愛着が湧いてくるな。
一部の貴族の間でスライムを飼うのが流行っていると耳にした時は不思議に思ったが、今ならよく分かる。
「さてと……あ、あっちのスライムは何やってんだろ?」
命令していない時はどうしているのかと疑問に思った俺は、下水道に残ったスライムと視覚を共有する。
先ほどと同じようにぴちゃぴちゃと音がする。
どうやら、普段と同じように過ごしているようだ。
……あ、いいこと思いついた。
「あのさ。スライムと出会ったら、俺にそのことを伝えるっていうのは……できる?」
『きゅ!』
俺の質問に、下水道にいるスライムが元気よく返事をした。
へ~、できるんだ。
「んじゃ、スライムを見つけたら教えてくれ。頼んだよ」
そう言って、俺は視覚を自身に戻すと、再びネムに視線を向ける。
「きゅ! きゅ! きゅ!」
ネムがぽかぽかと腕(?)で俺を叩いている。
あれ? なんか怒ってるような感じがするんだが……
「怒ってる?」
「きゅ!」
当然とでも言うように、ネムは頭(?)を動かして頷いた。
あ、やっぱり怒ってたか。にしても何故……
「……あ、もしかして、他のスライムと話してたから?」
思い当たる節がそれしかなく、俺はそう問いかける。
すると、ネムは「きゅ!」と強く頷いた。
嫉妬かーい。てか、スライムも嫉妬するんだな……
「あー、そうか……大丈夫だよ。ネムが最初にテイムした魔物だからね。特別扱いするさ。だから、他の従魔と会話したり、多少仲良くしたりするぐらいは許してくれよ」
そう言いながら、俺はネムの体を優しく撫でる。
それだけで上機嫌になったのか、ネムは「きゅきゅ!」と鳴き声を上げて、頷いてくれた。
「うん。ありがとう。あ、そういやネムの隠し場所はどうするか……」
ここに呼んだはいいものの、隠し場所がない。誰かに見つかるのは避けたいからなぁ。
なんかめんどくさいことになりそうだし。
俺はネムを抱きかかえたまま、ゴロリと寝転がり、天井をぼんやりと眺める。
「ん~……あ、あそこだ!」
俺は天井の小さな隙間を指差すと、声を上げた。
使用人だって、天井裏までは毎日掃除しない。年に一回ぐらいはしそうだが、その時は上手いこと隠れてもらうようにしよう。
そう考えた俺は、早速ネムに声をかける。
「ネム。俺がこの部屋から出ている間は、あの隙間から天井裏に入って、そこに隠れてくれないかな?」
「きゅっきゅっ!」
俺の言葉に、ネムは首(?)を横に振った。できない……じゃなくて、嫌だってことか。
理由は恐らく、俺と離れたくないからだろう。さっきの嫉妬ぶりを見れば、容易く推察できる。
確かに、俺もできれば一緒にいたいけど、ネムを隠しながら持つことはできない。
「うん。その気持ちは分かるよ。ただね。もし、君の存在がバレてしまったら、二度と俺と会えなくなってしまうかもしれないんだよ。それは嫌だろ?」
「きゅ!? きゅきゅきゅ!」
俺は優しく諭すように、ネムに説明する。
ネムは俺の言葉にビクッと体を震わせ、ぶんぶんと頭(?)を上下に振った。
どうやら説得には成功したみたいだ。
「うん。ありがとう。まぁ、基本この部屋にいるから、安心して」
そう言って、俺はネムを撫でる。
すると突然、頭の中に鳴き声が響き渡った。
『きゅきゅ!』
「ん!? ……ああ。あっちのスライムか」
俺は一瞬驚いたが、すぐに下水道にいるスライムの鳴き声であると理解し、そのスライムに視覚を移す。
直後、視界が真っ暗になった。だが、目の前に何かがいるということは分かる。
「……なるほど。スライムを見つけたのか。では、《テイム》」
俺は目の前にいる何かがスライムであると判断し、即座に《テイム》を使う。
すると、目の前にいるスライムと繋がる感覚がした。
「よし。成功だな。じゃ、新入りの君はこのまま下水道を出て、川を下り、その先にある森を目指してくれ。着いたら報告を。誰にも見つからないように気をつけてくれ」
『きゅきゅ!』
俺の命令に、新しいスライムは元気よく鳴き声を上げると、ぴちゃぴちゃと水音を立てながら、去って行った。
もしかしたら、あのスライムは死んでしまうかもしれないが……その時は仕方ないと割り切ろう。
無論、死なせないように手は尽くすつもりだが、それでも万が一ということはあるのだ。
何せ、スライムは最弱クラスの魔物の中でも、特に弱いのだから。
「……ふぅ」
俺は息をつくと、視覚を元に戻す。
そして、相変わらずじゃれてくるネムを優しく抱きしめるのであった。
116
あなたにおすすめの小説
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
