白山

vol.1 11月

24日

今日は母から手紙が届いた。
仕事とは関係ないが、こんなものは日報ではなくて日記だからいい。
内容は私の仕事の様子なんかの近況を尋ねるのがほとんどであった。
私の母は、この州に移り住み、私を育てた。私はこの土地でアントロニカ団員として働き始めたが、その頃に母はこの州で長い間はやっていた病にかかってしまい、病を悪化させないように別の州に行った。
今はもうほぼ治ったそうだが、この州に来たら悪化する可能性があるため、近くの州でのびのびと暮らしている。
私は母に手紙を返すことにした。事務所から出て行く時に簡単なボールペンしか持ってこなかったのが悔やまれる。いつも母に手紙を書く時は、万年筆を使っていたのだが。
まあ、戦争中なのだ、そんな贅沢を言っていい時代ではない。私は早速手頃な紙に書き始めた。いつも使っているメモ用紙だ。いつもはちゃんとした便箋を使っているが、今はそんなものないからなぁ。母も電報を使えれば良いのだが、あっちの州じゃまだ普及していないから、仕方ない。そんなことも思うが、やはり紙にペンで書くというのは楽しいことだ。
完成したら、郵便屋に預けよう。でも、封筒も切手もないな…。そのうち買いに行かないと。
11/23 18:12 敬具 副団長 ニッシュ・リシック。