自殺志願者と生存志願者

きよ

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なかよくしよう⑪

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家に着いた。いつもとは違いひどく疲れていた、だがどこか充実した気分だった。

「春野明菜かあ」

声に出すことで彼女の存在を再認識する。僕をはじめて理解してくれた人か。17年生きてきてはじめての理解者は出会って数時間のひとりの少女か。自分でかんがえて少し笑ってしまった。前から考えていた自殺の日時ををたった数時間で変えてしまうなんて彼女は僕にとってとても大切な存在になったんだろう。でも、彼女と出会っても僕は自殺志願者であることは変わらない。もしかしたら彼女が死んだ後も彼女のような僕の理解者が出てくるかもしれないと言うことも考えた。だが、そんなことはないと断言できる。彼女以外に僕のことを理解してくれる人は絶対にいないと根拠もないが言いきれる。彼女は僕にとって本当に特別なんだ。彼女の特別さを改めて痛感している時図書館で彼女が言ったことがよみがえってきた。

「死の間際...」

口に出していた。心の中にしまっておくと言葉に出来ないような感情に襲われそうな気がしたからだ。だが、それは逆効果だった。言葉にした瞬間、不安や恐怖そういった類の感情が次々とおしよせてきた。ああ、彼女は死ぬのか...なぜ彼女は死ぬんだ?いやだ彼女を、理解者を失いたくない。この世界には僕みたいな自ら命をたとうとしている人さえいるのにおかしいではないか。神様は何を見ているのだろう。残りの命を懸命に生きようとするもの、残りの人生を自らたつひと。どちらに生きる価値があるかは一目瞭然だろう。この世界は理不尽にみちているとはよく世界を表せている言葉であると痛感できた。いやだな、彼女がいなくなるのは。彼女がいなくなる瞬間僕はどれほどの感情に襲われるだろうか。それを想像すると体が震えてきた、胸が締め付けられるようにかんじた、そして涙がこぼれてきた。今日は泣いてばかりいる気がするな。そうか、彼女と最後まで寄り添え、彼女の死を見なくて済む方法があった。彼女が死んだら自殺をするんじゃない。彼女の死に対する感情が生まれない時に自殺をすればいい、そう
僕は彼女の死と同時に自殺をしよう。


*      *      *
春野明菜の家にて

「ふーう、やっと書き終わった。今日はたくさん書くことあったから大変だったなあ。」

伸びをしながら春野明菜はいう。手に持った日記をみて優しく微笑んだ

*        *         *
『11月11日
今日はついに転校の日。自分で決めたことだし失敗しないよう気をひきしめて教室に入った。自己紹介のとき彼と目があった、そう雪下くんと雪下くんすごく驚いた表情をしてた。もしかしたら私と同じ所があるって気づいたのかもしれない。その予想は正しかった、彼は私が彼と同じで死の間際にいることをわかっていた。やっぱり死の間際にいる人達だけはわかる特別なことってあるんだと思う。雪下くんが突然倒れた。雪下くんは私が大丈夫かと聞くと大丈夫と答えた。だが、大丈夫なわけが無い。急に倒れるってことはそれ相応のことがあるに違いない...私と同様に。雪下くんは私と同じで酷い病気を持っているのだろう。なかよくなれた人がそうなら普通悲しむんだろうけど不謹慎なことに私は嬉しかったの。だって仲のいい人が急に死んでしまったらとても悲しいしその事があとにひいてしまうかもしれない。でも死が間近にある者同士なら遠慮なく仲良くなっても大丈夫ってことになるもんね。本当に転向して良かった。初日からそう思えた。明日も雪下くんと楽しく過ごしたいな。きっと私と雪下くんは最後まで仲良く出来ると思う。だって雪下くんは多分私のことを唯一理解してくれる私と同じ【生存志願者】なんだから。』 
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