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虫軍隊
こんなことってあるうううううううう!?
しおりを挟む目が覚めたら、白城の傍にある森にいた。
エリュシオンの服には、大量の血が付着していた。セレネーとスクルータがどうなったか尋ねると、「殺しました」と淡々と説明された。
芸術作品みたいに美しかった白城は、地震でも起きたかのように半壊していた。まるで、主の死を嘆き悲しんでいるかのように無残な姿であった。
これからどうするべきであろう。黒魔術による死の呪いがかかっているため、ルキフェルを倒すべきだろう。
だけど、ルキフェルは、大量の死鬼を操っている。無策で突撃するのは、自殺行為でしかない。まずは、都ルジアに近いロタンを目指すことにした。セレネーは、ナサニエルはロタンのミゲルに奪われたと言っていた。それなら、ナサニエルに関する情報収集ができるかもしれない。
ロタンを目指して、馬車で進んでいったが、途中でぼろそうな橋があり、馬車も馬も捨てて進むことにした。
徒歩だと歩く速度は、どうしても遅くなってしまう。休みながら進んでいかないといけない。
日が沈みかけた頃、洞窟らしきものを見つけた。
「今日はここで休もう」
「そうですね」
来る途中に見つけた鹿の皮をむいて、焚火を起こしてこんがりと焼き上げる。
柔らかくて肉汁たっぷりの鹿は、心にしみた。
「うまっ」
疲れているせいか、こんなに美味しいものは初めて食べたかもしれないという気分になる。
「そうですね。あ、肉汁がついています」
エリュシオンがそっと頬っぺたに手を伸ばし、人差し指で僕の頬を撫でた後に、その指先をさりげなく舐めた。
その光景を見て、驚きのあまり息が止まるかと思った。
「お、お、お前……!!!」
エリュシオンがおかしいっ!!!!前はゴキブリでも見るかのような嫌悪と侮蔑に満ちた目で見てきたくせに、急に変な対応をするようになった気がする!!!例えるなら、まるで恋人にするような……いや、気のせいだ。気のせいに決まっている。
「どうかしましたか」
男は、こっちの驚きに気が付いていないのか、肉をあぶりながら、しれっとそう返してきた。
「……な、何でもない」
何だか勝手に意識している自分がバカみたいだ。
きっと、こいつはイケメンで女の扱いに慣れているからこんな仕草が自然に出てきたに違いない。気にしたら負けだ。
そう思い肉にガツガツとかぶりつくが、やけに熱い視線を感じている気がした。
「そろそろ寝るか」
「そうですね」
洞窟の中を簡単に綺麗にしている時、ふと背後からガサガサとゴキブリが這いずるような音が聞こえてきた。
「ん?何だろう……。フローガ!」
火をつけた瞬間、心臓が止まるかと思うくらい驚いた。
そこにいたのは、千を超えそうな大量のムカデと、一万を超えそうな蜂だった。
ムカデは地面を這いずりながらゆっくりと近づいてくる。蜂は、ブーンという音を立てて猛スピードで突撃してきた。
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
こんなことってあるうううううううう!?
僕は、白眼をむきながら絶叫をした。
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