41 / 102
ロタン
第1回戦
しおりを挟む
「ただいまより、第1回戦を開始します。場内にいる参加者が8名になった時点で1回戦は終了になります。それでは、戦闘開始!!!」
周囲は熱狂に包まれた。
「きゃあああああああああ。ノーチ様、頑張って!!」
「ノーチ様!!素敵!!!」
ノーチ・フォティア……。懐かしい男だ。彼は、赤の騎士団に所属していてジキルであったとき、親友だった男だ。
ロタンの騎士団の制服である赤を基本とした服を着ている彼は、人目を引いた。
彼は、温かみのある茶色の髪の毛に、切れ長の琥珀色の瞳をしている長身だ。彫りの深いくっきりとした顔立ちをしていて、まるで太陽みたいな雰囲気の正統派のイケメンである。相変わらず赤いルビーのイヤリングを右耳につけている。何年たってもあいつは、変わらないだろう。
色男ノーチは女性に人気みたいで、周囲から黄色い歓声を浴びている。もてなさそうな男たちから囲まれた狙い撃ちされているが、鮮やかな剣裁きで危なげなくかわしている。
エリュシオンは目立つからすぐに見つかった。彼も、汗一つかくことなく冷静に周囲を見渡して戦っている。
「あの大男も強そうだな」
僕は、身長2メートルはありそうなハデた大男を指さした。タンクトップ姿で、軽く鞭を振り回しただけで、4人ほど吹っ飛んだ。あまりの迫力にほかの参加者もビビっている。
「彼は、フレデリク・レスキナといって、王都では有名な男だ。普段は、王宮で働いているが、今日の大会のためにルジアからやってきたらしい」
「彼も優勝候補だな」
そんな風に話していると、エリュシオンの方へ近づいていくノーチの姿が見つかった。そして、ノーチは挨拶代わりに、エリュシオンに切りかかりながら話しかけた。
「エリュシオン、聞きたいことがある。ジキルは誰が殺した?」
久しぶりに自分の名前を聞いたせいか、ドキリとしてしまう。まだ、僕のことを忘れていなかったのか。優しくて誠実なノーチらしい。
「……」
エリュシオンは、言葉に詰まっている。こんな殺気だった男を前にして、自分が殺したなんて言えないのだろう。
ノーチは、更に彼を追い詰めるように言葉を重ねながら打ち込んでいく。エリュシオンは、後ろめたい気持ちがあるせいか、防戦一方になっていく。
「お前は、ジキルと一緒に逃げたはずだ。だけど、どうしてお前だけが生きている?生きているどころか、ハデスの下で随分出世したみたいだな」
「俺は……。どうしてそんなことを聞く?あんたは、ジキルにとってどんな存在だったんだ?」
「そんなこと関係ないだろう。早く答えろよ!」
「……」
「ジキルは、仕事も住む場所も全部捨ててお前を選んだ。何も持っていなかったあいつがやっと手にした大事な場所だったのに……。全部、お前のせいだ。お前のせいでジキルが死んだんだ!」
エリュシオンは、逃げるようにギュッと目をつぶった後に、覚悟したように目を開いた。
「ジキルは、俺が殺した」
一瞬だけ世界が止まったような沈黙が流れたが、魔法が解けたようにノーチが動き出した。
「何で……。どうしてジキルを裏切ったんだ?」
「……」
「もういい。理由なんてどうでもいい。お前を殺してジキルの仇を取ってやる!!」
ノーチがエリュシオンに飛びかかる。エリュシオンも、それに応えて二人の間で激しい打ち合いが始まった。
30分もしないうちに参加者は半数以下になり、あっという間に8人になった。
「はい。第一次予選はここまでーーーーーーー。近年稀ににみる早さで決着しました。精鋭ぞろいに違いありません!!ここで5分休憩したのち、次の対戦相手を発表していきます」
決着のつかなかったエリュシオンとノーチは、お互いに睨みあっていたが、他の人間と同じように一旦ドアの向こう側へと移動していった。
周囲は熱狂に包まれた。
「きゃあああああああああ。ノーチ様、頑張って!!」
「ノーチ様!!素敵!!!」
ノーチ・フォティア……。懐かしい男だ。彼は、赤の騎士団に所属していてジキルであったとき、親友だった男だ。
ロタンの騎士団の制服である赤を基本とした服を着ている彼は、人目を引いた。
彼は、温かみのある茶色の髪の毛に、切れ長の琥珀色の瞳をしている長身だ。彫りの深いくっきりとした顔立ちをしていて、まるで太陽みたいな雰囲気の正統派のイケメンである。相変わらず赤いルビーのイヤリングを右耳につけている。何年たってもあいつは、変わらないだろう。
色男ノーチは女性に人気みたいで、周囲から黄色い歓声を浴びている。もてなさそうな男たちから囲まれた狙い撃ちされているが、鮮やかな剣裁きで危なげなくかわしている。
エリュシオンは目立つからすぐに見つかった。彼も、汗一つかくことなく冷静に周囲を見渡して戦っている。
「あの大男も強そうだな」
僕は、身長2メートルはありそうなハデた大男を指さした。タンクトップ姿で、軽く鞭を振り回しただけで、4人ほど吹っ飛んだ。あまりの迫力にほかの参加者もビビっている。
「彼は、フレデリク・レスキナといって、王都では有名な男だ。普段は、王宮で働いているが、今日の大会のためにルジアからやってきたらしい」
「彼も優勝候補だな」
そんな風に話していると、エリュシオンの方へ近づいていくノーチの姿が見つかった。そして、ノーチは挨拶代わりに、エリュシオンに切りかかりながら話しかけた。
「エリュシオン、聞きたいことがある。ジキルは誰が殺した?」
久しぶりに自分の名前を聞いたせいか、ドキリとしてしまう。まだ、僕のことを忘れていなかったのか。優しくて誠実なノーチらしい。
「……」
エリュシオンは、言葉に詰まっている。こんな殺気だった男を前にして、自分が殺したなんて言えないのだろう。
ノーチは、更に彼を追い詰めるように言葉を重ねながら打ち込んでいく。エリュシオンは、後ろめたい気持ちがあるせいか、防戦一方になっていく。
「お前は、ジキルと一緒に逃げたはずだ。だけど、どうしてお前だけが生きている?生きているどころか、ハデスの下で随分出世したみたいだな」
「俺は……。どうしてそんなことを聞く?あんたは、ジキルにとってどんな存在だったんだ?」
「そんなこと関係ないだろう。早く答えろよ!」
「……」
「ジキルは、仕事も住む場所も全部捨ててお前を選んだ。何も持っていなかったあいつがやっと手にした大事な場所だったのに……。全部、お前のせいだ。お前のせいでジキルが死んだんだ!」
エリュシオンは、逃げるようにギュッと目をつぶった後に、覚悟したように目を開いた。
「ジキルは、俺が殺した」
一瞬だけ世界が止まったような沈黙が流れたが、魔法が解けたようにノーチが動き出した。
「何で……。どうしてジキルを裏切ったんだ?」
「……」
「もういい。理由なんてどうでもいい。お前を殺してジキルの仇を取ってやる!!」
ノーチがエリュシオンに飛びかかる。エリュシオンも、それに応えて二人の間で激しい打ち合いが始まった。
30分もしないうちに参加者は半数以下になり、あっという間に8人になった。
「はい。第一次予選はここまでーーーーーーー。近年稀ににみる早さで決着しました。精鋭ぞろいに違いありません!!ここで5分休憩したのち、次の対戦相手を発表していきます」
決着のつかなかったエリュシオンとノーチは、お互いに睨みあっていたが、他の人間と同じように一旦ドアの向こう側へと移動していった。
12
あなたにおすすめの小説
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる