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ファントムアイランド
雷
しおりを挟む「危ないっ!!」
跳躍しながら、ネプトに飛びかかろうとしている魔物が視界に入る。
「姫様あああああああっ!!!!!」
少し離れたところにいるバルドルが悲痛な叫び声をあげる。
ああ、どうしてこんなにも無力なんだろう。
「ネプトに手を出すなあああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ほら、泣きながら叫ぶことしかできない……。
その時、大空がピカッと光り輝き、大きな雷がピカッゴロゴロと落ちた。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ」
「ああああああああああああああああああああああああああああああ」
「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」
一万を超える魔獣や魔人、悲鳴をあげてのたうち回る。辺りに地震でも起きたかのような巨大な悲鳴と揺れが数秒間起こる。
「きゃああ!!」
「姫様っ」
バルドルは急いでネプトに駆け寄り庇うように背後から抱きしめた。何故か雷は、俺とネプト、バルドル、スノー、ロキには当たらなかった。
気が付いた時には、雷は止まり、全ての魔物や魔人が倒れていた。辺りには、肉が焼けこげた嫌な匂いが充満している。
「どういうこと……」
呆然としながら、ネプトが呟く。
「た、助かったのか……」
バルドルも、魂が抜けたような顔をする。
周囲には焼け焦げた死体の山が転がっている。
「ふふふふふふふふふふ。まさかこれほどとは」
ロキの不気味な笑い声がやけに響いた。
「今のは、お前の力か」
バルドルが怯えたような目で見てきた。
「違う。俺じゃない。ただの偶然だ……。俺にこんな力があるわけない」
「違う。今のは、お前の力だ」
ロキは、アメジストの瞳をまっすぐに俺の方へ向けてそう宣言した。
「あはっ」
乾いた少女の笑い声が響く。
「あははははははははっははははははは……」
緊張の糸が切れてしまったのかネプトは、狂ったように笑い出した。
「ほら、私が言った通りでしょう」
潤んだ目で、勝ち誇ったようにそう言った後に、彼女は何故か俺の方に走ってきた。そして、殴るような激しい勢いで抱きついてきた。
「うっ……。ね、ネプト?」
驚きのあまり声が裏返る。
「死ぬかと思ったんだから……。もっと早くにやりなさいよ……」
肩越しにすすり泣く声が聞こえる。よほど怖かったのか、ネプトはブルブルと震えていた。
「ごめん……」
「許すわ」
「なんだよ、それ」
思わず笑うと、ネプトも肩越しで笑う気配がした。
バルドルは悔しそうに唇を嚙みしめながらこちらを見てくるが、何も言ってこない。
俺は、一体どうすればいいんだろう。
わからない。だけど、今だけはこの温もりを手放したくない。
慰めるように、ネプトの背中に手を添える。
少女の震えが落ち着くまで、そっと抱きしめ続けた。
不意にバサバサっと大空を揺るがすような大きな音が響き渡る。
『今の雷を起こしたのは、お前か!!!!』
金色の瞳が俺を射抜くように見ていた。
そこにいたのは、竜だった。青みがかった美しい鱗をもつ、巨大なドラゴンだ。全長百メートルはあるのだろうか。こんなに大きくて美しい動物は初めてみた。
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