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溺死
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シオンの治療を医者にさせてしまった僕は、頭を抱えていた。
どうしよう。ヤバいング。
シオンを助けてしまった。
カルタヤ人嫌いで評判のあるギルが、カルタヤ人に手を差し伸べてしまったら不審に思われるに決まっている。
すぐにレイヴンと蹴りをつけなければいけない。
そのためにまずしなければいけないことは……。チラリとエンデュミオンを見る。最近のエンデュミオンは、護衛らしく鎧を身につけている。
「エンデュミオン、今すぐその鎧を脱げ」
「はいィ?」
こいつが目をキョトンとさせるなんてレアだなと思いながらも、続ける。
「いいから、早くしろ。今すぐ鎧を脱いでおけ」
「どうしてですか」
「まあ、気にするな。とにかく僕のいった通りにしておけ」
まさかギル様が××するつもりじゃ……などとぶつくさ呟く声が聞こえた気がしたが、聞こえなかったことにした。
レイヴンとは、僕がシオンを助けたということを知られる前に決着をつける必要がある。
「Xに関して話がある」という名目で呼びつけ、人気のない場所につれてきた。
2メートルほどの小さな崖の下には、大きな湖が見える。深さは、3メートルほどだ。
太陽の光が差し込んでいる湖は、宝石を散りばめたようにキラキラと光り輝いていた。今から、ここで死人が二人でるかもしれないと怖くなる。
「ギル様、話とは何ですか」
童貞眼鏡は、恐る恐る問いかけてきた。
「お前のことをもう首にすることにした」
そう告げた途端、彼の顔から血の気がなくなった。
「どうして約束の時間を3日短縮させたのですか」
「どうせ、3日じゃ何もできない。役立たずの探偵にしびれを切らした」
「待ってください。あと、3日あるじゃないですか」
「黙れ!!エンデュミオン、こいつの手首と足首を縛り上げろ」
「……了解です」
逃げようとしたレイヴンをあっという間に、エンデュミオンが捕まえた。そして、素早い動きでレイヴンを縛り上げた。
縛り上げられても、レイヴンは僕の足にすがりついた。
「……っ。僕は、このまま謎を解かないまま死にたくありません。どうか、あと、一か月時間をください。そしたら、何かを掴めそうな気がするんです」
かすれた声が僕の心を揺さぶる。その灰色の目には、全てをかけている証の情熱が宿っている。
ああ、そうだ。このままだとお前は、何かを掴んでしまう。そうなると、僕は困るんだよ。
「お願いします。何でもします。ただこの謎を解くことに命をかけたいんです。もう一度、僕にチャンスをください」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、必死に頼み込んでくる。
「残念だけど、時間切れだ」
その言葉を聞いた彼の表情は、絶望に染まった。
「そんな……」
灰色の瞳から希望と生気が抜けていく。
「僕には、役立たずの駒は必要ない。消えろ」
サッカーでもするように縛られたレイヴンを蹴って、2メートルほどの高さのある崖から突き落とす。すぐに派手な水しぶきをあげて、崖の下の湖に落ちた。
エンデュミオンは、湖を光のない瞳で見つめていた。そんな彼を怒鳴りつける。
「おい、エンデュミオン。何、突っ立っているんだ?早くレイヴンを助けろよ」
「ギル様が突き落としたのに助けるんですか」
驚く彼をギロリと睨みつける。
「早くしろ」
「了解です」
ザバーンと勢いよくエンデュミオンが飛び込んだ。
それと同時に、僕は、しっかりとしてそうな木にロープをくくりつける。そのロープを湖に垂らす。
頼むから二人とも無事でいてくれ。
そんな祈りが通じたのか、「ぷはっ」という顔をあげる音と共に、レイヴンを手で支えているエンデュミオンの姿が見えた。
問題は、ここからだ。
両手両足が縛られたレイヴンを引き上げなければいけない。
「おい、エンデュミオン。そいつをロープに結び付けろ。引き上げるから」
しかし、次の瞬間、ドスンと荷物のようにレイヴンが岸に投げられた。
いや、確かにこの方が早いけれど……お前そんな力あったんだ。
……ていうか、僕がロープを結んだ意味とかなくない?お前なら、ロープなんてなくても自力であの辺の岸にあがれたよね。
などと思いながらも、下の方へ降りていきレイヴンに近づき呼吸を確認する。
「ウう……。ゲホ、ゲホ……」
せき込みながら、彼は水を吐きだした。これなら大丈夫だろう。
急いで結んだロープをナイフで切り、楽な体勢にさせる。そして、脈拍も確認する。
どうしよう。ヤバいング。
シオンを助けてしまった。
カルタヤ人嫌いで評判のあるギルが、カルタヤ人に手を差し伸べてしまったら不審に思われるに決まっている。
すぐにレイヴンと蹴りをつけなければいけない。
そのためにまずしなければいけないことは……。チラリとエンデュミオンを見る。最近のエンデュミオンは、護衛らしく鎧を身につけている。
「エンデュミオン、今すぐその鎧を脱げ」
「はいィ?」
こいつが目をキョトンとさせるなんてレアだなと思いながらも、続ける。
「いいから、早くしろ。今すぐ鎧を脱いでおけ」
「どうしてですか」
「まあ、気にするな。とにかく僕のいった通りにしておけ」
まさかギル様が××するつもりじゃ……などとぶつくさ呟く声が聞こえた気がしたが、聞こえなかったことにした。
レイヴンとは、僕がシオンを助けたということを知られる前に決着をつける必要がある。
「Xに関して話がある」という名目で呼びつけ、人気のない場所につれてきた。
2メートルほどの小さな崖の下には、大きな湖が見える。深さは、3メートルほどだ。
太陽の光が差し込んでいる湖は、宝石を散りばめたようにキラキラと光り輝いていた。今から、ここで死人が二人でるかもしれないと怖くなる。
「ギル様、話とは何ですか」
童貞眼鏡は、恐る恐る問いかけてきた。
「お前のことをもう首にすることにした」
そう告げた途端、彼の顔から血の気がなくなった。
「どうして約束の時間を3日短縮させたのですか」
「どうせ、3日じゃ何もできない。役立たずの探偵にしびれを切らした」
「待ってください。あと、3日あるじゃないですか」
「黙れ!!エンデュミオン、こいつの手首と足首を縛り上げろ」
「……了解です」
逃げようとしたレイヴンをあっという間に、エンデュミオンが捕まえた。そして、素早い動きでレイヴンを縛り上げた。
縛り上げられても、レイヴンは僕の足にすがりついた。
「……っ。僕は、このまま謎を解かないまま死にたくありません。どうか、あと、一か月時間をください。そしたら、何かを掴めそうな気がするんです」
かすれた声が僕の心を揺さぶる。その灰色の目には、全てをかけている証の情熱が宿っている。
ああ、そうだ。このままだとお前は、何かを掴んでしまう。そうなると、僕は困るんだよ。
「お願いします。何でもします。ただこの謎を解くことに命をかけたいんです。もう一度、僕にチャンスをください」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、必死に頼み込んでくる。
「残念だけど、時間切れだ」
その言葉を聞いた彼の表情は、絶望に染まった。
「そんな……」
灰色の瞳から希望と生気が抜けていく。
「僕には、役立たずの駒は必要ない。消えろ」
サッカーでもするように縛られたレイヴンを蹴って、2メートルほどの高さのある崖から突き落とす。すぐに派手な水しぶきをあげて、崖の下の湖に落ちた。
エンデュミオンは、湖を光のない瞳で見つめていた。そんな彼を怒鳴りつける。
「おい、エンデュミオン。何、突っ立っているんだ?早くレイヴンを助けろよ」
「ギル様が突き落としたのに助けるんですか」
驚く彼をギロリと睨みつける。
「早くしろ」
「了解です」
ザバーンと勢いよくエンデュミオンが飛び込んだ。
それと同時に、僕は、しっかりとしてそうな木にロープをくくりつける。そのロープを湖に垂らす。
頼むから二人とも無事でいてくれ。
そんな祈りが通じたのか、「ぷはっ」という顔をあげる音と共に、レイヴンを手で支えているエンデュミオンの姿が見えた。
問題は、ここからだ。
両手両足が縛られたレイヴンを引き上げなければいけない。
「おい、エンデュミオン。そいつをロープに結び付けろ。引き上げるから」
しかし、次の瞬間、ドスンと荷物のようにレイヴンが岸に投げられた。
いや、確かにこの方が早いけれど……お前そんな力あったんだ。
……ていうか、僕がロープを結んだ意味とかなくない?お前なら、ロープなんてなくても自力であの辺の岸にあがれたよね。
などと思いながらも、下の方へ降りていきレイヴンに近づき呼吸を確認する。
「ウう……。ゲホ、ゲホ……」
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