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17 後は野となれ山となれ②
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なんで・・?
どうして?
オレは生きているのかな?
お母さんが・・お父さん・・お兄ちゃん・・お姉ちゃんがいたけど・・顔なんか覚えていない。
村の近くの樹林で遊んでいただけなのに。
急に真っ黒な煙に、鼻が効かなくて・・。
気がついたら手足に鎖をはめられていた。
何度も逃げ出そうとしたけど・・何度も殴られて。
白い砂が何処までも続く。
奴隷達は鎖に繋がれて歩く。
大きな大きな白い国。
奴隷達が、競り落とされる。
隙を見てオレはまた脱走した。
走って走って走ってーーーー。
「大丈夫? お水よ」
柔らかな腕の中でオレは目を開けたんだ。
真っ赤な髪にココナッツ色の綺麗な肌。
緑色の宝石のような目の女が、オレに水を飲ませてくれる。
「この鎖を外してあげたいけど・・私には無理・・ね」
女の力で切れるものではない。
「名前は?」
「39番」
「・・・・。」
それはオレを、そう呼ぶ奴隷商人達が付けた番号。
「ごめんね・・。連れ去られたのでしょう? 生きて・・って残酷な言葉よね。だけど生きて。私の赤ちゃんの分も・・」
身体の痛みが消えていく。
この女が奴隷のオレに癒し魔法をかけてくれている。
「サフルール様! またこの様な場所に」
「すみません・・。」
女は憲兵だろう男達に連れられて行った。
オレはまた奴隷商人達に捕まった。
いくつもいくつも街を移動した神国のプラトーで、オレはあの女に似た子供を見た気がした。
売れ残ったオレはこの街で、冒険者の荷物持ちとして買われる。
まだ子供だけど、人族よりは力が強い。
獣人達は八歳ごろから大人と一緒に働く。
だけどオレは奴隷だから・・。
冒険者が奴隷を荷物持ちに選ぶのは、最悪の場合餌にし、その間に退却すると聞いた。
奴隷は物で、者じゃない。
オレも仲間達と狩りをしたり、したかった・・な。
『生きて・・って残酷な言葉よね』
あの女の言葉を思い出す。
本当にそうだよ。
===================
プラトーダンジョンの地下は広く、そして複雑な地形が続く。
石の柱が所々にあるが、どれも、これも同じ様に見え、どろどろしたゾンビ君やら、ホネ助君に、ふわふわ漂うゴーストさん。
「私ってこのフロアーは、絶対に来たくない! ええ、アイアンカードになる為なら他の街のダンジョンって方法もあるし! もう、ここは封印されるべき。カーラの訳の分からない詠唱も怖いわ!」
「私は好きかも~」
ホネ助君もどろどろゾンビ君も、ドローシパーンチやレージングルチョップに、浄化魔法を乗っけると、気持ちよいくらいに消えていく。
お経を唱えながらだから、いつもの狩りと違い彼等(魔物ちゃん達ね)のお役に立つ感が半端ないのだ。
ふわふわ漂うゴーストさんに、一つ思いついた方法を試す。
「渦巻きレージングル」
それは浄化魔法と言う甘いお砂糖を乗せた渦巻きレーズンパンのように、ぐるぐると左手のレージングルを振り回す。
面白いくらいにゴーストさん達が、渦に巻き込まれて消えてしまった。
「いいわ!それを続けて~ぇ。もうぐるぐるぐるって。無事に帰ってカリンちゃんに、渦巻きレーズンパンと胡桃パンを焼いてもらおう。」
「お腹が空いたね~」
ぐぎゅ~とお腹がなる。
ノアが、カリンちゃんの焼き立てパンの話をしたからだ。
「やめないでーーーーぇ! 続けてーーーぇ!」
せっせと魔石を拾いながらノアの懇願する声が響く。
「でもお腹が空いて・・」
「何か片手間で食べながらよ。絶対に左手は止めないで」
何かって・・。
今日は森狼を狩るだけだと思っていたからな。
森狼は解体しないと食べれないし、そもそもクエスト達成の獲物だから、手を付けたらダメ。
「シグルーンが入れてくれた干し肉があった!」
右手で、ウエストポーチを漁る。
大きな干し肉が出てきた。
スパイシーな香りが食欲をそそる。
ノアにも一つ渡すと、何やら驚愕しているのだ。
「おひしいよ。あらひの大好物」
「食べながら話さない」
「は~ひ」
一口ノアは干し肉にかぶりつく。
「これってやっぱり、スパイシーケルウス」
「そうなんだ~。」
ヴェルジュが大きな鹿を持ち帰った鹿肉ジャーキーなのだが、食べるとスパイシーで、とても美味しい。
ロイ爺さんが干し肉にしたら長持ちすると、教えてくれた。
生も良いが、干し肉にするとまた風味が増すんだな。
それは、シグルーンと私の好物になったのです。
「スパイシーケルウスは超偏食な鹿で、自分の好きな香草しか食べない。だから、食べる香草により、味が違うんだよ。警戒心が強くて逃げ足が早いから中々狩るのが、難しいんだ。高貴な人しか食べれない高級食材。」
この世界には偏食鹿までいるんだね。
「カーラはやっぱり、お嬢様でしょう?」
「ちがうよ。ヴェルジュのお土産ですよ。」
「なるほど! だったら納得。きっと高貴な人を癒してさしあげたんだわ。そのお礼がスパイシーケルウス。」
ノアは、一人で納得していますが、ヴェルジュは「私も狩りくらいはできるのですよ~えっへん!」とか言っていたけどな。
シグルーンが鹿肉ジャーキーを気に入り、珍しく、ヴェルジュを褒めて運ばせていたことは秘密だ。
「ねぇ、完全に見失ったよね」
「うん。見失うと言うか迷子だけど」
お腹も落ち着き、アンデットの襲撃も落ち着いた頃、私達は、現実に戻りました。
心を落ち着かせ、目を閉じる。
すると、前世の目が見えない時の感覚。
全神経が、敏感になり、気配を感知できる。
これができるのに、気配を消せないってどーよ!?
「かなり奥の方・・だけど異常に強い気配もするよ」
「強い気配? 今だってソードスケルトンとかシャーマンスケルトンにアンデットだらけなのにーーーっ!キングとかシャレにならないよ? 違うよね?」
剣を持ちのホネ助君はソードスケルトンって言うんだ~。
キングって王様だよね。
もう一度確認します。
「キングってのはわからないけど、かなりの数と、強そうなのがいるよ」
だけど、シグルーンに比べると・・キングじゃないかも。
「早く行かなきゃ!囲まれています」
「じゃ、私達じゃ無理ーーーーっ!」
ノアを背に乗せ、レージングルを振り回しながら、全力疾走した。
「じぬーーーーっ!」
ノアが、叫ぶが止まりません。
私達が行っても役に立たないかもしれないけど、あの子を見殺しにはしたくない。
冒険者は自分の意志で、危険なダンジョンに挑む。
それは報酬の為、自身の為。
だけど、あの子は違います。
冒険者仲間じゃなくて、奴隷として、嫌なのに行かされる。
どれだけ走った?
あっという間のよう。
「・・・むむり・・」
ガクッとノアが、失神しました。
「白玉ピュリフィケイション」
丸い物を思い浮かべたら白玉団子が浮かび上がる。
スパイシーな干し肉を食べたら、甘いものが欲しくなるのです。
ただ、分厚い浄化魔法の球体をと思っただけなんだけど。
ノアを包む浄化魔法の球体。
潜伏って思い込んでいたヤツよ。
「これで良し!」
近づくアンデットは触れると昇天するでしょう。
アイアンカードの人達は、各々に光の魔石を所持し、ウィザードとプリーストが攻撃して、剣士と闘士が彼女達を守る。
だけど荷物持ちの子供はーーーー!
「やめてぇぇーーーー!」
叫んで飛び出す。
巨大なスケルトが、今まさに子供を踏みつぶそうとしていた。
「誰だ!?」
「私達を助けてくれるの?」
聞こえる声よりも早く、私は、巨大なスケルトンの足裏に滑り込み、子供をノアと同じく球体に入れて投げた。
べっしゃぁぁぁーー!
「踏まれた」
「潰されたわ」
「奴隷をかばったぞ! それにあの球体は?」
「魔物が触れると浄化しているわ」
誰がホネ助親分に潰されたです?
私ですか?
骨の癖に重いが、だが持ち上げられない重さじゃない。
「あいつを出して、俺達が入るんだ!奴隷を捨てて脱出するぞ」
その声で何かが、ぷっりと切れました。
「捨てる・・ねぇ? 捨てるって今言ったよね?」
巨大なスケルトンを払いのけ、リーダーの男に聞きました。
「・・あぁ・・お・・おま・・」
「捨てるなら・・ちょうだい? 私にちょうだい・・な」
「「「「ひぃぃぃぃーーーーっ!」」」」
怯えた顔で私を、見る。
うぉぉぉぉぉーーーっと巨大なスケルトンがうるさい!
今交渉中なんです!
「静かにして」
レージングルをぐるぐると回して、巨大なスケルトンを拘束する。
「ねぇ? いらないなら・・」
「わ、わかった! だが、ここのアンデットをお前が倒したならな」
言霊は取りました。
埋め尽くすくらいに湧き出るアンデットモンスター
「どけっ!」
その声に振り向くと、男の子が大きな荷物と共に放り出された、変わりに光の竜メンバーがその中に入ったのだ。
ぶちぶちと何かが切れた。
おぞましいくらいに、気持ちが悪い。
「あっちに女の子が、気絶しています。その子と一緒にいてあげてください」
背負う荷物を片手で、奪い、獣人の男の子を、ノアの方へと促した。
彼が、ノアを包む球体に入った事を確認しましたし・・・。
「私・・とても気持ち悪いです。本当に気持ち悪い・・のよぉぉぉぉーーーーー!」
ドローシパーンチで、骨軍団をボコります。
骨の親分は、レージングルで、ぼきぼきにしたあと、昇天させた。
ゾンビ君達はドローシで突き刺して振り回す。
はい! もう暴れ狂うってのはこのことかしら。
「 カーラって暴れ狂う者って事なんだからねーーー!」
球体の中で、青ざめる先輩冒険者達。
怯えろ!
そう、あの子はもっと怖かったのだから。
私は、笑っていた。
なんだろう・・。
身体の細胞が、凄く高揚しているような。
「はーい! そこまでね」
耳のそばで声がした。
「・・・!?」
「マリアンヌが心配しているから。お姫様」
トンと首の後ろに衝撃を受けた。
そのまま意識が遠くなりました。
===============
冒険者ギルドの三階。
ギルドマスターの執務室。
「カーラが一人でスケルトンキングをか」
「そうよ! あの子のレベルが青銅のカードってどうなの? ゴールドカードは行き過ぎでもシルバーカードはいくんじゃない。全滅させていたしね。それにあれは小さなベルセルク。」
「さすが、筋肉凶暴女の弟子でしょうか・・はぁ!」
マリアンヌは慌てて口をふさいだ。
それは秘密だった。
「ふ~ん・・。ウール様の弟子ね~大樽追加」
「ふぇ~ん」
給料三か月分なんて無理だとマリアンヌは泣いた。
「ダンジョンで、拾った魔石がたくさんあるし、チャラでいいわ」
「ミィーシャ~」
大好きとマリアンヌはミィーシャに抱きついた。
「お前さんはちゃっかりと」
「当たり前。ちゃんとC級達も、ハーフエルフとお姫様に奴隷の獣人まで、連れ帰ったんだから、それくらいあいつらに払わせなきゃさ。世の中、タダより高い物はないんだ」
ミィーシャは、そう言うと執務室を出ていった。
「勝手をし、申し訳ございません。」
「いや、青銅のカードの者を気遣い、いち早く判断した事だ。万が一何かあったら・・」
二人の顔色が変わった。
「白の聖女様に合わせる顔がない! 」
「筋肉凶暴女の逆襲ーーーーっ!」
同時に叫び顔を見合わせ、ほっと息をはいた。
「カーラを青銅のカードから、ブロンズカードへ」
「はい、マスター」
「それと、引き続き君がカーラの担当でいてくれ」
「げっ!」
「げっ!?」
マリアンヌは一つ咳をした。
「サブ職の事や、どう言った方向性で戦うかを、アドバイスして欲しい。優秀な君だから任せる」
優秀なと言う言葉にマリアンヌは、姿勢を正す。
「はい、マスター。あと、ミィーシャの報告で、チーム光の竜が所有していた奴隷を、カーラが譲り受けた事ですが・・」
「本当だ。ケインらから聞いた。何やら凄く怯えて返却は無しでと言っていたがな」
マリアンヌが、執務室を出たあと、ランドグリスは、大きく息をはく。
今、北の国境付近に出没した厄災級のモンスター討伐に、シグルーンを行かせた。
もちろんヴェルジュもだ。
そしてもう一人のS級冒険者。
ただそれでも勝利の確率は低い。
国も、軍を動かすが、単独で移動できる冒険者達が、先発したのだ。
北の国境付近の村や街の被害は相当大きい。
今回プラトーダンジョンの地下にスケルトンキングが現れた。
キングの確認は今まで無かったのだ。
厄災級の魔獣の出現。
何か・・・。
「カーラが無事で良かった。ヴェルジュ様が留守中に何かあったら・・俺は生きていけねーよ。それにあの筋肉凶暴女が、体をはり、厄災と戦っている。憎ったらしいが、命をかけた任務に向かってくれたのだ。他のA級冒険者達を巻き込まないように、悪態をついてな」
ランドグリスの独り言だ。
どうして?
オレは生きているのかな?
お母さんが・・お父さん・・お兄ちゃん・・お姉ちゃんがいたけど・・顔なんか覚えていない。
村の近くの樹林で遊んでいただけなのに。
急に真っ黒な煙に、鼻が効かなくて・・。
気がついたら手足に鎖をはめられていた。
何度も逃げ出そうとしたけど・・何度も殴られて。
白い砂が何処までも続く。
奴隷達は鎖に繋がれて歩く。
大きな大きな白い国。
奴隷達が、競り落とされる。
隙を見てオレはまた脱走した。
走って走って走ってーーーー。
「大丈夫? お水よ」
柔らかな腕の中でオレは目を開けたんだ。
真っ赤な髪にココナッツ色の綺麗な肌。
緑色の宝石のような目の女が、オレに水を飲ませてくれる。
「この鎖を外してあげたいけど・・私には無理・・ね」
女の力で切れるものではない。
「名前は?」
「39番」
「・・・・。」
それはオレを、そう呼ぶ奴隷商人達が付けた番号。
「ごめんね・・。連れ去られたのでしょう? 生きて・・って残酷な言葉よね。だけど生きて。私の赤ちゃんの分も・・」
身体の痛みが消えていく。
この女が奴隷のオレに癒し魔法をかけてくれている。
「サフルール様! またこの様な場所に」
「すみません・・。」
女は憲兵だろう男達に連れられて行った。
オレはまた奴隷商人達に捕まった。
いくつもいくつも街を移動した神国のプラトーで、オレはあの女に似た子供を見た気がした。
売れ残ったオレはこの街で、冒険者の荷物持ちとして買われる。
まだ子供だけど、人族よりは力が強い。
獣人達は八歳ごろから大人と一緒に働く。
だけどオレは奴隷だから・・。
冒険者が奴隷を荷物持ちに選ぶのは、最悪の場合餌にし、その間に退却すると聞いた。
奴隷は物で、者じゃない。
オレも仲間達と狩りをしたり、したかった・・な。
『生きて・・って残酷な言葉よね』
あの女の言葉を思い出す。
本当にそうだよ。
===================
プラトーダンジョンの地下は広く、そして複雑な地形が続く。
石の柱が所々にあるが、どれも、これも同じ様に見え、どろどろしたゾンビ君やら、ホネ助君に、ふわふわ漂うゴーストさん。
「私ってこのフロアーは、絶対に来たくない! ええ、アイアンカードになる為なら他の街のダンジョンって方法もあるし! もう、ここは封印されるべき。カーラの訳の分からない詠唱も怖いわ!」
「私は好きかも~」
ホネ助君もどろどろゾンビ君も、ドローシパーンチやレージングルチョップに、浄化魔法を乗っけると、気持ちよいくらいに消えていく。
お経を唱えながらだから、いつもの狩りと違い彼等(魔物ちゃん達ね)のお役に立つ感が半端ないのだ。
ふわふわ漂うゴーストさんに、一つ思いついた方法を試す。
「渦巻きレージングル」
それは浄化魔法と言う甘いお砂糖を乗せた渦巻きレーズンパンのように、ぐるぐると左手のレージングルを振り回す。
面白いくらいにゴーストさん達が、渦に巻き込まれて消えてしまった。
「いいわ!それを続けて~ぇ。もうぐるぐるぐるって。無事に帰ってカリンちゃんに、渦巻きレーズンパンと胡桃パンを焼いてもらおう。」
「お腹が空いたね~」
ぐぎゅ~とお腹がなる。
ノアが、カリンちゃんの焼き立てパンの話をしたからだ。
「やめないでーーーーぇ! 続けてーーーぇ!」
せっせと魔石を拾いながらノアの懇願する声が響く。
「でもお腹が空いて・・」
「何か片手間で食べながらよ。絶対に左手は止めないで」
何かって・・。
今日は森狼を狩るだけだと思っていたからな。
森狼は解体しないと食べれないし、そもそもクエスト達成の獲物だから、手を付けたらダメ。
「シグルーンが入れてくれた干し肉があった!」
右手で、ウエストポーチを漁る。
大きな干し肉が出てきた。
スパイシーな香りが食欲をそそる。
ノアにも一つ渡すと、何やら驚愕しているのだ。
「おひしいよ。あらひの大好物」
「食べながら話さない」
「は~ひ」
一口ノアは干し肉にかぶりつく。
「これってやっぱり、スパイシーケルウス」
「そうなんだ~。」
ヴェルジュが大きな鹿を持ち帰った鹿肉ジャーキーなのだが、食べるとスパイシーで、とても美味しい。
ロイ爺さんが干し肉にしたら長持ちすると、教えてくれた。
生も良いが、干し肉にするとまた風味が増すんだな。
それは、シグルーンと私の好物になったのです。
「スパイシーケルウスは超偏食な鹿で、自分の好きな香草しか食べない。だから、食べる香草により、味が違うんだよ。警戒心が強くて逃げ足が早いから中々狩るのが、難しいんだ。高貴な人しか食べれない高級食材。」
この世界には偏食鹿までいるんだね。
「カーラはやっぱり、お嬢様でしょう?」
「ちがうよ。ヴェルジュのお土産ですよ。」
「なるほど! だったら納得。きっと高貴な人を癒してさしあげたんだわ。そのお礼がスパイシーケルウス。」
ノアは、一人で納得していますが、ヴェルジュは「私も狩りくらいはできるのですよ~えっへん!」とか言っていたけどな。
シグルーンが鹿肉ジャーキーを気に入り、珍しく、ヴェルジュを褒めて運ばせていたことは秘密だ。
「ねぇ、完全に見失ったよね」
「うん。見失うと言うか迷子だけど」
お腹も落ち着き、アンデットの襲撃も落ち着いた頃、私達は、現実に戻りました。
心を落ち着かせ、目を閉じる。
すると、前世の目が見えない時の感覚。
全神経が、敏感になり、気配を感知できる。
これができるのに、気配を消せないってどーよ!?
「かなり奥の方・・だけど異常に強い気配もするよ」
「強い気配? 今だってソードスケルトンとかシャーマンスケルトンにアンデットだらけなのにーーーっ!キングとかシャレにならないよ? 違うよね?」
剣を持ちのホネ助君はソードスケルトンって言うんだ~。
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もう一度確認します。
「キングってのはわからないけど、かなりの数と、強そうなのがいるよ」
だけど、シグルーンに比べると・・キングじゃないかも。
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「じゃ、私達じゃ無理ーーーーっ!」
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「じぬーーーーっ!」
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それは報酬の為、自身の為。
だけど、あの子は違います。
冒険者仲間じゃなくて、奴隷として、嫌なのに行かされる。
どれだけ走った?
あっという間のよう。
「・・・むむり・・」
ガクッとノアが、失神しました。
「白玉ピュリフィケイション」
丸い物を思い浮かべたら白玉団子が浮かび上がる。
スパイシーな干し肉を食べたら、甘いものが欲しくなるのです。
ただ、分厚い浄化魔法の球体をと思っただけなんだけど。
ノアを包む浄化魔法の球体。
潜伏って思い込んでいたヤツよ。
「これで良し!」
近づくアンデットは触れると昇天するでしょう。
アイアンカードの人達は、各々に光の魔石を所持し、ウィザードとプリーストが攻撃して、剣士と闘士が彼女達を守る。
だけど荷物持ちの子供はーーーー!
「やめてぇぇーーーー!」
叫んで飛び出す。
巨大なスケルトが、今まさに子供を踏みつぶそうとしていた。
「誰だ!?」
「私達を助けてくれるの?」
聞こえる声よりも早く、私は、巨大なスケルトンの足裏に滑り込み、子供をノアと同じく球体に入れて投げた。
べっしゃぁぁぁーー!
「踏まれた」
「潰されたわ」
「奴隷をかばったぞ! それにあの球体は?」
「魔物が触れると浄化しているわ」
誰がホネ助親分に潰されたです?
私ですか?
骨の癖に重いが、だが持ち上げられない重さじゃない。
「あいつを出して、俺達が入るんだ!奴隷を捨てて脱出するぞ」
その声で何かが、ぷっりと切れました。
「捨てる・・ねぇ? 捨てるって今言ったよね?」
巨大なスケルトンを払いのけ、リーダーの男に聞きました。
「・・あぁ・・お・・おま・・」
「捨てるなら・・ちょうだい? 私にちょうだい・・な」
「「「「ひぃぃぃぃーーーーっ!」」」」
怯えた顔で私を、見る。
うぉぉぉぉぉーーーっと巨大なスケルトンがうるさい!
今交渉中なんです!
「静かにして」
レージングルをぐるぐると回して、巨大なスケルトンを拘束する。
「ねぇ? いらないなら・・」
「わ、わかった! だが、ここのアンデットをお前が倒したならな」
言霊は取りました。
埋め尽くすくらいに湧き出るアンデットモンスター
「どけっ!」
その声に振り向くと、男の子が大きな荷物と共に放り出された、変わりに光の竜メンバーがその中に入ったのだ。
ぶちぶちと何かが切れた。
おぞましいくらいに、気持ちが悪い。
「あっちに女の子が、気絶しています。その子と一緒にいてあげてください」
背負う荷物を片手で、奪い、獣人の男の子を、ノアの方へと促した。
彼が、ノアを包む球体に入った事を確認しましたし・・・。
「私・・とても気持ち悪いです。本当に気持ち悪い・・のよぉぉぉぉーーーーー!」
ドローシパーンチで、骨軍団をボコります。
骨の親分は、レージングルで、ぼきぼきにしたあと、昇天させた。
ゾンビ君達はドローシで突き刺して振り回す。
はい! もう暴れ狂うってのはこのことかしら。
「 カーラって暴れ狂う者って事なんだからねーーー!」
球体の中で、青ざめる先輩冒険者達。
怯えろ!
そう、あの子はもっと怖かったのだから。
私は、笑っていた。
なんだろう・・。
身体の細胞が、凄く高揚しているような。
「はーい! そこまでね」
耳のそばで声がした。
「・・・!?」
「マリアンヌが心配しているから。お姫様」
トンと首の後ろに衝撃を受けた。
そのまま意識が遠くなりました。
===============
冒険者ギルドの三階。
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「カーラが一人でスケルトンキングをか」
「そうよ! あの子のレベルが青銅のカードってどうなの? ゴールドカードは行き過ぎでもシルバーカードはいくんじゃない。全滅させていたしね。それにあれは小さなベルセルク。」
「さすが、筋肉凶暴女の弟子でしょうか・・はぁ!」
マリアンヌは慌てて口をふさいだ。
それは秘密だった。
「ふ~ん・・。ウール様の弟子ね~大樽追加」
「ふぇ~ん」
給料三か月分なんて無理だとマリアンヌは泣いた。
「ダンジョンで、拾った魔石がたくさんあるし、チャラでいいわ」
「ミィーシャ~」
大好きとマリアンヌはミィーシャに抱きついた。
「お前さんはちゃっかりと」
「当たり前。ちゃんとC級達も、ハーフエルフとお姫様に奴隷の獣人まで、連れ帰ったんだから、それくらいあいつらに払わせなきゃさ。世の中、タダより高い物はないんだ」
ミィーシャは、そう言うと執務室を出ていった。
「勝手をし、申し訳ございません。」
「いや、青銅のカードの者を気遣い、いち早く判断した事だ。万が一何かあったら・・」
二人の顔色が変わった。
「白の聖女様に合わせる顔がない! 」
「筋肉凶暴女の逆襲ーーーーっ!」
同時に叫び顔を見合わせ、ほっと息をはいた。
「カーラを青銅のカードから、ブロンズカードへ」
「はい、マスター」
「それと、引き続き君がカーラの担当でいてくれ」
「げっ!」
「げっ!?」
マリアンヌは一つ咳をした。
「サブ職の事や、どう言った方向性で戦うかを、アドバイスして欲しい。優秀な君だから任せる」
優秀なと言う言葉にマリアンヌは、姿勢を正す。
「はい、マスター。あと、ミィーシャの報告で、チーム光の竜が所有していた奴隷を、カーラが譲り受けた事ですが・・」
「本当だ。ケインらから聞いた。何やら凄く怯えて返却は無しでと言っていたがな」
マリアンヌが、執務室を出たあと、ランドグリスは、大きく息をはく。
今、北の国境付近に出没した厄災級のモンスター討伐に、シグルーンを行かせた。
もちろんヴェルジュもだ。
そしてもう一人のS級冒険者。
ただそれでも勝利の確率は低い。
国も、軍を動かすが、単独で移動できる冒険者達が、先発したのだ。
北の国境付近の村や街の被害は相当大きい。
今回プラトーダンジョンの地下にスケルトンキングが現れた。
キングの確認は今まで無かったのだ。
厄災級の魔獣の出現。
何か・・・。
「カーラが無事で良かった。ヴェルジュ様が留守中に何かあったら・・俺は生きていけねーよ。それにあの筋肉凶暴女が、体をはり、厄災と戦っている。憎ったらしいが、命をかけた任務に向かってくれたのだ。他のA級冒険者達を巻き込まないように、悪態をついてな」
ランドグリスの独り言だ。
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ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
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青いウーパーと山椒魚
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皆さん勘違いしてません?
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本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
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第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
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主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
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異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
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父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
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