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26 三人寄れば文殊の知恵
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少年は馬を降り、瓦礫の町を見て回る。
どうしたらと嘆く者。
泣いている子供・・。
「ごめんなさい・・僕は・・無能です・・」
はらはらと少年の青い目から溢れる涙。
チラチラと雪が天から舞い降りる。
今年初めての雪は、サングリーズルに破壊された町や村に、寒さをも運んで来た。
================
何時間経過しただろう。
ヘルヴォルさんは、「・・しぼれ」とか「無駄な魔力は押さえろ」とか。
出来ないと大きなため息を吐く。
「うわぁ! 雪よ」
「雪だ!」
ところ変われば気候も変わる。
「・・もういい。ここからは本来の速度がよいだろう」
川幅が狭くなって来た。
やっと、このしごきから解放されました。
「大丈夫?」
「ノア・・キツイですよ。でもぶっ倒れないのが不思議」
ヴェルジュを回復させた時は、本当に意識を失ってしまったからね。
「この支流の先にワースティアの街があるんだって。それまでは休もう」
「うん。」
雪が吹雪いてきている。
私達は船室へと移動した。
中では、皆が、最速で移動した事を、はなしています。
陸路な三ヶ月以上かかり、水路なら、ひと月くらい。
そこを一日でほぼ到着するとは! ってね。
そりゃ、何百キロで、水上を移動したって思っているのか。
あのバリヤがなかったら、船はぶっ壊れていましたよ。
回復薬に、皆さんの魔力などで、何とかなったが、帰りはしないからね。
少しでも寝ていようと、私は、横になった。
ワースティアの街は、真っ白な雪が、積もっている。
「カーラ・・さ、寒い」
ガタガタとノアが震えている。
他の人達も、この気候の違いに衣服があっていません。
街で、防寒具を先に買わなくてはいけないだろう。
取り敢えず、ノアに私のポンチョ風の上着を貸してあげた。
寒さは平気。
氷の世界で、生きてきたしね。
ロイ印のウエストポーチから、ロイ爺さんが作ってくれたアイゼンを取り出して、ブーツにセットしました。
これで雪の上も楽々歩行できます。
「・・・ここから被害の地まで行かなくてはならないのか」
「そうよ~。そりで行くんじゃないかな」
ヘルヴォルさんの眉間に深くしわが浮ぶ。
かなり、イライラしている様子。
ミィーシャさんは、救援物資を運んで来たことを知らせに行った。
しばらくして、ミィーシャさんが、戻りました。
「ここから、そりで一週間以上かかる所に被害のあった町がある。そこに行くから、皆さん防寒着の用意をして」
そう言われても、所持金のある人はいいが、ない人もたくさんいました。
もう、仕方がありません。
これ以上、ヘルヴォルさんのストレスを増やすと何を、今度はするのかが、恐ろしい。
「カーラ? 裁縫箱を出して何をするの?」
「森狼の毛皮で、簡単な防寒着を作れるかな~と」
ざ! ミノもどきです。
チョキチョキチョキチョキーーーーーーーーー!!
チクチクチクチクチクチクーーーーーーーーー!!
「呪いの裁縫だわーーーぁ!」
「中々の集中力じゃの」
出来上がったのは、本当に簡単なミノ。
よく昔話で、藁ミノを着た村人さんとかいたじゃない?
それね。
全員の分までは無理だったが、魔法使い見習いと、治癒師見習いの分は出来た。
「助かります」
「ありがとう」
などとお礼がかえってくるが、ヘルヴォルさんを見ると、もうイライラの頂点がきているようにも思えます。
「・・・乗れ・・あとの者はお前が連れて来い」
ミィーシャさんに、指示している。
大きなそりに乗せられたのは森狼のミノを着た者達と、ダニエル達に、ノア。
職人さん達は後のよう。
「・・鎖ををそりにぶち込んだら、お前は俺とそりを引け」
「へぇ?」
「・・それくらいできないのか?」
この人は何を言っているのやら。
「お前らは、舌を噛まないよう。後、振り落とされても助けない」
なんか、めちゃくちゃ言っている。
取り敢えず言われた通りにドローシとレージングルをぶち込んだ。
「よし! お前と俺で、引っ張る。走れ!」
「えええっーーーーー!」
そりからは悲鳴が聞こえる。
最初の勢いで何人か落ちたが、ヘルヴォルは無視し、太い鎖のレージングルを持ち、走っていると言うか、もう飛んでいる。
私も初めは引きづられたが、しっかりと足を動かした。
真っ白な雪原。
真っ白な世界。
それは、あの氷の世界で、シグルーンや、ヴェルジュと駆け回った日々を思い出す。
次第に楽しくって、ヘルヴォルの動きについて行った。
「・・・シグルーンと駆けたか?」
「はい! ヴェルジュと三人で」
「では・・飛べ!」
「へっ?」
「足に魔力を・・。ついでにそりに防護の魔法を」
教えてくれている?
後ろを振り返ると、ノアが白目をむいていた。
リズは私の肩の上で、大はしゃぎですよ。
「しゃぼん玉をイメージして・・ピュリフィケイション」
「・・それは違う」
「あ・・バリヤでしたね」
しゃぼんのようなバリヤで、そりを覆う。
初めからしたらよかった・・かな。
ごめんね、ノア。
足に魔力。
飛ぶイメージは・・ロケット花火またはバネ?
大きなバネをイメージし、ジャンプする。
「ホッピング!」
跳躍力が違います。
ただ単に飛ぶよりも、断然こっちの方が飛距離が出る。
「・・よし。このまま駆けるぞ」
「はい!」
「わらわもじゃ~」
リズさんは何もしていませんから。
ヘルヴォルさんと雪原を駆ける。
見えてきたのは破壊された町。
町の周囲にある壁は、北側が、大きく壊されて、教会の塔が半分に折れている。
たくさんの瓦礫に雪が積もっていた。
「ここよりも・・もっと北側の村々の方が被害は大きい」
ぼそりと呟くヘルヴォルさんだ。
そう、彼はサングリーズルの討伐に出向き、サングリーズルを仕留めた。
ってリズはいるけど。
「では、ここに物資を半分で良いですか?」
「・・あぁ。それとどれくらい怪我人がいるか」
ロイ印のウエストポーチから、食料と、修繕物資を半分出す。
「わ・・おえっ・・」
それは厚化粧のミラーだ。
真っ青な顔をしながら、よろよろとそりをいち早く降りてきた。
「た、炊き出しをするから。あなたは、治癒師見習いや、魔法使い見習い達を連れて行って。」
「う、うっぷ・・。すまん。俺達は町の者に話を聞く」
鼻ピアスのガイルが、口を覆いながらそう言った。
ダニエルは、気絶している見習い達を起こしている。
「わかりました。では、すぐに食べれる食料もおいていきます」
それは、カリンちゃんが焼いてくれた胡桃パンと干し肉。
「わらわもじゃ~。甘々も所望するぞ」」
そう言って一番初めに手を出すリズ。
甘々とは、ビッグハニーの蜜袋のこと。
それを胡桃パンにた~ぷりつける。
頼むから、こぼさないでよ。
「ひとついただこう」
ヘルヴォルさんまで、ホカホカの胡桃パンに、どばどば~と蜜をかけて食べた。
とても気にいったのか、彼の手が、止まらない。
イライラはお腹が空いていたから?
すると、ノアが異常な勢いで飛び起きた。
「私のよーーーーぉ!」
白目を向いていたが、元気そうで何よりです。
「では、行きましょう」
よたよたする見習い達を引き連れて町を歩く。
途中、力なく歩く人に怪我人の情報をもらい、ミラー達が炊き出しをし、物資を運んできたからと告げた。
「大丈夫なの?」
ノアが折れた塔の前で、心配している。
そこは教会だ。
中に入ると、たくさんの人が床に寝ていて、この町の治癒師や、薬師が、幽霊のように患者さんを診ている。
「あの・・プラトーの街から応援に来ました」
その声で、幽霊のような治癒師達が、こちらに来た。
「薬草も何もかも足らないんだ!」
「もう・・限界なの」
怖いくらいです。
極限状態だったのだ。
「ヒール~」
そう言って治癒師達を先に回復させる。
ただ、何日もちゃんと眠っていなかったから、その場に倒れるように寝てしまった。
「どうするの?」
「私達に何が出来るの?」
「わからない」
おろおろと見習い達はパニックしていた。
「考えるのじゃ~。お前達の頭はたくさんあるではないかぇ? 人は考える事が出来る生き物じゃろ?」
「はい、スパイシーケルウスの干し肉です」
先に言われる前に、リズの大好物を渡す。
彼女はとても良い事を言いました。
三人寄れば文殊の知恵と言います。
平凡な人間でも三人集まって考えれば、よい知恵が浮ぶって事。
ここには三人以上の、一応治癒師や薬師に魔法使いの見習い達がいるのです。
指導者が寝込んでしまったのだから、残りの者で何とかしなくてはいけないのだ。
「何が出来るかが、大事なんじゃなかった?」
「うん! ノアの言う通り。今の自分に何が出来るかだよ」
そう言って皆を見た。
「私達、魔法使いは、支援魔法が使えます。まだ見習いだから微々たるものですが、包帯とか、薪を運んだりとか」
「俺は薬師見習いだ。基礎のポーションならつくれる。あと、造血剤とか・・習ったばかりだけど」
「僕は体力回復くらいです。それも君のように強い回復じゃないけど・・」
「私は聖職ギルドからきました。清浄の魔法なら、まだ得意な方です」
みんな出来るじゃないですか。
自然と笑みが出た。
教会の奥の部屋に、薬草やら包帯や、布などを出す。
外には食料や水。
寒いから自然の冷蔵庫だろう。
魔法使い見習い達は、町の人に手伝いを呼び掛け、支援魔法をかけれる者達は、治癒師見習い達につく。
薬師見習い達は、薬草で薬剤を作り、聖職ギルドから来たプリースト見習いは、教会の中を清浄化していくのだ。
「この人が一番酷いわ」
ノアには怪我人のランク付けをお願いしたのです。
治癒師見習い達で、いける怪我人もいれば、お手上げ状態の怪我人もいる。
誰彼なしに、治しては、私がぶっ倒れてしまうから。
「お兄ちゃんを助けて」
ひくひくと泣く男の子と、その横で、母親らしき女がいた。
「あなたのお兄さん?」
「違うけど、助けてくれたんだ」
どうやら、小さな男の子をかばって大怪我をしたようだ。
頭には、包帯が巻かれ、血の跡があり、胸や、腕にも添え木がされている。
一応の手当てはしたようだが、それも応急処置程度だろう。
「どこまでできるかはわかりません。せめて意識が戻れば良いのですが」
医療など、前世の私も知らない。
ちょっとした家庭で治せる怪我とか風邪とかくらいだし。
レントゲンとかMRCとかがあればな。
ないものはない!
目を閉じて手に魔力を集める。
この方が神経が研ぎ澄まされるのです。
まずは頭部からだ。
すると目を閉じているのに黒い物が見える。
血管の流れやら・・これは神経?
洞窟で、ヴェルジュが魔獣を解体する時に、それはそれは事細かく教えてくれた。
初めはグロテスクで、流石にくらくら来たが、お勉強と命を食べると言う事が繋がっていたから、必死になって捌きながら見ていたよ。
だから結構平気なんだな。
目を開く。
やはり見えない。
また閉じて、指先に魔力を流した。
きっと血が固まっているのだろう。
それを取り除き、ちゃんと血液が流れるようにしないといけないよね?
はっきり言ってわかりません。
間違っていたら御免なさいしかないです。
「やってみるけどわからないよ」
「この中でわかる者っているの?」
ノアの言葉でやるっきゃないと思った。
このままだと、この少年は亡くなる。
よくもっているのが、奇跡だろう。
「いきます!」
黒い塊を取り除き、血管の修復に神経系がちゃんと繋がっているか・・。
私の額から汗が吹き出す。
「魔力を」
ノアの言葉で魔法使い見習いが、動く。
「造血剤も用意して。治癒師見習いも待機」
はぁ~とひと息はいた。
次は胸と腕だ。
「これが終わったら治癒師見習いはヒールを。造血剤も飲ませて」
そう言ってまた集中した。
骨は複雑骨折していたよ。
もっとちゃんと処置して欲しい。
だけど、設備も人も足らなくて、それでも必死ここまでしたのだろう。
元の状態に骨を並べる。
これがとても困難だとは・・。
身体は自己回復しようとしているからね。
「魔力をもっと」
そう言って魔法使い見習い達を増援してもらった。
神経を傷つけてはいけない。
私と同じくらいだろう。
少年なのに腕や胸には筋肉がしっかりと付いていた。
だから、まだこのくらいの骨折で済んだのかもしれません。
これくらいでも複雑骨折なんだけどね。
骨を元の状態に戻し、綺麗に流れる血液を確認。
神経系も、私が見える範囲は途切れてはいない。
「後は治癒魔法と造血剤を与えて。意識が戻ったらいくつか質問して、指先を動かせてもらって」
後は任せたと治癒師見習いにバトンタッチする。
「疲れた~。」
「次の患者さんが待っているわ」
骨折が多いです。
あと、外傷ですね。
多分ここにいるのは極わずか。
きっとたくさんの人が、助けが間に合わずに亡くなっただろう。
「カーラ、あなたって既にハイレベルな治癒師じゃない?」
「そうじゃな。変った治癒能力かの~。他のように詠唱もないしの」
「ヴェルジュも詠唱しないです。」
医療は前世の私には、無関係ではない。
詳しくは知りませんが、骸骨の標本は、学校であったし、祖母の通う鍼灸整骨院にも。
胃がどこで、心臓がとかは、家庭の医学書にもある。
知識はすぐそこにあった世界だった。
「じゃ、やれるだけやります。ノア、リズ、サポートをよろしくです」
「任せて!」
「任せるのじゃ~」
ってリズは、肩の上にいるだけだけどね。
どうしたらと嘆く者。
泣いている子供・・。
「ごめんなさい・・僕は・・無能です・・」
はらはらと少年の青い目から溢れる涙。
チラチラと雪が天から舞い降りる。
今年初めての雪は、サングリーズルに破壊された町や村に、寒さをも運んで来た。
================
何時間経過しただろう。
ヘルヴォルさんは、「・・しぼれ」とか「無駄な魔力は押さえろ」とか。
出来ないと大きなため息を吐く。
「うわぁ! 雪よ」
「雪だ!」
ところ変われば気候も変わる。
「・・もういい。ここからは本来の速度がよいだろう」
川幅が狭くなって来た。
やっと、このしごきから解放されました。
「大丈夫?」
「ノア・・キツイですよ。でもぶっ倒れないのが不思議」
ヴェルジュを回復させた時は、本当に意識を失ってしまったからね。
「この支流の先にワースティアの街があるんだって。それまでは休もう」
「うん。」
雪が吹雪いてきている。
私達は船室へと移動した。
中では、皆が、最速で移動した事を、はなしています。
陸路な三ヶ月以上かかり、水路なら、ひと月くらい。
そこを一日でほぼ到着するとは! ってね。
そりゃ、何百キロで、水上を移動したって思っているのか。
あのバリヤがなかったら、船はぶっ壊れていましたよ。
回復薬に、皆さんの魔力などで、何とかなったが、帰りはしないからね。
少しでも寝ていようと、私は、横になった。
ワースティアの街は、真っ白な雪が、積もっている。
「カーラ・・さ、寒い」
ガタガタとノアが震えている。
他の人達も、この気候の違いに衣服があっていません。
街で、防寒具を先に買わなくてはいけないだろう。
取り敢えず、ノアに私のポンチョ風の上着を貸してあげた。
寒さは平気。
氷の世界で、生きてきたしね。
ロイ印のウエストポーチから、ロイ爺さんが作ってくれたアイゼンを取り出して、ブーツにセットしました。
これで雪の上も楽々歩行できます。
「・・・ここから被害の地まで行かなくてはならないのか」
「そうよ~。そりで行くんじゃないかな」
ヘルヴォルさんの眉間に深くしわが浮ぶ。
かなり、イライラしている様子。
ミィーシャさんは、救援物資を運んで来たことを知らせに行った。
しばらくして、ミィーシャさんが、戻りました。
「ここから、そりで一週間以上かかる所に被害のあった町がある。そこに行くから、皆さん防寒着の用意をして」
そう言われても、所持金のある人はいいが、ない人もたくさんいました。
もう、仕方がありません。
これ以上、ヘルヴォルさんのストレスを増やすと何を、今度はするのかが、恐ろしい。
「カーラ? 裁縫箱を出して何をするの?」
「森狼の毛皮で、簡単な防寒着を作れるかな~と」
ざ! ミノもどきです。
チョキチョキチョキチョキーーーーーーーーー!!
チクチクチクチクチクチクーーーーーーーーー!!
「呪いの裁縫だわーーーぁ!」
「中々の集中力じゃの」
出来上がったのは、本当に簡単なミノ。
よく昔話で、藁ミノを着た村人さんとかいたじゃない?
それね。
全員の分までは無理だったが、魔法使い見習いと、治癒師見習いの分は出来た。
「助かります」
「ありがとう」
などとお礼がかえってくるが、ヘルヴォルさんを見ると、もうイライラの頂点がきているようにも思えます。
「・・・乗れ・・あとの者はお前が連れて来い」
ミィーシャさんに、指示している。
大きなそりに乗せられたのは森狼のミノを着た者達と、ダニエル達に、ノア。
職人さん達は後のよう。
「・・鎖ををそりにぶち込んだら、お前は俺とそりを引け」
「へぇ?」
「・・それくらいできないのか?」
この人は何を言っているのやら。
「お前らは、舌を噛まないよう。後、振り落とされても助けない」
なんか、めちゃくちゃ言っている。
取り敢えず言われた通りにドローシとレージングルをぶち込んだ。
「よし! お前と俺で、引っ張る。走れ!」
「えええっーーーーー!」
そりからは悲鳴が聞こえる。
最初の勢いで何人か落ちたが、ヘルヴォルは無視し、太い鎖のレージングルを持ち、走っていると言うか、もう飛んでいる。
私も初めは引きづられたが、しっかりと足を動かした。
真っ白な雪原。
真っ白な世界。
それは、あの氷の世界で、シグルーンや、ヴェルジュと駆け回った日々を思い出す。
次第に楽しくって、ヘルヴォルの動きについて行った。
「・・・シグルーンと駆けたか?」
「はい! ヴェルジュと三人で」
「では・・飛べ!」
「へっ?」
「足に魔力を・・。ついでにそりに防護の魔法を」
教えてくれている?
後ろを振り返ると、ノアが白目をむいていた。
リズは私の肩の上で、大はしゃぎですよ。
「しゃぼん玉をイメージして・・ピュリフィケイション」
「・・それは違う」
「あ・・バリヤでしたね」
しゃぼんのようなバリヤで、そりを覆う。
初めからしたらよかった・・かな。
ごめんね、ノア。
足に魔力。
飛ぶイメージは・・ロケット花火またはバネ?
大きなバネをイメージし、ジャンプする。
「ホッピング!」
跳躍力が違います。
ただ単に飛ぶよりも、断然こっちの方が飛距離が出る。
「・・よし。このまま駆けるぞ」
「はい!」
「わらわもじゃ~」
リズさんは何もしていませんから。
ヘルヴォルさんと雪原を駆ける。
見えてきたのは破壊された町。
町の周囲にある壁は、北側が、大きく壊されて、教会の塔が半分に折れている。
たくさんの瓦礫に雪が積もっていた。
「ここよりも・・もっと北側の村々の方が被害は大きい」
ぼそりと呟くヘルヴォルさんだ。
そう、彼はサングリーズルの討伐に出向き、サングリーズルを仕留めた。
ってリズはいるけど。
「では、ここに物資を半分で良いですか?」
「・・あぁ。それとどれくらい怪我人がいるか」
ロイ印のウエストポーチから、食料と、修繕物資を半分出す。
「わ・・おえっ・・」
それは厚化粧のミラーだ。
真っ青な顔をしながら、よろよろとそりをいち早く降りてきた。
「た、炊き出しをするから。あなたは、治癒師見習いや、魔法使い見習い達を連れて行って。」
「う、うっぷ・・。すまん。俺達は町の者に話を聞く」
鼻ピアスのガイルが、口を覆いながらそう言った。
ダニエルは、気絶している見習い達を起こしている。
「わかりました。では、すぐに食べれる食料もおいていきます」
それは、カリンちゃんが焼いてくれた胡桃パンと干し肉。
「わらわもじゃ~。甘々も所望するぞ」」
そう言って一番初めに手を出すリズ。
甘々とは、ビッグハニーの蜜袋のこと。
それを胡桃パンにた~ぷりつける。
頼むから、こぼさないでよ。
「ひとついただこう」
ヘルヴォルさんまで、ホカホカの胡桃パンに、どばどば~と蜜をかけて食べた。
とても気にいったのか、彼の手が、止まらない。
イライラはお腹が空いていたから?
すると、ノアが異常な勢いで飛び起きた。
「私のよーーーーぉ!」
白目を向いていたが、元気そうで何よりです。
「では、行きましょう」
よたよたする見習い達を引き連れて町を歩く。
途中、力なく歩く人に怪我人の情報をもらい、ミラー達が炊き出しをし、物資を運んできたからと告げた。
「大丈夫なの?」
ノアが折れた塔の前で、心配している。
そこは教会だ。
中に入ると、たくさんの人が床に寝ていて、この町の治癒師や、薬師が、幽霊のように患者さんを診ている。
「あの・・プラトーの街から応援に来ました」
その声で、幽霊のような治癒師達が、こちらに来た。
「薬草も何もかも足らないんだ!」
「もう・・限界なの」
怖いくらいです。
極限状態だったのだ。
「ヒール~」
そう言って治癒師達を先に回復させる。
ただ、何日もちゃんと眠っていなかったから、その場に倒れるように寝てしまった。
「どうするの?」
「私達に何が出来るの?」
「わからない」
おろおろと見習い達はパニックしていた。
「考えるのじゃ~。お前達の頭はたくさんあるではないかぇ? 人は考える事が出来る生き物じゃろ?」
「はい、スパイシーケルウスの干し肉です」
先に言われる前に、リズの大好物を渡す。
彼女はとても良い事を言いました。
三人寄れば文殊の知恵と言います。
平凡な人間でも三人集まって考えれば、よい知恵が浮ぶって事。
ここには三人以上の、一応治癒師や薬師に魔法使いの見習い達がいるのです。
指導者が寝込んでしまったのだから、残りの者で何とかしなくてはいけないのだ。
「何が出来るかが、大事なんじゃなかった?」
「うん! ノアの言う通り。今の自分に何が出来るかだよ」
そう言って皆を見た。
「私達、魔法使いは、支援魔法が使えます。まだ見習いだから微々たるものですが、包帯とか、薪を運んだりとか」
「俺は薬師見習いだ。基礎のポーションならつくれる。あと、造血剤とか・・習ったばかりだけど」
「僕は体力回復くらいです。それも君のように強い回復じゃないけど・・」
「私は聖職ギルドからきました。清浄の魔法なら、まだ得意な方です」
みんな出来るじゃないですか。
自然と笑みが出た。
教会の奥の部屋に、薬草やら包帯や、布などを出す。
外には食料や水。
寒いから自然の冷蔵庫だろう。
魔法使い見習い達は、町の人に手伝いを呼び掛け、支援魔法をかけれる者達は、治癒師見習い達につく。
薬師見習い達は、薬草で薬剤を作り、聖職ギルドから来たプリースト見習いは、教会の中を清浄化していくのだ。
「この人が一番酷いわ」
ノアには怪我人のランク付けをお願いしたのです。
治癒師見習い達で、いける怪我人もいれば、お手上げ状態の怪我人もいる。
誰彼なしに、治しては、私がぶっ倒れてしまうから。
「お兄ちゃんを助けて」
ひくひくと泣く男の子と、その横で、母親らしき女がいた。
「あなたのお兄さん?」
「違うけど、助けてくれたんだ」
どうやら、小さな男の子をかばって大怪我をしたようだ。
頭には、包帯が巻かれ、血の跡があり、胸や、腕にも添え木がされている。
一応の手当てはしたようだが、それも応急処置程度だろう。
「どこまでできるかはわかりません。せめて意識が戻れば良いのですが」
医療など、前世の私も知らない。
ちょっとした家庭で治せる怪我とか風邪とかくらいだし。
レントゲンとかMRCとかがあればな。
ないものはない!
目を閉じて手に魔力を集める。
この方が神経が研ぎ澄まされるのです。
まずは頭部からだ。
すると目を閉じているのに黒い物が見える。
血管の流れやら・・これは神経?
洞窟で、ヴェルジュが魔獣を解体する時に、それはそれは事細かく教えてくれた。
初めはグロテスクで、流石にくらくら来たが、お勉強と命を食べると言う事が繋がっていたから、必死になって捌きながら見ていたよ。
だから結構平気なんだな。
目を開く。
やはり見えない。
また閉じて、指先に魔力を流した。
きっと血が固まっているのだろう。
それを取り除き、ちゃんと血液が流れるようにしないといけないよね?
はっきり言ってわかりません。
間違っていたら御免なさいしかないです。
「やってみるけどわからないよ」
「この中でわかる者っているの?」
ノアの言葉でやるっきゃないと思った。
このままだと、この少年は亡くなる。
よくもっているのが、奇跡だろう。
「いきます!」
黒い塊を取り除き、血管の修復に神経系がちゃんと繋がっているか・・。
私の額から汗が吹き出す。
「魔力を」
ノアの言葉で魔法使い見習いが、動く。
「造血剤も用意して。治癒師見習いも待機」
はぁ~とひと息はいた。
次は胸と腕だ。
「これが終わったら治癒師見習いはヒールを。造血剤も飲ませて」
そう言ってまた集中した。
骨は複雑骨折していたよ。
もっとちゃんと処置して欲しい。
だけど、設備も人も足らなくて、それでも必死ここまでしたのだろう。
元の状態に骨を並べる。
これがとても困難だとは・・。
身体は自己回復しようとしているからね。
「魔力をもっと」
そう言って魔法使い見習い達を増援してもらった。
神経を傷つけてはいけない。
私と同じくらいだろう。
少年なのに腕や胸には筋肉がしっかりと付いていた。
だから、まだこのくらいの骨折で済んだのかもしれません。
これくらいでも複雑骨折なんだけどね。
骨を元の状態に戻し、綺麗に流れる血液を確認。
神経系も、私が見える範囲は途切れてはいない。
「後は治癒魔法と造血剤を与えて。意識が戻ったらいくつか質問して、指先を動かせてもらって」
後は任せたと治癒師見習いにバトンタッチする。
「疲れた~。」
「次の患者さんが待っているわ」
骨折が多いです。
あと、外傷ですね。
多分ここにいるのは極わずか。
きっとたくさんの人が、助けが間に合わずに亡くなっただろう。
「カーラ、あなたって既にハイレベルな治癒師じゃない?」
「そうじゃな。変った治癒能力かの~。他のように詠唱もないしの」
「ヴェルジュも詠唱しないです。」
医療は前世の私には、無関係ではない。
詳しくは知りませんが、骸骨の標本は、学校であったし、祖母の通う鍼灸整骨院にも。
胃がどこで、心臓がとかは、家庭の医学書にもある。
知識はすぐそこにあった世界だった。
「じゃ、やれるだけやります。ノア、リズ、サポートをよろしくです」
「任せて!」
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