92 / 105
プレゼント交換
しおりを挟む
プレゼントの交換が始まった。
「これ、龍一さんに」
私が龍一さんのためにずっと持ち歩いていたラッピングバッグに入れたマフラーを渡すと彼は目を輝かせて受け取ってくれて、子供みたいにすぐに開けてマフラーをとりだすと首に巻き出した。
「ありがとうございます。一生、一年中大事に使います」
「そんな……そこまで大切にしてくれなくても大丈夫ですよ」
「一年中」っと笑いをこらえているミサキとミール。夏なんか特にマフラーを使わないし、私も一年中は使わなくていいと思うわ。ただ、寒くなる頃に使ってくれればそれでいい。でもすごく喜んでくれている様子に私も嬉しくなった。龍一さんが使ってくれるなら手作りしてよかったと思う。
「それと二人に私からね」
「欲しかったバッグだ!ありがとう!大事にするね」
「へへ、分かってるじゃん。さすが姉貴だな」
ミサキには欲しがっていたバックを、ミールにはこっそり棚に入れてあげようと思っていたクッキーボックスセットをプレゼントしてあげた。
「俺からも二人に。使ってもらえたら嬉しいです」
龍一さんからは私とミサキに色違いでおそろいの手袋をプレゼントでもらえた。
「俺様のは?」
「コレでいいならやる」
無造作に渡したのは私達に渡してくれたプレゼントと同じ袋。中にはメンズの手袋。
「食い物じゃないのかよ。まっ、もらってやるから使ってやるよ」
「いらないなら俺が自分で使うから返してくれていいんだぞ」
「姉貴達が見てるんだぜ。心広いの見せとけよ」
人前でプレゼントを交換するのに照れてるのかしら。仲が良いわね。
ミサキからは龍一さんと私はおそろいのマグカップ、ミールにはキャンディーの入った可愛いコップだった。
「ミールは何かくれないの?」
「わりーな。俺様は願いを叶える方法のため以外はアイテムを人間に渡せないんだ。妖精界の決まりだ」
妖精には妖精のルールがあって、私達と混ざりあえないことを突きつけられる。
「そっか。でもミサキがお世話になってるからそれだけで十分よね」
「そうだね。それよりあおいさんのプレゼント開けてみようよ。前みたいな木彫りの置物じゃないといいけど」
白い袋のリボンをほどき、袋をあけると丸くすべっとして角みたいなものが二本ついた黒いものがあらわれた。
「……」
袋から出てきたのは、私が思っていたより大きくて立派な黒犬の木彫り人形だった。それも一匹じゃなくて数匹、大小あわせて六匹の犬が下になる犬に乗っかるような姿で縦に並んでいた。大きさは一メートル弱あるだろうか。目もつぶっていない、リアルな黒犬の顔をした犬達はみんな口を閉じていてまるで本物のようだった。木彫りにしては軽いと思ってヒックリ返してみると中がくり抜かれて空洞になっていた。重さに気を使って軽量化したのね……。
「えー、『トモヨ様、ミサキ様、メリークリスマス。先日はお世話になっておきながらお礼を贈るのが遅くなってごめんなさい。この子たちは私が作ってみました。木彫りのワンちゃんです。どうか末永く仲良くしてください』だって」
メッセージカードを読んだミサキが言う。
「こんなすごいの作れるなんてあおいさん器用だね……お姉ちゃん」
「そうね。意外な一面だわ」
私とミサキは口に出さないけど目を合わせれば分かる。これ、どうしようって思っていることを。
「とりあえず下駄箱の横の隙間に置いてこようか」
「俺、持ちますよ」
龍一さんが木彫りの黒犬を持ってくれて私は置場所を伝えるために一緒に玄関に向かった。
*******
ミサキとミールは「コンビニ行ってくる」と言って出ていき、龍一さんと二人っきりになったリビング。
「あの、ともよさん。実はもう一つプレゼントがあるんです」
そう言って鞄から取り出したのは長細いしっかりした箱。龍一さんが蓋をあけると中には一粒パールのネックレスが入っていた。
「好みがあるのは分かってるんですが、コレを見た時にトモヨさんに似合いそうだと思って」
「嬉しい……すごくうれしい!」
「俺がつけてあげるので見せてください」
龍一さんからプレゼントされたネックレスはきっとどんな服にも合うだろう。
彼が腕を回して慣れない手付きでつけてくれる。いつもならキスしてしまう距離の近さだから私はそれさえもドキドキしてしまう。
アクセサリーに詳しくない彼なりに一生懸命に悩んでくれたんだと思うと愛しさが溢れて正面を向くと頬が緩んでしまう。
「思った通りよく似合ってる。俺のお姫様からキスのお返しが欲しい」
彼が私の肩に手を置き、軽く抱き寄せてくるから私も身をゆだねて龍一さんに顔を近づける。
彼が私の肩に手を置き、軽く抱き寄せてくるから私も身をゆだねて龍一さんに顔を近づける。そして私から唇を重ねようと―――
バタンッ!
突然、リビングの入り口で音がしたのでそちらを見るとミサキとミールが立っていた。二人は買い物袋を手に提げてドアの影からこちらを覗いている。
一瞬の間があって、私達に気づかれたことに気づいた二人は慌てて寝室の方に駆け込んで行った。その光景を見て私は怒られた子犬や子猫が逃げる動画を思い出してつい笑ってしまう。
龍一さんは明らかに不機嫌な顔をしてドアをジッと見ていたので、彼の頬を両手で挟んで私の方を向かせて触れるだけのキスをした。すると彼は驚いて目を丸くしていたけれどすぐに笑顔になってくれて私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「さっきは大人気なくてすいません」
彼は照れ臭そうに笑って頭をかき、耳元に顔を寄せてきて言った言葉に、今度は私が目をまんまるにする番だった。
「でも明日は二人きりだから必ず続きをしましょう。いつも以上におねだしていいですから」
それは、明日もデートだし、町はどこも混むから龍一さんの部屋で過ごす予定だけど……ポッポッと熱くなった頬を両手で押さえて顔を伏せる私。恥ずかしがる私に優しい声がかかる。
「かわいいですね。そんな表情をされるとまた困らせたくなるな」
もうっ。どうしてこの人はこんなに恥ずかしい言葉を言ってしまえるのよ。だけど来年も再来年もずっと一緒にいたいな……。そう思って頬を押さえたまま彼の胸に頭を寄せて呟いた言葉。聞こえていたかどうかは分からないけど、龍一さんの手で強く抱きしめられる。それだけで十分だった。
「これ、龍一さんに」
私が龍一さんのためにずっと持ち歩いていたラッピングバッグに入れたマフラーを渡すと彼は目を輝かせて受け取ってくれて、子供みたいにすぐに開けてマフラーをとりだすと首に巻き出した。
「ありがとうございます。一生、一年中大事に使います」
「そんな……そこまで大切にしてくれなくても大丈夫ですよ」
「一年中」っと笑いをこらえているミサキとミール。夏なんか特にマフラーを使わないし、私も一年中は使わなくていいと思うわ。ただ、寒くなる頃に使ってくれればそれでいい。でもすごく喜んでくれている様子に私も嬉しくなった。龍一さんが使ってくれるなら手作りしてよかったと思う。
「それと二人に私からね」
「欲しかったバッグだ!ありがとう!大事にするね」
「へへ、分かってるじゃん。さすが姉貴だな」
ミサキには欲しがっていたバックを、ミールにはこっそり棚に入れてあげようと思っていたクッキーボックスセットをプレゼントしてあげた。
「俺からも二人に。使ってもらえたら嬉しいです」
龍一さんからは私とミサキに色違いでおそろいの手袋をプレゼントでもらえた。
「俺様のは?」
「コレでいいならやる」
無造作に渡したのは私達に渡してくれたプレゼントと同じ袋。中にはメンズの手袋。
「食い物じゃないのかよ。まっ、もらってやるから使ってやるよ」
「いらないなら俺が自分で使うから返してくれていいんだぞ」
「姉貴達が見てるんだぜ。心広いの見せとけよ」
人前でプレゼントを交換するのに照れてるのかしら。仲が良いわね。
ミサキからは龍一さんと私はおそろいのマグカップ、ミールにはキャンディーの入った可愛いコップだった。
「ミールは何かくれないの?」
「わりーな。俺様は願いを叶える方法のため以外はアイテムを人間に渡せないんだ。妖精界の決まりだ」
妖精には妖精のルールがあって、私達と混ざりあえないことを突きつけられる。
「そっか。でもミサキがお世話になってるからそれだけで十分よね」
「そうだね。それよりあおいさんのプレゼント開けてみようよ。前みたいな木彫りの置物じゃないといいけど」
白い袋のリボンをほどき、袋をあけると丸くすべっとして角みたいなものが二本ついた黒いものがあらわれた。
「……」
袋から出てきたのは、私が思っていたより大きくて立派な黒犬の木彫り人形だった。それも一匹じゃなくて数匹、大小あわせて六匹の犬が下になる犬に乗っかるような姿で縦に並んでいた。大きさは一メートル弱あるだろうか。目もつぶっていない、リアルな黒犬の顔をした犬達はみんな口を閉じていてまるで本物のようだった。木彫りにしては軽いと思ってヒックリ返してみると中がくり抜かれて空洞になっていた。重さに気を使って軽量化したのね……。
「えー、『トモヨ様、ミサキ様、メリークリスマス。先日はお世話になっておきながらお礼を贈るのが遅くなってごめんなさい。この子たちは私が作ってみました。木彫りのワンちゃんです。どうか末永く仲良くしてください』だって」
メッセージカードを読んだミサキが言う。
「こんなすごいの作れるなんてあおいさん器用だね……お姉ちゃん」
「そうね。意外な一面だわ」
私とミサキは口に出さないけど目を合わせれば分かる。これ、どうしようって思っていることを。
「とりあえず下駄箱の横の隙間に置いてこようか」
「俺、持ちますよ」
龍一さんが木彫りの黒犬を持ってくれて私は置場所を伝えるために一緒に玄関に向かった。
*******
ミサキとミールは「コンビニ行ってくる」と言って出ていき、龍一さんと二人っきりになったリビング。
「あの、ともよさん。実はもう一つプレゼントがあるんです」
そう言って鞄から取り出したのは長細いしっかりした箱。龍一さんが蓋をあけると中には一粒パールのネックレスが入っていた。
「好みがあるのは分かってるんですが、コレを見た時にトモヨさんに似合いそうだと思って」
「嬉しい……すごくうれしい!」
「俺がつけてあげるので見せてください」
龍一さんからプレゼントされたネックレスはきっとどんな服にも合うだろう。
彼が腕を回して慣れない手付きでつけてくれる。いつもならキスしてしまう距離の近さだから私はそれさえもドキドキしてしまう。
アクセサリーに詳しくない彼なりに一生懸命に悩んでくれたんだと思うと愛しさが溢れて正面を向くと頬が緩んでしまう。
「思った通りよく似合ってる。俺のお姫様からキスのお返しが欲しい」
彼が私の肩に手を置き、軽く抱き寄せてくるから私も身をゆだねて龍一さんに顔を近づける。
彼が私の肩に手を置き、軽く抱き寄せてくるから私も身をゆだねて龍一さんに顔を近づける。そして私から唇を重ねようと―――
バタンッ!
突然、リビングの入り口で音がしたのでそちらを見るとミサキとミールが立っていた。二人は買い物袋を手に提げてドアの影からこちらを覗いている。
一瞬の間があって、私達に気づかれたことに気づいた二人は慌てて寝室の方に駆け込んで行った。その光景を見て私は怒られた子犬や子猫が逃げる動画を思い出してつい笑ってしまう。
龍一さんは明らかに不機嫌な顔をしてドアをジッと見ていたので、彼の頬を両手で挟んで私の方を向かせて触れるだけのキスをした。すると彼は驚いて目を丸くしていたけれどすぐに笑顔になってくれて私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「さっきは大人気なくてすいません」
彼は照れ臭そうに笑って頭をかき、耳元に顔を寄せてきて言った言葉に、今度は私が目をまんまるにする番だった。
「でも明日は二人きりだから必ず続きをしましょう。いつも以上におねだしていいですから」
それは、明日もデートだし、町はどこも混むから龍一さんの部屋で過ごす予定だけど……ポッポッと熱くなった頬を両手で押さえて顔を伏せる私。恥ずかしがる私に優しい声がかかる。
「かわいいですね。そんな表情をされるとまた困らせたくなるな」
もうっ。どうしてこの人はこんなに恥ずかしい言葉を言ってしまえるのよ。だけど来年も再来年もずっと一緒にいたいな……。そう思って頬を押さえたまま彼の胸に頭を寄せて呟いた言葉。聞こえていたかどうかは分からないけど、龍一さんの手で強く抱きしめられる。それだけで十分だった。
0
あなたにおすすめの小説
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる