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呪い

呪いの丘 6

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魔物は悲しみの表情を浮かべ目だけが愛おしそうにハレルを見ていた。この表情にオレはこいつもハレルが好きなのだと分かった。

「そんな捻じ曲げた愛を捧げてもハレルは喜ばなかっただろ」

「・・・・・・」

「お前が呪いの主なんだろ?!ハレルは一人でずっと耐えてきたんだ。この歳の子が親を亡くしたのにたった一人の姉にも甘えられず、友達が作れなくて、オレまで置いてお前との決着をつけに来たんだぞ!お前はハレルに、ハレルを想うオレに負けたんだ!分かったら早く呪いを解け!」

魔物を怒鳴りつけると燃えて脆くなった魔物の根元がガラリと崩れていく。人の形をした部分にも火がまわりだしていた。

「遵純様に私だけを見て欲しかった。一緒にいて欲しかった」

「ごめんなさい。僕はあなたと一緒にはいけません」

ずっと聞きたかったハレルの声。後ろを振り返ったオレも魔物も好きな人を見た時の笑顔だったと思う。

「遵純様」

「ハレル」

「あなたは前世の僕が好きだったんですよね。でも今の僕はハレルなんです。あなたも輪廻転生の道に入り全てを忘れて新しい世界に生きてください。その時はどうか幸せになってください」

自分を殺そうとした魔物に優しくも厳しく伝えるハレル。ガラリ、ガラリと崩れていく魔物の体。
人の形の部分も黒い炭に半分以上変わっている。

「・・・・・・せめて名を・・・・・・ハイルと」

魔物の声さえも掠れて小さくなっていた。

「ハイル、もうおやすみなさい。生まれ変わったら自分を大切にしてください。しゅんじゅんもそう思いますよ」

ハレルの頬に流れる涙は今だけあいつのものでオレの胸が嫉妬で焼けてくる。だけどオレはあいつのように間違えたくない。
長い時間を闇に身を落としハレルと心中しようとして自分だけ死ぬような愛し方をしたってハレルは悲しむだけだからだ。
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