【完結】奇跡の魔女

2章 命の重さは平等であり、不平等でもある

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「アステル様、母親が目覚めるようですよ」

ノエルは最愛の主に進言したところで、三人の子供たちが反応し、我先にと母親の傍らに駆け寄った。
アステルとノエルは徐ろに母親の傍らに近付き、目覚める時を三人の子供たちと待っている。

「……子供たちは！？」

第一声が叫び声でないのは、森に運ばれてきたときのことを覚えているからだろうか？

「お母さん！」

三人の子供たちが一斉に母親に抱きついた

「ルイ！アレン！ラナ！三人とも怪我は？治ってるの？ちゃんと見せて」

そう云って三人の子供たちの傷が治っていることを念入りに確認すると、アステルを見て云った

「有難うございます！有難うございます！」

涙を流しながら拝むように幾度も感謝を述べる母親の姿を目にした子供たちは、やっぱり【奇跡の魔女】が自分たちの命を救ってくれたのだと再確認した。

「構わないよ、僕の気まぐれだから」

そう云って微笑むアステルの姿は形容し難い程に美しく、四人と……ノエルも完全に見惚れていた。

「不躾ながらここは何処なのですか？」

母親がアステルに問いかけた

「ここは【奇跡の魔女の森】だよ」

その返答を聞いた母親は不安に駆られた

「私の願いを叶えてくださった…ということでしょうか？子供たちを助けて欲しいという私の願い」

母親は代償のことを考えながらアステルに問いかける

「不安にさせてしまったようだね？瀕死の人間の願いは叶えた内に入らないんだ………だから安心してね」

アステルの言葉を聞いて母親は驚いた。
あれ程の深傷を負った人間を綺麗に治したと云うのに、何もいらないと云う……。
人間では有り得ない状況に直面し、どうしたらいいのか分からなくなった。

「子供たちに願いを聞いてみたのだけれど、誰も僕に叶えて欲しい願いを持ってはいなかったんだ」

アステルが母親の目と自分の目を合わせながら言葉を紡ぎ、そして続ける

「君だよね？強い願いを持っているのは……」