【完結】奇跡の魔女

蛇姫

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4章 ※アナタのために

11(奇跡の魔女視点)

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「アステル、少しは相手を選ぼうか?」

兄さんが僕の頭を撫でながら云った。
何でも彼女は兄さんのところに駆け込んで、僕を処刑してもらおうとしたらしい。
流石の僕もここまでとは思わなかった。
面白くはあるけれど、兄さんのところに行くとまでは想定していなかったから、思っていた以上の【願いの結果】に驚いている。

兄さんは優しいから、僕が失敗しても笑って許してくれるけれど、他の人には厳しいこともあるみたい。
願いを叶える機会は平等にあるべきだと思っていたけれど、そうではないのかも知れないね。
今更……僕の生き方を変えるつもりはないけれど、少なくとも代償を払う相手を選べば、兄さんに迷惑を掛けなかったかも知れない。

彼女の【願いの結果】だけれど、願いの代償を払う前から厭われていた彼女だからね。
僕は面白い結果に割と満足しているんだ。
「してあげた」を連発する人間は基本的に【助けること】には大した興味を持っていない。
興味があるのは【やってあげた】という自己満足。
だから厭われるのだと気が付いていれば、少なくとも代償はもう少しだけマシなものになっていたかも知れないが、それこそ今更というものだろう。

彼女は【穏やかな生活】を奪うなんて酷いなどと喚いていたけれど、彼女の【本当の願い】に【穏やかな生活】は不要だと思うのだけれど?
【誰かを助けたい】と願ったのは君だけではないけれど、多くの人は【命や心を助けたい】と願っているから【他人の喧嘩の声】など聞こえたりしないんだ。
聞こえてくるのは【助けを求める声】だけなんだよ。
彼女は違ったようだけれど。

街中から厭われるほど、他人の喧嘩に首を突っ込んでは「私はただ……」と涙を溢れさせる女を、男たちも最初だけは優しく慰めようとした。
けれど冷静になれば疑問に思う。
【何故あの女は俺達の喧嘩に勝手に割って入って泣くだけ泣いて慰められていたんだ?】とね。
結論として、彼女の街での評価は一つ。
【他人の喧嘩に口を挟んできて泣く気味の悪い女】だったのだけれど、最後まで気が付かなかったね。

君は結局のところ誰のことも助けていない。
引っ掻き回して泣いていただけ。
兄さんが用意した場所は君にとっては天国だろう?
そこら辺で喧嘩が始まる。
君は喜んで喧嘩に割って入って泣くのだろうね。

僕には関係ないけれど、要らなかったよね?
君に【穏やかな生活】は。
【喧嘩に割り込む】人間が【穏やかな生活】を必要としているとは思えない。

【願いの結果】は面白いものになったけれど、君が僕の記憶に残ることはないだろうね。
君のような人間はたくさんいるから。
ごめんね、お嬢さん。




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