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第一章 男装姫は孤高の王の夢を視る
第四話 初めての都へ
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「――王が崩御した」
父が、声低く言った。
「王とは……日紫喜耀様のことで?」
兄の匠人が遠慮がちに尋ねる。
「ほかに誰がいる」
「しかし、父上。耀王は、まだ王位に就いたばかりではないですか」
「病が急に悪化したらしい。昨年、大嵐があったのを覚えているか? あれは耀王が病に臥したことに対する天の怒りだ。あの頃から王は、表に顔を見せることも少なくなったからな」
(日紫喜の王が崩御……)
それでなのか、と久遠は納得した。
五主家の中でも日紫喜家は、「陽」を司る陽主。
陽主であり、綺羅ノ王でもある日紫喜耀が崩御したから、ここ数日は曇天が続いているのだろう。花緒という女性に出会った日の翌朝に太陽を見たのが最後で、そこからもう五日は曇り空が続いている。てっきり冬が近いせいだと勘違いしていた。
久遠にとって、都におわす王は遠い存在だ。王の崩御を悲しむよりも、曇天のせいで洗濯が乾かないことのほうが、よほど大きな問題だった。
「父上、新王はもう決まったのですか?」
久遠が口を開くと、父と兄は穴があくほど強く久遠を睨みつけた。お前は生意気な口をきくな、という牽制である。
「若き耀王には子がおらぬ。……となれば、耀王の弟二人のどちらかが、新王として即位するしかあるまい。下の弟君はまだ子ども。上の弟君が継ぐことになろう。儂がお前たちを呼んだのは、その件だ」
久遠はごくりと息を呑み、兄と目を見合わせた。
「我が十六夜家は夢見の才を使い、各主家に仕えてきた。しかし五主家のうち、まだ日紫喜家と碧李家には入り込めておらぬ」
「そうですね。和暮・烽火・久靄の家には随分前から夢見に伺っていますが」
「そうだ。耀王の弟君はいまだ独り身。新王として即位すれば、日紫喜家以外の四主家から急ぎ后を迎えることになる。もしもその后が碧李家の姫となれば、我々はどうなる?」
「……どうなりますかね?」
兄がこくりと首を横に傾げた。
その呑気な様に、父は憤怒して立ち上がる。
「馬鹿者! 我が家の名目を保つため、なんとしても碧李家に入り込まねばならぬ。五主家と同様に才を持つ十六夜が、これ以上、主家から遠ざけられてなるものか!」
「し、しかし父上……碧李家の現当主は、面倒な御方なのです。碧李輝比佐殿といって、何度屋敷を訪ねても門前払い。それどころか屈強な門番に力いっぱい突き飛ばされ、池に投げ込まれそうになったことも……」
「真正面から行ってどうする! 碧李家の当主が厄介者であることなど、周知の事実。輝比佐殿の弱みを握るとか、少しは頭を使え」
父に怒鳴られ、兄はがっくりと肩を落とした。
「……とにかく。今後のことについて話し合うため、五主家の当主が都に集まるそうだ。我々もその合議の場に同席を許してもらっている。この機会を逃してはならぬ」
父は怒りを堪え、ふんと鼻を鳴らして座った。
「あの、僕はどうすれば……」
久遠は父の顔色を窺いながら尋ねた。
父も兄も都へ出向くとなれば、この十六夜の屋敷の留守を預かるのは、義母と久遠のみとなる。一やんちゃな甥っ子たちの世話を押し付けられ、ここぞとばかりにいびられるに違いない。
かと言って、覡として半人前の久遠が都に同行したところで、大して役に立つこともない。
父は眉間にしわを寄せて少し考え、呆れたように息を吐く。
「久遠も都に同行せよ。だが、決して儂と匠人の邪魔はするな」
「……はい、かしこまりました。父上」
(都か……)
床に額が付くほど深く頭を下げながら、まだ見ぬその場所に思いを馳せる。
綺羅ノ都――政、商い、文化、人、すべてが集まる中心地。
しかし久遠にとって、都はあまりにも遠い。華やかな光景を思い浮かべて心躍らせることもなく、久遠は父と兄に聞かれぬよう、小さくため息をついた。
◇
古来、日紫喜家を除く四主家は、天の怒りを避けるため「二代続けて同じ家から后を輩出しない」という決まりを作った。
今も、その決まりは生きている。
前王の后は、風主・和暮家の姫である花緒だ。つまり新王の后は、和暮家以外の三主家から輩出することになる。
三主家のうち久靄家と烽火家には、十六夜家が覡として入り込み、夢見を任されている。
が、残りの一主家――海主・碧李家から新王の后が出ると困る。これが、父の心配事だった。
(でも、そんなこと言われたって……)
都に到着した久遠は早速、父と兄について日紫喜家の屋敷に足を踏み入れた。
十六夜の里がすっぽり収まるのではないかと思われるほど広大なその屋敷は、四方を高い築垣に囲まれている。更にその壁の内側も、生垣や低い塀でいくつかに区画されていた。
王の暮らす邸のほかに、家政を担う家令所、衣や雑器を作る職人たちの仕事場などがすべて屋敷の中に揃っている。家令所の横を通り過ぎたあたりには庭が広がっており、案内役の舎人がいなければどこに向かえばよいか分からないほどだ。
五主家による合議は、午後からだという。その前に久靄と烽火と話さねばと、父と兄はさっさとどこかに呼ばれて消えてしまった。
一人取り残された久遠は、日紫喜家の広大な屋敷の庭で、早速道に迷っていた。
(久靄と烽火に頼んで、碧李輝比佐とかいう当主様に取り次いでもらうつもりかな)
兄の匠人は、お世辞にも器用な人間とは言えない。輝比佐の弱みを握って上手く操るなどという芸当が、できるわけなかった。
ただの小間使いとして付いてきた久遠は、午まで特にすることもない。父から叱られないために、碧李家の動向の一つや二つ探っておこうかとも考えたが、碧李家の主を探しているうちに、屋敷の奥のほうまで迷い込んでしまった。
(そもそも僕は、碧李の当主様のお顔も知らないんだから。見つけられるわけないよ)
側にあった池のほとりに疲れてしゃがみ込むと、水の中に鯉が泳いでいるのが見える。
冬が来て池が凍ったら、この鯉はどうなるのだろう。そんな些細なことを考えていると、背後に人の気配がした。
「こんなところで何をしている?」
「え?」
父が、声低く言った。
「王とは……日紫喜耀様のことで?」
兄の匠人が遠慮がちに尋ねる。
「ほかに誰がいる」
「しかし、父上。耀王は、まだ王位に就いたばかりではないですか」
「病が急に悪化したらしい。昨年、大嵐があったのを覚えているか? あれは耀王が病に臥したことに対する天の怒りだ。あの頃から王は、表に顔を見せることも少なくなったからな」
(日紫喜の王が崩御……)
それでなのか、と久遠は納得した。
五主家の中でも日紫喜家は、「陽」を司る陽主。
陽主であり、綺羅ノ王でもある日紫喜耀が崩御したから、ここ数日は曇天が続いているのだろう。花緒という女性に出会った日の翌朝に太陽を見たのが最後で、そこからもう五日は曇り空が続いている。てっきり冬が近いせいだと勘違いしていた。
久遠にとって、都におわす王は遠い存在だ。王の崩御を悲しむよりも、曇天のせいで洗濯が乾かないことのほうが、よほど大きな問題だった。
「父上、新王はもう決まったのですか?」
久遠が口を開くと、父と兄は穴があくほど強く久遠を睨みつけた。お前は生意気な口をきくな、という牽制である。
「若き耀王には子がおらぬ。……となれば、耀王の弟二人のどちらかが、新王として即位するしかあるまい。下の弟君はまだ子ども。上の弟君が継ぐことになろう。儂がお前たちを呼んだのは、その件だ」
久遠はごくりと息を呑み、兄と目を見合わせた。
「我が十六夜家は夢見の才を使い、各主家に仕えてきた。しかし五主家のうち、まだ日紫喜家と碧李家には入り込めておらぬ」
「そうですね。和暮・烽火・久靄の家には随分前から夢見に伺っていますが」
「そうだ。耀王の弟君はいまだ独り身。新王として即位すれば、日紫喜家以外の四主家から急ぎ后を迎えることになる。もしもその后が碧李家の姫となれば、我々はどうなる?」
「……どうなりますかね?」
兄がこくりと首を横に傾げた。
その呑気な様に、父は憤怒して立ち上がる。
「馬鹿者! 我が家の名目を保つため、なんとしても碧李家に入り込まねばならぬ。五主家と同様に才を持つ十六夜が、これ以上、主家から遠ざけられてなるものか!」
「し、しかし父上……碧李家の現当主は、面倒な御方なのです。碧李輝比佐殿といって、何度屋敷を訪ねても門前払い。それどころか屈強な門番に力いっぱい突き飛ばされ、池に投げ込まれそうになったことも……」
「真正面から行ってどうする! 碧李家の当主が厄介者であることなど、周知の事実。輝比佐殿の弱みを握るとか、少しは頭を使え」
父に怒鳴られ、兄はがっくりと肩を落とした。
「……とにかく。今後のことについて話し合うため、五主家の当主が都に集まるそうだ。我々もその合議の場に同席を許してもらっている。この機会を逃してはならぬ」
父は怒りを堪え、ふんと鼻を鳴らして座った。
「あの、僕はどうすれば……」
久遠は父の顔色を窺いながら尋ねた。
父も兄も都へ出向くとなれば、この十六夜の屋敷の留守を預かるのは、義母と久遠のみとなる。一やんちゃな甥っ子たちの世話を押し付けられ、ここぞとばかりにいびられるに違いない。
かと言って、覡として半人前の久遠が都に同行したところで、大して役に立つこともない。
父は眉間にしわを寄せて少し考え、呆れたように息を吐く。
「久遠も都に同行せよ。だが、決して儂と匠人の邪魔はするな」
「……はい、かしこまりました。父上」
(都か……)
床に額が付くほど深く頭を下げながら、まだ見ぬその場所に思いを馳せる。
綺羅ノ都――政、商い、文化、人、すべてが集まる中心地。
しかし久遠にとって、都はあまりにも遠い。華やかな光景を思い浮かべて心躍らせることもなく、久遠は父と兄に聞かれぬよう、小さくため息をついた。
◇
古来、日紫喜家を除く四主家は、天の怒りを避けるため「二代続けて同じ家から后を輩出しない」という決まりを作った。
今も、その決まりは生きている。
前王の后は、風主・和暮家の姫である花緒だ。つまり新王の后は、和暮家以外の三主家から輩出することになる。
三主家のうち久靄家と烽火家には、十六夜家が覡として入り込み、夢見を任されている。
が、残りの一主家――海主・碧李家から新王の后が出ると困る。これが、父の心配事だった。
(でも、そんなこと言われたって……)
都に到着した久遠は早速、父と兄について日紫喜家の屋敷に足を踏み入れた。
十六夜の里がすっぽり収まるのではないかと思われるほど広大なその屋敷は、四方を高い築垣に囲まれている。更にその壁の内側も、生垣や低い塀でいくつかに区画されていた。
王の暮らす邸のほかに、家政を担う家令所、衣や雑器を作る職人たちの仕事場などがすべて屋敷の中に揃っている。家令所の横を通り過ぎたあたりには庭が広がっており、案内役の舎人がいなければどこに向かえばよいか分からないほどだ。
五主家による合議は、午後からだという。その前に久靄と烽火と話さねばと、父と兄はさっさとどこかに呼ばれて消えてしまった。
一人取り残された久遠は、日紫喜家の広大な屋敷の庭で、早速道に迷っていた。
(久靄と烽火に頼んで、碧李輝比佐とかいう当主様に取り次いでもらうつもりかな)
兄の匠人は、お世辞にも器用な人間とは言えない。輝比佐の弱みを握って上手く操るなどという芸当が、できるわけなかった。
ただの小間使いとして付いてきた久遠は、午まで特にすることもない。父から叱られないために、碧李家の動向の一つや二つ探っておこうかとも考えたが、碧李家の主を探しているうちに、屋敷の奥のほうまで迷い込んでしまった。
(そもそも僕は、碧李の当主様のお顔も知らないんだから。見つけられるわけないよ)
側にあった池のほとりに疲れてしゃがみ込むと、水の中に鯉が泳いでいるのが見える。
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「こんなところで何をしている?」
「え?」
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