氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 

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番外編

93 ドゥノーの優しい風⑭

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 手を振ると、わああぁぁぁーーー!!と歓声が上がる。
 空から降る紙吹雪と花を掲げる国民達。皆さんの笑顔が眩しい。特注の白に金縁の大きな馬車には天井はない。高くなった後部座席に二人で並んでずっと人々の呼び掛けに応えていた。
 八頭の白馬がゆっくりと進むので、僕は背中に汗をかきつつも笑顔を張り付けて頑張っていた。
 こんな事より紙とペンを前に仕事をしていた方がはるかに簡単だ。
 隣に座るルキルエル・カルストルヴィン王太子殿下をチラリと見上げると、視線に気付いたのかドゥノーの方を見た。

「疲れたか?」

 いくつもの蹄の音と馬車のガラガラという音、それをかき消す程の大歓声の中であるにも関わらず、殿下の声はよく聞こえた。
 それに対して僕の声は全く届かない。どうやったらそんなふうに話せるんだろう。
 僕は少しだけ頷いた。無理をして声を張り上げても喉を痛めるだけだ。

「もう少しだ。」

 手を握られて優しく微笑まれてしまった。
 むう…、優しいな。
 
 ドゥノーは自分の首にそっと触れた。そこには新しい首輪……、もといチョーカーがある。流石にもう首輪はやめてとお願いしたら、チョーカーになった。どーして首につけたがるのか。
 チョーカーは光沢のある銀の布に赤糸で刺繍され、首の後ろは細い銀鎖と留め具がついている。勿論前方中央にはスキル封じの石がはまっていた。『絶海』の他にもいろんな守護スキルが満載らしい。このチョーカーも簡単には切れないし傷つかない。ドゥノーが取ろうとしても留め具は外れない。何のスキルが入れてあるんだろう。

 去年の春にユンネの結婚式に参加してから一年経つけど、この一年はとても忙しかった。
 学院に通いつつ国務の勉強をしていたし、王太子妃教育から王妃教育までやる羽目に。教師陣が天才だと褒め称えてくれるもんだから無理とも言えず。
 でも何とかやってきた。
 
 それにユンネの結婚式の後、アジュソー団長とミゼミの結婚式もあったのだ。アジュソー団長の白の騎士服の正装と、ミゼミの真っ白なドレスが美しく映える結婚式だった。基本色が白で統一されていて、食事も内装も異国情緒溢れるものだった。
 リマリネ伯爵夫人の噂で最も多いのは妖精夫人というものだ。滅多に人前に出ないお淑やかな人物で、兎に角アジュソー・リマリネ白銀騎士団長が大切にしている。夫婦で何かに参加しようものなら、伯爵夫人の穏やかな雰囲気に周りはほんわりと幸せになれるんだとか。皆その空間を味わいたくて様々な招待状が届くらしい。

 リマリネ伯爵夫妻の結婚式の後に、ひっそりとソマルデ・ローティエル伯爵とラビノアの結婚式があった。こちらは豪華ではあるけど自領でこじんまりと済ませている。ソマルデさんは家族がもういないと言うし、ラビノアも父親とその家族はほぼ他人だと言うので、関係者と黒銀騎士団だけの結婚式にしてあった。
 それでもラビノアの美しさは別格で、総レースのウエディングドレスの裾もベールも長く、陽射しを浴びて金の髪がキラキラと輝いて綺麗だった。
 ユンネがマジ主人公とか騒いでて、ファバーリア侯爵に口を塞がれていた。

 この二組が結婚式を急いだのは王族の結婚式に被らないようにする為だ。
 新年の挨拶で、殿下が春に結婚式やっちゃうと宣言してしまった為、周囲の貴族達はそれに合わせて大忙しになった。
 だって絶対出席しとかなきゃならないもんね。そこの予定は何が何でも開けたはずだ。
 
 
 手を振るのにも疲れてきて、ふぅと息を吐いたら殿下が腕を組んできた。

「疲れたなら寄り掛かっておけ。」

 これには有り難く寄りかからせてもらうことにした。その姿がどうやら仲睦まじく見えたようで、その後の挨拶で毎回褒め称えられることになってしまった。





 王族の婚姻とはこうも大変なのか……。
 ドゥノーは苦悩していた。式の準備もパレードも、その後の国賓を招いたパーティーも、ドゥノーは過去の記録を元に、現在の情勢を交えて再現した。
 その手腕にニジファレル宰相閣下も大喜びしていた。
 ルキルエル王太子殿下も手伝ってくれたので、僕的には出来てて当たり前だと思っているんだけど、周囲の人達は過剰に誉めてくる。
 
 漸くここまで終わった!
 そしてここからが最難関!

 ドゥノーはスゥハァと息を整えた。ベットのシーツは純白だ。花弁まで散らしてある。
 お風呂で綺麗に洗いマッサージされ、少しだけ睡眠をとった。
 初夜だ。
 これが一番ドゥノーを困らせた。なにせ初夜に関する作法まで決まっていたのだ。そんなものに王族は決まりまで作っている。重要な後継を作る為かもしれないけど、この、初夜の前の下準備にドゥノーは自信を失くしていた。
 書類片手に固まるドゥノーに、ルキルエル王太子殿下はこれはしなくていいと言ってくれた。その時は助かった!と思ったわけだけど、今まさにその時を前にして、本当にやらなくて良かったのだろうかと後悔している。
 何も分からない。

 薄暗がりの部屋のドアが開いた。

「座って待ってていいんだぞ?」

 ドゥノーはビクッと肩を揺らした。
 恐る恐る振り返って殿下を見る。赤い花弁が散ったベットを前に呆然と固まっていたので凄く驚いてしまった。殿下はいつも通りだ。ただ直ぐに脱げるようなガウン姿になっている。

「緊張するのか?」

 ドゥノーはコクコクと頷いた。本当は夫が入って来た時の閨事の作法があったはずだけど、過去の資料は殿下に取り上げられてしまったので覚えていなかった。

 ドゥノーは腕を取られてベットに引っ張られた。ベットを囲うカーテンを開けて、ポンと放り投げられる。

「わぷっ!」

 布団は柔らかく痛みは全くない。身体が沈みドゥノーは驚いて目を見開いた。
 赤い瞳が直ぐ近くにある。
 ハラハラと花弁が二人に舞い落ちて、花の匂いにドゥノーはクラッときた。殿下の指が赤い花弁を一枚摘む。

「この花……、誰が置いたんだ?」

 花?確か。

「王妃様がこの花散らしたら可愛いわよって言ってたかな?そしたら宰相閣下がいいですねって。」

 そう話しながら、ドゥノーの目はポヤッとしてくる。何だろう?熱くなってくる。
 殿下がふうん?と花弁をマジマジと見て、その花弁をドゥノーの唇の上に置いた。
 ヒンヤリとした赤い花弁が甘い匂いを運んでくる。
 な、なんか変………?
 ドゥノーは、はぁと熱い息を吐いた。

 



 この花は媚薬の材料に使われる花だ。あの二人が気を利かせたつもりで用意したのだろう。
 ドゥノーは田舎育ちだし、閨教育なんてしたこともないだろうし、過去にそういう経験が無いことも調べはついている。
 初夜の作法に頭を悩ませていたので、必要ないと奪ったのはルキルエルにも言い分があった。
 やる前から疲れることを嫌々させても楽しめない。というのが本音だ。

 ルキルエルはドゥノーの首につけたチョーカーの石を指で撫でた。淡く一筋光が差す。
 このスキル封じの石には様々なスキルを詰め込んでみたが、ミゼミの『隷属』とラビノアの『回復』も入っている。

「ドゥノー………。」

「…ふぁい……。」

 顔が赤らみ目に涙が浮かんでいる。花弁の効果もあってドゥノーの身体は上気していた。

「今どんな感じだ?」

「ん……、なんか、熱い?」

 目がとろんと落ちふわふわと返事をする。効きすぎか?『隷属』を使って少し目を覚まさせる。
 ルキルエルは媚薬も毒薬も耐性をつけているが、真っさらなドゥノーには強いのかもしれない。

「初夜の記憶が飛んでも困る。」

「?ん、ん?あれ?殿下、僕なんかボーとして変。」

 少し起きたようだ。額に頬にと口付け、唇を合わせた。

「………ん、…ん、ふっ………。」

 ゆっくりと口内に舌を這わせていく。ペロリと唇を舐めてチュッと離れた。
 はぁと息を吐く姿が艶かしい。普段は年齢よりも幼く見えるドゥノーだが、閨では愛らしく蹂躙したい征服欲に唆られる。
 普段全くそういった性的欲求を感じさせない人間を、こうやって組み敷き喘がせるのは楽しいものなのだなと改めて思った。たまにそういった趣向を持つ者がいて軽蔑していたが、少し理解できた気がする。それでも対象は愛する者に限るが。
 
「組み敷くにしても俺はじっくりやりたいな。」

「?」

 チュチュとキスを落としながら、ドゥノーの羽織っていたガウンを脱がせる。腰紐を解き前を広げると、薄い赤のベビードールを着ていた。僅かなレースで隠された乳首が透けて見える。
 上からじっくりと観察する。
 編み込まれた紐パンは薄い布で局部のみ隠しているが、押し上げ出したドゥノーのもので持ち上がっていた。

「ーーっ!」

 思わず獰猛に噛みつき足を割り開き自分の陰茎を押し当て突き上げたい衝動に駆られたが、理性で何とか押しとどめる。
 
 ドゥノーがルキルエルの衝動を感じてヒクンと震える。潤んだ黄色の瞳が縋るように見上げていた。

「ふぅーーー、あいつら………、わざとか?」

 これを用意した身内の顔が浮かび、後で口出しするなと文句を言おうと心に決める。
 初めてを手酷くしたくない。怖がられたくないのだ。

 レース越しに乳首を指で弄び、片方は口に含んでドゥノーの様子を窺う。見上げたルキルエルをドゥノーは喘ぎながら見下ろしていた。

「どうした?気持ちいいか?」

 表情を見れば気持ちよさそうだ。

「…ぁ、…………ん、うん。」

 ドゥノーが素直に認めた。そしてルキルエルの頭に両手を添えて、ゆっくりと撫で始めた。

「ん、気持ちいい……。殿下も、こうしたら、きもちい?」

 ルキルエルは目を見開いた。
 勿論、気持ちがいい。しかしそれよりも理性が持ちそうにない。頭を撫でられながら乳首を吸うとか………。いや、誰にも見られなければ問題ない。誰にも見せられない。
 
 ドゥノーのお尻を撫で、勃ち上がってシトシトと前を濡らす陰茎を撫でてやると、ドゥノーは熱い吐息をまた吐いた。潤んだ目はたまらないと歪み、ルキルエルに懇願している。
 後孔に指を這わせ、ゆっくりと穴を解しながら、時間をかけてドゥノーの快楽を上げていった。
 漸く挿れれそうなくらい広がった時には、ドゥノーの胸もかろうじて腹にかかるベビードールも、じっとりと濡れ、乳首は赤く腫れ上がってしまっていた。しゃぶりすぎたと少し後悔して、後で塗り薬を用意しようと考える。

 ドゥノーをひっくり返し、四つん這いにさせると、大人しくされるがままだ。ほぼ紐だけのパンツはずらせばどこも隠していない。

「はぁ、ドゥノー、挿れるぞ。」

「?、?、?………ん、ぁ、ぁあっ、んあああっ。」

 陰茎を押し付けググッと進めると、ドゥノーは震えながら喘いだ。
 媚薬のおかげか『隷属』のおかげか、ルキルエルの陰茎を問題なく飲み込んでいった。ラビノアの『回復』で痛みもないだろう。
 ルキルエルは『回復』だけスキルを止める。スキル封じの石に入れたスキルの使い方も、かなり慣れてきた。
 一番奥まで行き、暫く慣れさせる。項に、背中にキスを落とし、キスマークをつけていった。落ちている花弁と同じように、ドゥノーの背中に赤い花が咲く。首に巻いたチョーカーの鎖の周りには、丁寧に沢山花を咲かせた。
 何で首ですか?とドゥノーは何度も尋ねて来たが、答えは返していない。何故って、首が一番安心するからだ。大した理由はない。
 首の鎖ごとペロペロと舐めて、ハムッと噛んだ。
 
「ああっ。」

 ドゥノーが仰け反り少しだけ振り返りルキルエルの方を見る。
 目尻が赤く色づき涙がポロポロと流れていた。
 
「…ん、あ、あ、殿下、でんかっ………!」

 腰を動かすと短く喘ぎルキルエルを見つめてくる。

「ルキと呼べ。」

「……ふっ、あ、ルキっ、ルキぃぃ!」

 一度身体を離しうつ伏せにしていたのを仰向けにひっくり返した。

「??、んあっあっ?ああぁっ……!」

 ドゥノーの身体を起こして胡座あぐらをかいた足の上に座らせた。腰を落とさせながらズブズブとまた陰茎を挿れていく。
 強い快楽という衝撃にドゥノーは悲鳴を上げた。
 
「ほら、撫でて。」

「?、?、?」
 
 ドゥノーは両手を取られてルキルエルの頭に乗せられる。言われるがまま撫でようとするが、腰を揺らされて思うように出来ない。
 撫でることが出来ないドゥノーは、ギュウッーーとルキルエルの頭を抱え込んだ。

「っっっ、はっ、あっ無理、ぁ、ダ、メ動かない、でっ!」

 ルキルエルはジーと喘ぐドゥノーを見つめて、顎下を舐めた。ジュウっと吸い付き赤く印をつける。

「んんっ、??、?、ん、ん~~~~っ!」

 口付けをして深く舌を入れ込んだ。ドゥノーが涙を流してルキルエルの銀髪を握る。引っ張られて少し痛いが力がないので大したことない。
 ドゥノーは快感と混乱で何をされているのか理解出来ていない。でも記憶はちゃんと残る。
 ドゥノーを持ち上げて激しく抽送を繰り返した。
 黄色い瞳がめいいっぱい広がり、涙が溢れて落ちてくる。
 ルキルエルは湧き上がる喜びに微笑んだ。
 思いっきり奥に突き付けると、ドゥノーは一際大きく震えて射精した。ビュビュと出て内蔵はビクビクと痙攣している。
 ルキルエルも奥へ突き入れたまま中へ放った。
 捉えたドゥノーの舌を口に含んでジュウゥと吸う。口を離すと赤く色づく舌が出ていた。

「………ドゥノー、頭を撫でて抱きしめて。」

 ドゥノーは何が起きているのか理解出来ていない顔で、それでもルキルエルの頭を抱きしめて撫でた。
 そして幸せそうに赤らんだ顔で微笑む。
 

「………っ……。」


 ルキルエルが赤い瞳を細めて声無く笑う。

 漸く優しい風を捕まえたのだと。






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