じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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70 駄女神の厄災

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 予定通り僕はフヒィルを護衛につけて、王太子宮に行くために馬車に乗っていた。
 なんとラニラルとヘミィネ、ソヴィーシャまでいる。キワーレがついていけないことに残念がっていた。
 ソヴィーシャは経緯を伝えにフヒィルと共に公爵邸に来て、また王宮に帰るというので一緒に向かっていた。王太子にも話があると言って王太子宮まで行くことになっている。
 ラニラルとソヴィーシャ、フヒィルの三人は他の護衛騎士と共に馬に乗って、僕とヘミィネだけ馬車の中にいた。
 ヘミィネの機嫌は悪い。

「ヘ、ヘミィネ?どうしたのかなぁー?怒ってるのかなぁー?」

 可愛い顔が台無しだよ~。

「……。」

 ヘミィネは無言で窓の外を見た。僕もひょいと窓の外を覗くとラニラルがいた。馬車の近くを馬で並走していた。
 公爵邸から王宮までの道のりはそう遠くない。道も整備されているので走りやすく、馬車道が作られているのでそれなりに速度が出ている。
 窓の外を覗いた僕に気付いたラニラルが、横目でニコリと微笑んだ。
 ガラガラと馬車が走る音が響く中、ヘミィネがボソリと呟いた。

「…………の?」

「うん?」

 どうしよう。聞こえなかった。聞き返しても大丈夫かなぁ。機嫌が悪化しちゃうかも。

「ヨフは何者なの?」

 僕が困っていると、ヘミィネは少し大きな声で言い直してくれた。
 
「え、えーと…。庭師の助手だよ?休職中だけど。」

 ヘミィネはキッと睨みつけてくる。

「でも違うよね?父上にしろお父様にしろ…、ラニラルも…。ヨフを庭師の助手という扱い方をしていないでしょう?」

 あう。お兄ちゃんだよって言いたいけど、今は言えない。
 ここで僕がヨフミィ・アクセミアだと認知されると失敗に終わる。せっかく妹女神様が順調に行くように手伝ってくれているのに、やり直しになる可能性がある。

「えっとね。」

 もしかしてヘミィネも気付いてるの?
 でもヘミィネは子供の頃の僕を知らない。僕に記憶がないことも知らないはずだよね。
 答えに困っていると馬車が止まった。
 外からラニラルが声をかけてきたことによりなんとか逃れる。
 僕とヘミィネが降りるのを手伝いながら、ラニラルが怪訝な顔をしたのに気付いた。
 気まずい空気が伝わったらしい。
 それでも王太子宮の目の前に到着したので僕達は建物の中に入って行った。
 案内されると既にレジュノ王太子が待っていた。

「よく来たな。」

 昨日の舞踏会の後でも会ったけど、やけに嬉しそうな?
 王太子はあちこちにまだ包帯を巻いている。フヒィルはそうでもなかったのに、最後にラニラルが外に蹴り出した時の怪我が多かったみたい。

「フヒィルはあとから怪我が痛んだりしなかったか?」

「俺は切り傷と軽い打撲が少しあるだけですから大したことありません。」

 あれ、すぐにフヒィルに話しかけてる?
 レジュノ王太子はフヒィルを気に入ったんだね。クエストの効果なのかなぁ。面白い~。
 小説ではヘミィネが相手だったけど、全然タイプが違う。やっぱり媚薬の影響が大きかったのかな。
 レジュノ王太子はフヒィルの怪我を確認した後、僕の方を向いた。

「以前来た時に手鏡があったのか?」
 
 お父様が詳細を手紙で伝えてくれていたので説明する必要がなくて助かる。

「はい、着替えた時に着ていた上着のポケットに入れていました。」

 レジュノ王太子がすぐに王太子宮の使用人達に確認してくれたらしいのだけど、僕の手鏡は誰も見ていなかった。
 でも確かにポケットに入れた記憶はある。
 あの後から見ていないし、確かにここにあるはず。王太子宮に勤めるような人はそれなりに身元がしっかりした人達である。手鏡を盗むような人はいないと思ったんだけど。

「すまない、もう少し調べてみよう。」

「いいえ、あまり使用人さん達に問いたださないで下さいね。」

 泥棒扱いされたと思ったら困るし。
 ラニラルとソヴィーシャがレジュノ王太子と仕事の話をするのを聞きながら、自分の勘違いだったら恥ずかしいなと思ってしまった。
 
「大事な手鏡なの?」
 
 ヘミィネが聞いてきたので、僕がお世話になっていたおばあちゃんからもらったものだと教えた。

「拾って怪我の手当をしてくれた人なんだよ。ずっと育ててくれた人だけど、亡くなっちゃったんだぁ。」

 それをなくしちゃうなんて…。
 しょんぼりと肩を落とした。

「…その人って本当の家族じゃなかったの?」

「うん、ジールさんのお母さんだよ。すっごく優しかった人だよ。」

 何も言わずに育ててくれた人だ。オメガとわかっても、面倒くさがらずに一緒にいてくれた。

「ふーん……。」

 ヘミィネとの話がちょうど止まると、三人の話し合いも終わったらしい。
 
「また遊びに来るといい。」

 レジュノ王太子は僕とヘミィネとフヒィルの三人に箱を渡してくれた。

「なぁに?」

 ふわっ、いい匂い!
 中身はスコーンだった。チョコとりんごと紅茶と蜂蜜だとぉ……!
 僕とヘミィネは一種類一個ずつの小箱だったけど、フヒィルには大量に渡された。

「騎士団で食べるといい。今回は世話になったからな。」

 確かにダジィル王弟殿下の企みを阻止して全部実行犯に罪を被せることが出来たのは、騎士団が王太子の命令に忠実に動いてくれたからだ。同じ王族なので、第一騎士団の第四隊のようにダジィル王弟殿下に従ってもおかしくなかった。

「いいんですか?みんな喜ぶと思います!臨時収入もあったのに嬉しいですね!」

 フヒィルは喜んでいる。

「……身内から手懐けるつもりか?いや、牽制か?」

 ソヴィーシャが何やらぶつぶつ言っていた。
 また来いと言うレジュノ王太子に、フヒィルは元気よくはい!と返事をしていた。
 フヒィルは先にスコーンを騎士団に持っていく為離れて行った。

「帰りは私が随行しよう。」

 ソヴィーシャがフヒィルの代わりに送ってくれることになった。
 行き同様馬車に乗り込み王宮を出る。

「…あのさ、手鏡どうするの?」

 ヘミィネが遠慮がちに尋ねてきた。行きがけに聞いてきた質問をもう一回されたら困るなと思っていたので、話題が変わって助かる。

「うーん。失くしたのは僕の責任だし…。残念だけど諦めるしかないねぇ。」

 とほほと項垂れると、ヘミィネは勢いよく身を乗り出した。

「じゃあっ…!」

 うん?と話を聞こうとした時、ガタンッと馬車が止まった。
 外の様子がおかしい。

「え、なに?」

 ヘミィネがキョロキョロと窓の外を見た。僕も一緒に窓にへばりつく。

「えっ!」

 窓の外が暗かった。
 今日は快晴というわけではないけど、晴れていたし陽が暮れるには早い。
 なんでこんなに暗いの!?
 まるで嵐が来たかのように外は暗く風が吹いて木々をしなるように揺らしていた。
 窓を開けようとしたらラニラルが外からバンッと抑えた。
 開けるなということらしい。
 何が起こってるの?
 どっと雨が降り始めた。雷が鳴り、暗く視界が悪くなった中、ぴかっと光る稲光で瞬きのように外の様子が見えた。
 全員同じ前方を見ている。
 御者が座る方の小窓から外を覗いた。
 
「炎だ……。」

 ユラユラと大きな炎が揺れている。
 あれは、知っている。幼い頃に僕を追いかけてきた炎だ。でもなんで?
 ここは王都の中だ。空に立ち昇る炎は町を燃やそうとしている。暗闇の中、炎の灯りを頼りに逃げ惑う人々が溢れ出していた。
 僕は構わず馬車の窓を開ける。土砂降りの雨が入り込み濡れるが構わない。

「ラニラルっ、僕は郊外に行く!」

 なるべく家がなくて人が少ないところに!
 僕の意思が伝わったはずなのに、ラニラルはゆっくりと首を振った。

「嫌です……。」
 
 ラニラルが泣きそうな顔をしていた。

「ラニラルっ、僕がここから離れたら炎も追ってくるからっ!」

 この天気も、生きているように動く炎もあの日と一緒だ。きっとこれは駄女神が起こしている。
 ラニラルは開けた窓の縁にガッと手をかけた。

「いけませんっ!またあの日のように、いなくなったら……。」

 ラニラルの悲痛な声が僕の心を締め付ける。
 僕は湖の中まで助けにきたラニラルを見ていた。離れた手に目を見開きゴボゴボと空気を吐き出しながらラニラルは叫んでいた。
 ラニラルの為を思えばここを離れない方がいいかもしれない。でも炎はどっちにしろ迫ってきている。ここにいる全員を巻き込みたくない。
 僕はラニラルの手を取った。

「大丈夫だから。」

 だから郊外に連れてって欲しい。
 今回は妹女神様がいる。助けてくれるはず。

「ヨフはどこに行くつもりなの?」

 ヘミィネが出ていくと主張する僕に慌てて尋ねてきた。

「どこってわけじゃないけど、人が少ないところに行かなきゃ。」

 僕は馬車の扉を開けた。強風が重たい馬車を持ち上げそうなくらい吹き込み、雨が身体に叩きつけられる。

「お願い。」

 僕を連れて行って。
 ラニラルは苦しそうな顔をしながらも、僕を抱き上げて自分の前に座らせた。そして馬の腹を蹴って走り出す。
 人が逃げ惑うので早くは進めなかったけど、炎を避けて王都を抜けて、町を覆う城壁を抜け、徐々に家がまばらになり木々が増えてくる。郊外に来たのだ。
 炎は僕を追いかけて来ていた。
 ピロンと電子音が鳴った。んん!?ここでクエスト?

『クエスト⑤ 災厄をかわせ!駄女神がヨフミィの手鏡を使って厄災を起こしているよ!
天罰の如き災厄を鎮めるために、手鏡を壊せ!

報酬、ヘミィネの番』

 なんとっ!ヘミィネの番ぃー!?
 いつもは次のクエストがすぐに始まるのに、今日は時間差があった。
 夢の中の女神様の庭園は嵐になって水没していた。駄女神が暴れて向こうも大変なことになってるのかな?それで次のクエストが遅れたのかも。
 駄女神が暴れた挙句にこっちにも被害が?
 それはともかく、駄女神は僕の手鏡を使って厄災を起こしている。
 手鏡壊さなきゃかぁ。そっかぁ……。
 僕がクエストを確認している間もラニラルは馬を走らせてくれていた。
 ラニラルは人がいなくなった辺りで何かに気付いて速度を落とす。
 ソヴィーシャとヘミィネ!?

「おいっ、説明もなしに離れていくな!」

 追いついたソヴィーシャが文句を言った。

「僕が郊外に行ってって頼んだんだよ。」

 僕が言うと、ヘミィネも声を上げた。

「なんであの炎は追いかけてくるの?」

 なんでと聞かれても駄女神の力とは言えない。言っても信じてもらえなさそうだしね。
 炎は森を焼き近づいてきていた。
 夜のように暗い空に、炎が燃え盛り照らしている。雨粒が顔に当たり、前が見えにくい。手で目を庇いながら炎を睨みつけた。ユラユラと揺れる炎が人の形のように見える。空に立ち上り、僕達を飲み込むように大きく膨れ上がっては進んでくるので、徐々に熱気で息苦しさが増してくる。

「壊さなきゃ……。」
 
 手鏡はあの炎の中にある。
 駄女神めっ!本当に駄目な女神だ!
 僕が馬を降りようとするとラニラルが腰を掴んで止めた。

「どこへ行くつもりですか?」

「あの炎を止めてくる。」

 ピロンとまた音が鳴った。
 中途半端に馬から降りようとしていた状態で、下に向いた目線に青いスクリーンが見える。

『緊急クエスト!誰の手を取る!?
災厄に立ち向かい嵐を抜けろ!
1・ラニラルの手
2・ソヴィーシャの手
3・一人で立ち向かう
報酬、神様の宝剣』

 僕はふふっと笑った。報酬って書いてあるけど、これって報酬じゃないよね。何を選んでもきっと妹女神様は助けてくれるつもりだ。
 ただ……。
 このクエストはヘミィネが番を得る為に進めている。そして僕の為のクエストでもあると言っていた。そして妹女神様はもう答えは出ているのだとも。
 僕の為のクエスト。
 僕の為の報酬。
 僕の番。
 ヘミィネはラニラルが好きだ。
 でもこのクエストは僕の為のものだと妹女神様が言うのなら、きっとここで選んだ答えは……。
 
「ヨフ?行くのなら私も行きます。」

 僕の腰を掴んで離さないラニラルを見上げた。ラニラルは必死に僕を見ている。

「……あそこに行ったらどうなるかわかんないよ。」

 最悪死ぬかも。

「焼けて爛れても絶対に離しません。」

 焼けて爛れるのはやだなぁ。
 ここでラニラルを選択していいのかな。
 僕はヘミィネを見た。ヘミィネはソヴィーシャの馬に一緒に跨ってついて来ていた。
 お父様とそっくりな目で、僕を心配そうに見ていた。

「あの炎が普通じゃないのは僕にもわかるよ。ヨフが行かなきゃならない理由はわからないけど…。」

 ヘミィネは心配してくれている。
 いつも怒ってるようなイメージがあるけど、ヘミィネが怒っても全然嫌な気持ちにならないのは、この薄紫色の瞳が僕のことを好きだと言っているからだ。
 
「ラニラルを連れて行きなよ。」

 ヘミィネはどうしても行かなきゃならないならラニラルを連れて行けと言った。
 
「でも…。」

 僕は一人で行こうかと思っていた。
 ヘミィネの番はヘミィネが好きな人がいいと思うから。だからラニラルは残していかなきゃならない。

「でもじゃないんだよっ。ラニラルは絶対についていくから、置いて行こうとしても無駄だよ。」

 ヘミィネがそう言うと、ラニラルは僕を抱えたままヒラリと降りた。

「馬は置いて行きます。恐怖で近寄れないでしょうから。ソヴィーシャ、ヘミィネ様を頼みます。」

 青いスクリーンの『緊急クエスト』の画面が光り、ラニラルがポンと選ばれた。
 僕、答えてないんだけど。

「ラニラル…。」

「駄目ですよ。今度は離しませんから。」

 ラニラルは僕を抱っこしたまま歩き出した。
 ソヴィーシャはラニラルの馬の手綱を受け取り、馬を走らせ遠ざかるように去っていく。

「ごめんね。」

 巻き込んじゃった。

「謝らないで下さい。……あの時も、こうやって私の手を離さないでいただければ良かったのです。」

 僕はぎゅうとラニラルにしがみついた。
 うん、ごめんね。手を離してごめんなさい。
 今はついて来てくれて、ありがとう。








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