じゃあっ!僕がお父様を幸せにします!

黄金 

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74 一緒に過ごそう

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 うん、僕はね、今までどうやって生き残ろうかとか、どうやってヘミィネに幸せな番を作ってやろうかとか、そんなことばかり考えていた。
 ジールさんと一緒に王都に来て記憶を取り戻し、それからは妹女神様に出会って助けてもらいながら生き残り、ヘミィネにまだ仮だけど番が出来て、僕はこの世界で生きていくことをようやく実感したんだ。
 僕はオメガだ。
 愛する番が欲しい!
 妹女神様は僕には番が決定しているような言い方をしていた。
 それってなんとなくラニラルかなと思ってたんだけど…。
 だってヘミィネはソヴィーシャでしょう?レジュノ王太子はフヒィルなんだろうし、リュハナはルヌジュだもん。
 ラニラルは死んだヨフミィ・アクセミアに操を立てるようなキャラだったし、僕は生きている!
 これはもう僕しかないでしょう!?
 そう思うでしょう!?

「なんで!」

 僕は叫んだ。
 
「なんでぇーーー!」

 パコっと頭を殴られた。一応遠慮してか紙の束をクルクル巻いたやつで叩かれた。

「叫ぶんじゃない。」

 ソヴィーシャ、痛いよ…。
 ここは騎士団の訓練場だった。僕は観覧席の一番上に登って思いの丈を叫んだだけなんだよ?
 
「まさかねぇ。」

 一緒に来たヘミィネが隣にちょこんと座って僕を見上げた。

「僕が可愛くないから?歳をとりすぎ?」

「そんなわけないよ。兄上と僕の顔は一緒なんだよ?」
 
 ヘミィネはふんと息を吐いて自分は可愛いと言い切った。うん、可愛いけどね。
 
「ずっとメガネだったからあまり気にしてなかったが、本当に似ているな。」

 ソヴィーシャも感心していた。
 そう、僕はもうメガネ男子じゃないんだよ。メガネは外して、長く伸ばしていた前髪は真ん中で分けて、顔が見えるようにしている。
 焦茶に染めていた髪の毛は元の白髪に戻るまで時間がかかると言われてしまった。とりあえず粉で染まっていた部分はすぐに戻ったけど、それは根本だけだ。ラニラルが焦茶と白では差がありすぎるからと、焦茶部分を明るい茶色に染め直してくれた。後は地毛が伸びるまで待つしかないって話だった。
 着ている服はお父様とラニラルによって選ばれているので、ちょっと可愛い。今日はアイボリーの上下に胸には小花のブローチ。袖はフリフリで襟には刺繍が入っている。髪は何故か編み込み入りのツインテール。
 
「ねえ、僕ってば歳食ったオメガが若作りして気持ち悪い~とか言われてない?」

 心配!
 
「何言ってるの?僕の顔を侮辱してるの?」

 ヘミィネってばラニラルに育てられてるからそんな自信家なの?なんか似てるね。

「いや、お前はもっと周りをよく見た方がいいぞ。」

 まわり?
 クルッと見渡すと、目が合った騎士達が慌てて視線をそらしていた。

「なんか見られてたけど目を逸らされたぁ~……。」

 やっぱり浮いてる?
 素顔をさらすのって勇気がいる行動だよねぇ。この前までメガネかけて堂々と騒いでた変な奴が、いきなり金持ち風を装って自分綺麗なんですよって感じで歩いてたら引くよねぇ。
 モジモジ。

「ラニラルは何やってるんだ?」

「…ね?」

「ラニラルなら父上の仕事の補佐でお手伝い中だよ。」

 僕をここまで連れて来たのはラニラルだもん。終わったら迎えに来ると言ったから現在待ちぼうけ中だよ。

「いや、知ってる。任せられたの私だし。言いたいのは今何をしているかってことじゃない。」

 ソヴィーシャが呆れていた。

「うーん…。父上もお父様もラニラルに継がせるつもりで教え込んでるんだけどねぇ。」

 ヘミィネも困った顔をしていた。うーんと難しい顔をしていたヘミィネが、あっと顔を輝かせた。

「もうそろそろだよね?」
 
 何が?
 ヘミィネが僕の耳に口を近づけ囁いた。

「発情期だよ。」

 あ、そういえば。指を折って数える。そろそろどころかあと数日中ってくらいに迫っていた。

「忘れてた!」
 
「誘ってみたら?」

 僕はポカンとヘミィネを見た。

「そそそそそ……!」

 そんな!

「だってヨフミィ兄上はもう二十二歳なんでしょう?おかしくないよ。僕なんて早く発情期来て欲しいのに。」

 ヘミィネがぷりぷりと唇を尖らせる。
 以前双子達と話した時に、ヘミィネは好きな人と発情期を過ごしたいって言ってたもんね。
 駄女神小説ではヘミィネは薬によって無理矢理発情期になってしまっていた。でもそれは阻止できたので、ヘミィネにはまだ発情期が来ていない。ソヴィーシャとは仮の番のままだった。だからヘミィネは初めての発情期を待っている状態だ。

「こらこら、そんなことを外で話すもんじゃないだろ?」

 ソヴィーシャがヘミィネの頭をポンポンと叩いて、尖ったヘミィネの唇に軽くキスをしていた。

「うわ…、さりげなく手を出してる。ソヴィーシャの分際で…!」

「分際でってなんだよ。」

 ふーん、だ。悩める僕の前でイチャつきおって!
 でも発情期かぁ。
 一緒に過ごしてってお願いしたら、ラニラルは一緒にいてくれるのかなぁ。
 ……ま、悩んでも仕方ないし、チャレンジあるのみだよね!
 僕は決行することにした。


 帰り迎えに来たラニラルに、僕は直球で聞いてみた。

「ねえ、ラニラル。」

「はい、なんでしょうか。」

 僕はラニラルが乗る馬の前に座っている。
 雨が降ったら馬車を出すけど、雨が降らない限りは馬で移動していると言うので、僕はラニラルの馬に一緒に乗せてもらっていた。

「僕、近々発情期なんだぁ。一緒に過ごそうよ。」

 さりげなーく聞いてみる。さりげなくない気もするけど。
 ラニラルの顔を見るのは恥ずかしいので、前を見たまま聞いてみた。い、嫌な顔してたらどうしよう?
 なんでラニラルはすぐに返事しないの?

「………まだ、状況が落ち着いたばかりですので。」

「………え。」

 お、お断りされちゃった?
 う、うん。ラニラルなら断るはずないとか自信満々だったわけじゃないよ。ラニラルは忙しいしね。
 う、うん。
 まだいろいろあるもんね。

「う、うん。言ってみただけ。忙しいもんね!」

 えへへ、と笑いながら背中のラニラルのほうをチラッと見てみる。
 あ、あれ、ホッとしてる?
 僕、発情期を一緒に過ごそうなんて言わなきゃよかった?
 オメガから恥ずかしげもなく言うなんて下品だった?
 めんどくさい?
 僕はしょぼんとしてしまった。


 数日後、僕は予定通り発情期が来た。
 一瞬だけラニラルと過ごせるかなぁとか思った時もあったけどねっ。
 いいんだけどねっ。
 僕はジールさんの家を出て、今はアクセミア公爵邸で生活をしている。
 ジールさんはエユドと良い感じだからね。邪魔がいてはいけない。
 だから発情期は公爵邸で過ごすことになったわけだけど、部屋は公爵家の人間が生活する階の端っこに移動した。
 まだ発情期がきていないヘミィネやルヌジュに配慮してだ。
 部屋は角部屋で、オメガの発情期用に作られた特別な部屋だった。侵入者が入らないように窓は小さく全開出来ず、上へ持ち上げて下のほうが少しだけ開く窓になっている。窓ガラスも厚くて割れにくいし、廊下と繋がる扉も頑丈だった。鍵がついていて、お父様が保管している。
 数日は籠もるので保存できる飲み物や食べ物、着替えなどの必要な物をラニラルが用意してくれた。食事の用意や掃除はベータの使用人がしてくれるらしいし、お風呂がついているので過ごしやすそうだ。
 はぁ~、一人かぁ。
 誰かと過ごしたことがあるわけじゃないし、いいんだけどね。
 ラニラルといい感じになれるのかなと思っていたのに、全然いつもの通りだ。

「ヨフミィ様、ここに水は置いておきますから、忘れずに必ず飲んで下さいね。抑制剤もありますからね。」

「うん…。」

 僕は椅子に座って足をぷらぷらさせながらうなずいた。

「……怒っておられますか?」

「怒ってませーん。」

 ラニラルがヨフミィ様呼びに戻っちゃったのも怒ってませーん。

「………。」

 ラニラルが気まずそうにしている。
 そんなに僕が発情期を一緒に過ごそうって言ったのが嫌だったのかな?
 なんかショックだなぁ。
 やっぱりどこか心の中ではラニラルは断らないって思い込んでたのかも。
 僕から誘ったら喜んでくれるって思い込んでたのかも。
 どっかで自惚れてたのかもしれないね。
 僕はぴょんと椅子から飛び降りた。
 
「ね、ラニラル。」

「はい。」

 僕が笑顔で隣に立つと、ラニラルは微笑んで返事をする。

「一回だけキスして。」

 ラニラルの蒼瞳が見開かれた。

「前回は、ラニラルからしたでしょう?もう一回して。」

 これも嫌なのかな?
 僕が待っていると、ラニラルは遠慮がちにゆっくりと唇を合わせた。
 とても優しいキスだなと思う。唇が合わさるだけの……。
 僕はニコッと笑った。
 そろそろ本格的な発情期に入りそう。だからラニラルは早く外に出さないと。
 僕はラニラルをグイグイと扉の方に押した。

「ヨフミィ様……。」

 ラニラルは僕に押されるがまま廊下に出た。

「ありがと。終わったら鈴鳴らすね。」

 笑顔、笑顔。

「ヨフミィ様っ、些細なことでも良いので何かあったらすぐに鳴らして下さい。」

「うんうん。」

 大丈夫だもん。今までも一人でやりすごしてきたんだし。
 何か言いたそうなラニラルを無視して、僕は急いで扉を閉めて鍵をかけた。
 急いでベッドに走り布団に潜り込む。
 なぜだかじわっと涙が浮かんだ。
 
「あれ?変なの…。変なのぉ……。」

 僕の番ってラニラルじゃなかったのかなぁ。
 すぐに発情期は始まった。
 ラニラルのキスの所為かな?
 僕、このまま行き遅れちゃうの?昔ムカつくオメガ令嬢を行き遅れって馬鹿にしちゃったから、バチが当たったの?
 
「はぁ、はぁ…。」

 今回の発情期は苦しいなぁ。
 フラフラと立ち上がってテーブルに用意されていた抑制剤を水で流し込む。
 すごく、暑い。あつい……。くるしい……。
 リンリンと鈴の音が聞こえた。これは外からの呼び出しだ。よっぽどのことがない限り鳴らさないって聞いていたのに、なんだろう?
 まさか、火事?
 それは勘弁してほしい。
 フラフラしながら扉の前に行く。
 
「どうしたの……?」

 すぐに返事が返ってこない。もしかして聞き間違いだったのかな。
 返事がないから聞き間違いだったのかも。
 僕は扉についていた手を離そうとした。

「ヨフミィ様、開けてもらってもよろしいでしょうか。」

 ラニラルだ。
 開ける?

「僕、だいぶ、限界。」

 息が上がる。ラニラルの声を聞いただけで、自分の体温が上がったのを感じた。下半身がゾワゾワする。我慢できない。

「…っ、抑制剤は飲みましたか?」

「……ん、飲んだ。」

 でもあんまり効いてない気がする。いつもはちゃんと効くのに。
 ダラダラと太ももに流れる水の感触がする。こんなに濡れたことないのに。

「開けて下さい。」

「……なんで?」

 今開けたら大変だよ。この扉はオメガのフェロモンが漏れないように分厚くできていたけど、少しは漏れてるんじゃないかな?
 ラニラルはアルファなんだから、そんなところにいたら影響受けちゃうよ。
 早く離れて他のベータの使用人に任せなよ。

「私と一緒に過ごしましょう。」

 なんで?
 この前、断ったじゃん。

「だめ。」

 今は僕の匂いを嗅いでるから入りたくなってるだけだよ。

「お願いします。」

「やだ。」

「ヨフミィ様、お願いいたします。一度断っておいて図々しいのは理解しております。ですが…、お願いします。」

「なんで……?」

 僕、断られて悲しかったよ。

「謝ります。悲しませたり怒らせたりしたかったわけではありません。ただ、怖かったのです。」

「………なにが?」

 怖かったの?
 もう駄女神の小説じゃないし、僕は生きてるよ。

「理由を教えるので開けて下さい。」

 ここで教える気はないんだ?
 迷って鍵を開けた。鍵を開ける手も震えている。鍵が開いた瞬間ラニラルの方から扉が開いた。ラニラルの手が伸び、僕を抱きしめる。

「はぁ、はぁ。……そんな、近づいたら…。」

 ふわぁ、ラニラルの匂いがする。
 無意識にラニラルの胸にすりすりと頬を擦り付けた。うわ、ちんちんが痛い。すごく熱がこもって勃ち上がってる。
 僕は自分の下半身がラニラルにつかないように腰を引いたのに、ラニラルは逃さないとばかりに抱きしめた。
 ラニラルは後ろ手で扉を閉めて鍵を掛けてしまった。

「私は幸せを感じて怖くなったのです。」

 なんで幸せなのに怖くなるのさ。

「小さな頃、ヨフミィ様と出会って、私は初めて楽しくなりました。面白くなかった生活があまりにも楽しくて、ヨフミィ様と一緒にいれば永遠にあのまま楽しいのだと思っていたのです。」

 うん、僕もそうなりたかった。

「ですが突然やってきた別れに、私は必死に押し潰されないよう心を殺して生きていました。深く考えると怖かったのです。」

「…うん。」

 ごめんね?

「貴方の手を離したことをずっと後悔していました。私が代わりに沈んでいればよかったのにと、何度も湖に足を運びました。」

 それはね、出来ないよ。僕が死んで、ラニラルはヘミィネのそばにいなきゃいけなかったからね。

「そんな空虚な生活を送っていた私のもとに、ヨフミィ様は帰ってきてくれました。」

 ぎゅうっと僕を抱きしめるラニラルの腕に力が入る。
 そ、そんなに強く抱きしめちゃうと、下半身がね、大変っ。

「もう離したくありません。ずっとおそばにいたいのです。」

「でも…。」

 僕のお誘いを断ったよ?

「申し訳ありません…。怖くなってしまいました。ヨフミィ様がいて、幸せで、嬉しくて、あまりにも幸せで…。幸せ過ぎて壊れてしまわないかと怖くなったのです。」

 僕はふふふと笑った。

「意外と、ヘタレ…。」

 ラニラルがぐっと喉を鳴らす。

「申し訳ありません…。つい先程、公爵夫人に怒られました。そうやって逃げ腰になるのならヨフミィ様は渡さないのだと言われてしまいました。」

 お父様に怒られたんだ。
 あはは、とおかしくなる。なんか涙が出てきた。

「やはり怒ってますか?」

 僕の涙に気づいて、ラニラルは慌てていた。

「あはは、わかんない。なんか、わかんない。」

 なんだろう?
 でも僕の心は軽くなった気がする。

「今からでも遅くありませんか?」

「あはは、なにがぁ?」

 ラニラルは僕を抱え上げた。スタスタとベッドに近づき、笑い続ける僕をゆっくりと下す。
 
「……私と発情期を過ごして下さい。」

 ラニラルがそっと口付けた。
 今度は触れるだけの口付けじゃない。深く舌が合わさりお互いの熱い息が絡まるような口付けだ。

「うん、いいよ…。」

 許してあげる。
 ラニラルの表情はとても嬉しそうだった。










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