昔貴方の為に世界を滅ぼした。

黄金 

文字の大きさ
1 / 1

どうしようもなく愛しています

しおりを挟む

 貴方が望むから全てを滅ぼしましょう。
 貴方が望むから世界を手に入れましょう。

 僕の力は強大で、誰も僕を受けいれてくれなかったけど、貴方だけは認めてくれたから…。

 貴方が望むなら私は貴方の剣になりましょう。



 夜空は赤く染まり星は見えない。
 燃え盛る都市は数多の炎の弾に撃ち抜かれ、防ぐ事も逃げる事も出来ずに燃え尽くされた。
 巨大なクレーターを作り滅される国を、誰も救う事はできない。
 だって、僕が全ての国を滅ぼしたから。
 そう、貴方が望んだから。
 幾百あった国々は、あっという間に滅んで無くなった。




 真紅の絨毯が長く伸びた謁見の間。
 十段程上がった先に僕の王は立派な椅子に座って僕を見下ろしていた。
 隣には金髪に紺碧の瞳を持った美しい佳人が微笑んで並んでいた。
 
 僕に剣になれと言って外に送り出し、隣に美しい人を並べた僕の王様は、僕が愛した元婚約者。
 愛してるよ。
 大切にしたい。
 そう、言ってくれたのに、帰って来たら僕の居場所は無くなっていた。

 僕の力は強大で、恐ろしい悪魔なのだと言う僕の王様。
 剣になれと望んだから、貴方の剣になったのに、望んだから世界を貴方にあげたのに。
 もうこの世界にはこの国しか無い。
 僕がそうなる様、徹底的に潰して来たから。
 たった一人でそう出来る力があったから。

 僕の王様は華麗な剣を片手に僕の前まで降りて来た。
 その瞳は冷酷で、僕に向ける初めての目だった。
 大勢の人が見守る中、僕の胸には熱い熱が生まれた。
 赤い絨毯に黒い染みが広がり、僕の王様は安堵の息を吐いた。
 貴方の今の感情を知りたくて、目を覗き込んだら、切先が伸びて来て目を潰された。
 もう私を見るなと………。

 愛していたから剣になった。
 愛していたから世界を手に掛けた。
 ただそれだけだったのに。


 僕は世界に呪いを放った。
 僕が焼き払った土地に黒い呪いを置いた。
 誰も住めない不毛の土地を手中にして、踊り狂って苦しめばいい。
 僕は知らない。
 だって僕の王が僕を殺すのだから。
 後悔してお前らも滅べばいい。


 ーー狭い世界で滅んでしまえーー









「と言う事で、今から約一千五百年前に世界は不毛の土地となり………。」

 僕は生まれ変わった。
 一千五百年も経ってた事にもビックリしたが、人が滅んでいなかった事にも驚いた。
 元の世界からしたら現存する土地等たかが知れている。
 僕の感覚からしたらこんな狭い土地では直ぐに息絶えると思っていたのに、しぶとく生き抜いていた。
 
 人って凄い。

 悪いなぁとは一切思わない。
 
 授業のチャイムがなり、仲のいい友達がお昼ご飯を食べに寄って来た。

「はぁ、歴史苦手。なんでそんな昔のこと覚えなきゃなんないんだろ。」

 友達は茶色の髪に青い瞳のロイ。
 僕が愛した僕の王様の生まれ変わり。
 あの後国は崩壊した、らしい。
 昔すぎて史書も無い。
 おそらく、と言う推測でしか語られない国になっていた。

 人は長い年月を掛けて浄化する魔法を生み出した。
 浄化の出来る人々を集めて学校を作り、浄化師と言う役目を作った。
 浄化師は貴重な存在。
 だから国から保護されるし待遇も良い。
 ロイも僕も浄化師になる学校に入学して出会った。

「今、住める土地が少ない事が問題なんだよね~、昔なんて関係ないよね~。」

「ホントだよ…歴史の授業潰れろっ!」

 毒づくロイに僕は笑った。
 君が僕を斬ったせいだけどね?
 生まれ変わった君はだいぶ変わってしまった。
 相変わらず顔はいいのに、僕を見つめる眼差しは穏やかで優しい。
 あの僕の胸に剣を刺した時の君の安堵した表情が忘れられない。
 あれに近いものが今ある様で、今の君を見ていると胸が締め付けられてしまうんだ。

「俺はただ浄化師になって浄化したら、その土地は貰えるって言うからこの学校に来ただけなんだよ。俺は自分の土地が欲しいの!」

「なに?領主様にでもなりたいの?」

 なりたいならコッソリ手伝ってあげるけど?
 昔は昔、今は今だよね。

「俺の夢は自分の土地を持って、好きな人と結婚して子供を作って畑を耕して暮らす事なんだ。」

 やたらと真面目な顔してロイは言う。

「?うん……なる程?」

「一人の浄化師が一生に浄化できる範囲なんてたかが知れてるんだ。」

 僕は多分一気に全部浄化出来そうだけどね?なんてったって自分で蒔いた呪いだし。

「領主なりたいとか、一国の主人なりたいとか、そんな大きな事を言ってるんじゃないんだ。小さくて慎ましい家庭が欲しいんだ。」

「うんうん、なるほど?」

 凄く真剣に言ってくるな。

「分かるか?やり過ぎたらいけない。」

 分かったな?と念を押された。
 そーだな。
 突然世界中の呪いが消えたら、誰がやったってなるし、僕がやったってなったら、どーなるんだろう?
 静かに暮らしたいならやらない方が良いんだろうな。
 納得した僕を見て、ロイは安堵の息を吐いた。
 その表情があの日最後に僕を貫いた時の様で、僕は懐かしくて見惚れてしまった。
 僕は裏切られて殺されても、僕の王が大好きなんだなと、泣きたくなった。

「なんで泣いてるんだよ?言っとくけど、一緒に住むのお前なんだぞっ。」

 僕はびっくりして涙が一つ溢れてしまった。







 愛する魔法師を貫いて、見ていられなくて彼の目を潰した。
 私もすぐに逝くから………。
 君に無茶なお願いをして、君の能力を見誤ったのは私だ。
 まだ若い王の私では、周りを押さえ込む事が出来なかった力量不足な私が悪い。
 同じ剣で自分の首を掻き切った。
 君が世界を呪ったのは分かったけど、それでいいと思った。
 こんなに広いから欲しがる奴が出てくるのだ。
 こんな世界等いらない。
 愛してるから。
 君だけだから。
 私も一緒に逝くから……。

 どしゃりと落ちた身体の先に君の手があった。
 力の出ない腕を這う様に持ち上げて、君の手を握り込む。

 …………………ぁあ……
   ………漸く、………きみ、の…
      ……手、を、に………ぎ…












「えと、じゃあ子供は三人欲しいな……。」
 僕は昔からの願い事を僕の王様に初めてお願いした。
 ロイは弾ける様に笑う。
 ロイの手は暖かい。









しおりを挟む
感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

なぁ恋
2025.02.13 なぁ恋

唯一無二のふたり
ふたりの世界
なんのしがらみもない
ふたりだけの国

いっしょになった後お互いに前世の誤解を解いたりするのかな?
しなくてもいいのかな?
どうせならいっしょに逝ったのを教えてあげて欲しいかな
ずっとずっと愛してるって ˶ˊᜊˋ˶

2025.02.13 黄金 

感想有難う御座います。

前に書いたのにもコメント嬉しいです。綺麗な詩のようなコメント有難うございます。
この後は一緒に逝ったとは知らないので、二人で話し、和解して、一応私の脳内では結婚してる……、という考えでいます。

解除
金浦桃多
2024.06.30 金浦桃多

新作待つまで過去作読もうと思い、寝る前だしショートショート読もうとしたら、内容みっちり、途中まで涙目、ラストはしっかりハッピーエンドだった✨

良かったです✨良い夢見て寝ます(笑)
素敵な作品ありがとうございました✨



2024.07.01 黄金 

感想有難う御座います。

思いつきで書いた短い話ですね。
新作はまだ少しかかりますが、興味惹かれる話を書けたらなと思っています。

いい夢見れるといいですね。

解除
そら
2024.01.24 そら

両思いだったー
良かったよー( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

素敵な作品😍ありがとうございます

2024.01.24 黄金 

感想有難う御座います。

はい、前世も今世も両思いです。
短い話ですが感想有難う御座います。

解除

あなたにおすすめの小説

当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。

マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。 いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。 こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。 続編、ゆっくりとですが連載開始します。 「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)

turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。 徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。 彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。 一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。 ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。 その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。 そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。 時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは? ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ? 読んでくださった方ありがとうございます😊 ♥もすごく嬉しいです。 不定期ですが番外編更新していきます!

手切れ金

のらねことすていぬ
BL
貧乏貴族の息子、ジゼルはある日恋人であるアルバートに振られてしまう。手切れ金を渡されて完全に捨てられたと思っていたが、なぜかアルバートは彼のもとを再び訪れてきて……。 貴族×貧乏貴族

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

異世界転生した悪役令息にざまぁされて断罪ルートに入った元主人公の僕がオメガバースBLゲームの世界から逃げるまで

0take
BL
ふとひらめいたオメガバースもの短編です。 登場人物はネームレス。 きっと似たような話が沢山あると思いますが、ご容赦下さい。 内容はタイトル通りです。 ※2025/08/04追記 お気に入りやしおり、イイねやエールをありがとうございます! 嬉しいです!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。