偽りオメガの虚構世界

黄金 

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23 どうも、ごめんなさい?

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 下に降りて行くと、意外と敵に攻め込まれているのだと知る。
 守備が足らないのだ。
 味方本陣は二階の図書室になっている。
 階段を使って身軽に降りて行って思ったのだが、サブ垢のレベルが上がっているおかげか現実の身体よりかなり軽い。
 飛ぶように階段を降りる事が出来るのだ。

「ああ、この身体能力が現実にも有れば~。」

 息を切らせる事もなくタン、ターンと着地すると、鳳蝶がふざけてそう言った。
 仁彩もそう思うので苦笑するに留めておく。
 二階に到着すると、廊下では既に攻防が拡げられていた。

「あ、フ……。」

 ミ君と言いかけて、慌てて口を紡ぐ。
 『another  stairs』の中ではほぼ毎日会う顔だが、現実の仁彩と鳳蝶は知らない事になっている。
 史人はクラスが違うのでどうやら守備側にいたようだ。

 ギィンッ!
 刃と刃が重なり削られていく音。
 フミは神官という職業に武器はロッドだ。接近戦に向かないのだが、人が足らずにロッドで戦っている。打撃と体術になるので決め手に欠けているようだ。

「仁彩、オレは史人の助っ人に入る。本陣の方よろ。」
 
 鳳蝶が包丁を持って史人と他校生の間に割って入り、その他校生の剣を受け止めた。
 これはもう、装備出して戦う感じ?
 あまり知った顔に会いませんように、と祈りながら図書室の中へと仁彩は入っていった。



 図書室の中は迷路になっていた。
 広さも現実の図書室の広さではない。天井の高さも三階分程度ありそうだった。
 敷地拡張は出来ないはずなので、校庭とか使用しない容量分をここに持って来たのだろう。
 作りが凝っていて頭のいい奴が作ったのだろうなと感心する。
 仁彩には不可能な技術だ。自分で言うのもなんだけど、仁彩の頭はあまり良くない。
 図書室も入った事あるかも?と言う程度の利用率だ。
 鳳蝶に旧時代遺物の紙の本を馬鹿にするなと言われたけど、仁彩にはイマイチ良さが理解出来なかった。
 
 仁彩が奥に進んでいくと、敵と味方を認識するのか、味方側の仁彩は直ぐに本陣の旗の前に出た。
 本棚に囲まれ少し広くなった場所だ。
 奥には天井まで届く窓が並び、夜空の月が大きく浮かんでいる。
 耳を澄ませば拡張された図書室のあちこちから戦う音や怒鳴り声が聞こえた。
 かなり敵が入って来ているようだった。
 しかも旗の周辺には誰も味方がいないのだ。ここを守っておけば誰も入ってこれない、という場所で戦っているのかもしれないが、そこを突破された時どうするつもりなのだろうと、仁彩は一人苦笑した。

「ここで旗を守っとけばいいかな……。」

 旗を時間まで守れば勝ちか引き分けになるのだ。
 仁彩は並んだ机と椅子の列の中から一つ椅子を持って来て座った。
 ここで時間が過ぎるのを待つ事にした。






 
 フミからの応援要請で、ツキとミツカゼは図書室前に向かって走っていた。
 いつの間にか用意していた守備隊が前に出過ぎていたらしく、現れた敵兵に対処できず、守備の人間がどんどん減って行っていると連絡が入ったのだ。

 向こうの学校側からの誘いに乗ったのは生徒会だ。頼まれてフィブシステムの許可と設営を手伝いはしたが、ゲームの進行くらいちゃんとやって欲しい。
 今日のこの陣取りゲームに参加する為に、本日分のログイン時間を使っているのだ。
 本当なら夜の九時に『another  stairs』でジンに会いたかった。
 そういった苛々が識月の現在の行動原理になっている。とにかく目の前の敵を苛々と斬っていた。
 痛覚は全遮断、身体への外傷は表現なしに設定しているので、人の身体がバッサリ切れる訳でも血が流れる訳でもない。斬った事象に対して攻撃レベルに合わせて相手のHPが減っているだけだ。

「わぁ~、怖い、そんなに流歌ちゃん嫌なの?」

 ミツカゼが戯けて揶揄ってくる。
 別にオメガに対して好きも嫌いもない。なんならアルファだろうがベータだろうが関係ない。
 識月は相手が対応するに値するか、利益に繋がるか、それだけでしか測っていない。好意も嫌悪もあまり感じない。
 たった一人だけ、会いたいのはジンだけだった。ベータの男に生産性はないのではとフミに言われたが、別に恋人同士になりたいとか言っている訳ではない。
 あの瞳で笑いかけてくれるだけでいいのだ。ふわりと優しく笑って、頭を撫でたり抱き締め返してくれたりする、あの温もりが欲しいだけだ。
 そのひと時の安らぎを奪う女に、好意は一欠片も抱かない。
 生徒会の奴らが勝手に話を受けただけなのだ。
 元々あの女は陣取りゲームで勝ったら、識月を自分の恋人にすると言ってきたらしい。
 それに対して識月は冷たく拒否をした。
 生徒会の奴らをアルファのフェロモンで威圧したら、条件を変えさせるから話を合わせてくれと頭を下げてきた。
 一応自分もこの学校という中の社会の一員として、こちらに迷惑を掛けないと約束させて話を合わせている。
 
 勝てば告白されない様なので、とりあえず勝っておこうと動いた。
 だが、これはおかしいと感じる。

「傭兵を入れてると思うか?」

「ん~人数差が激しいから入れてそう。」

 何がなんでも勝ちたいのだろう。
 傭兵とは『another  stairs』の中で依頼されれば討伐補助をしている人達を指す。個人で職業にしている者もいれば、ギルドとして大々的に活動している所もある。
 泉流歌はそんな彼等を態々学校行事に雇い入れたのだろう。ほぼ面識のない人間にそこまで執着されると気持ちが悪い。
 そこまで考えて、リアルのジンを知らない自分も、ジンから見たら気持ち悪いのだろうかと少し悩んだ。

 二階まで駆け上がり目の前に戦闘中のフミ達がいた。
 一人特殊な武器を持っている者がいる。

「………包丁?」

「包丁だねぇ?」

 あれは仁彩がいつも一緒にいる奴だ。
 いつも何か食べていて丸い身体、という印象が強い。
 体格に不釣り合いな素早さで相手を切り捌いていく。『another  stairs』の戦闘力をそのままこの仮想空間に持ってくる様連動しているが、そちらの戦闘力が高そうだ。
 しかし何故本垢で戦うのか…。おそらく見た目から本垢だとは思うが……。
 ここはゲームと連動してはいても実際の『another  stairs』の仮想空間内ではないので、普通見れるステータス画面が見れない。
 名前程度しか表示出来なかった。

「ミツカゼ、俺は本陣の旗の方に行く。」

「はい、は~い。じゃあフミ達の加勢に行くよ~。」

 ミツカゼの軽い返事を背中で聞きながら、ツキは図書室の扉を開いた。







 仁彩がボンヤリと座って旗の前で待機していると、こっちだ!と言いながら走り込んでくる集団が現れた。
 殆どの人間がサブ垢を使っているので、容姿も年齢も様々なのだが、なんとも動きが玄人っぽい。
 『another  stairs』は十六歳にならないと始められないゲームだ。識月達の様に課金勢でもないと戦闘力は上がらない。
 ゲームを始めてヒヨッコから三年弱という高校生の動きではなさそうに見えた。

「その旗は貰うわよ!」

 泉流歌がそんな玄人集団に囲まれて叫んだ。ざっと三十人程度いそうだ。
 仁彩は首を傾げた。
 どうしようと内心悩んでいるのだ。
 サブ垢には勿論出来ない。体育館の巨大スクリーンで映像を流すという事は、どこかでこの状況も撮られている。今識月達がいなくても、後からサブ垢のジンになった時の映像を見られたらバレてしまう。
 じゃあ、どうやってこの旗を護るか…。
 護らなければ泉流歌は識月に告白をする。
 それは、なんだか嫌だった。

 だって、識月君は僕のものなのに…。
 ツキのあの笑顔が別の誰かのものになるのは嫌だった。

「しょうがない………。」

 ポツリと呟いた仁彩の言葉に、流歌はニヤリと笑った。
 可愛い顔が台無しだ。

「大人しく旗を渡せばいいのよ。」

 仁彩のしょうがない発言を、諦めたのだと受け取ったらしい。
 仁彩はふわりと笑った。

「ふふ、違うよ?」

 仁彩の服装が変わった。
 黒い霧が現れる。ジワジワと仁彩の身体を覆い、学校の制服がボロボロの漆黒のローブに変わってしまう。手には身長の二倍は有りそうな大きな漆黒の鎌を持ち、先程までなんの変哲もない男子生徒が異質な存在へと切り替わった。

「……は、ぁ?なによ、あんた。」

 流歌の丸い愛らしい瞳が見開かれる。
 先程までここにいたのは弱そうな男子学生だった。ヒョロリとした身体は軟弱そうで、装備も何もない、なんの脅威にもなりそうにない地味な少年だった。
 それなのに、今目の前にいる存在は得体の知れない圧を放っている。
 楽しそうにふんわりと優しげな笑顔で死を連想させる。

「ん?死神かな?」

 ゆっくりと大鎌が振られた。
 漆黒の鎌はよくよく見れば複雑な模様が掘り込まれており美しい。
 人は死を前にすると走馬灯が流れるというが、今高速で振られているはずの大鎌が、ゆっくりと精緻な模様さえ見えるくらいにゆっくりと見えた。
 流歌を守る為に前方にいた傭兵が、十人程度さっくりといなくなってしまった。

「バカな!?」

「そんな、一撃で!?」

 他の傭兵達が騒ぎ出す。折角大金を親に頼み込んで雇ったのに、意味もなく消えて行った。

「アイツをまずやっつけて!」

 雇用主である流歌の命令で、一気に攻撃が仁彩に向かう。
 仁彩はにっこりと笑った。
 距離を詰める為にトンッと前方に跳ぶ。
 こんな時天使装備の天使の憂翼と靴があると便利なのだが、今それを出すわけにはいかない。
 それでも上げたレベルと装備のおかげで、彼等の頭上に飛び上がった。

「バカか!?空中では丸腰も同然!!」

 傭兵達が一斉攻撃を仕掛けてくる。
 仁彩は漆黒の大鎌を頭上から一気に地面に叩きつける様に振り下ろした。
 全てを屠り消し去る為に。

「ひぃっ!?!!」

 殆どの人間が悲鳴を上げた。
 打った魔法弾も弓もナイフも、仁彩に向けられた刃も全てが大鎌の威力に霧散する。
 
「………助けっっ!!」

 ここが仮想空間で、実態に影響は無いのだと頭では理解していても、恐怖が悲鳴を上げさせた。
 
 目の前にいたプレイヤー達が次々と消えていくのを、流歌は呆然と見つめていた。
 強者ばかりを集めたのだ。
 楽勝な筈だった。
 夏イベのPVで雲井識月を見つけた時、憧れが一気に執着に変わった。どうしても手に入れたくて、このアルファと番になりたくて、両親に頼み込んだ。
 流石に相手が大物すぎるので、雲井識月が付き合うことを了承したら婚約打診をすると言われ、流歌は識月に近付く為に学校を巻き込んだ。そうでもしないと滅多に現実で会えることのない人物だったからだ。
 グランプリでも優勝出来たのだ。
 容姿には自信がある。
 会えば必ずOKが貰える筈だった。
 まだ、会えていない。
 喋ってもいない。
 何処にいるのか分からないなら、旗を取って目の前に来て貰えばいい。
 そう思っていたのに。

 漆黒の死神が全てを断ち切っていく。
 流歌の恋心を死なせる気だろうか。

 死神の髪がふわりと巻き上がり、少し引きつれた傷痕らしきものが見えるが、それさえ白い面に美しく映えていた。
 黒く煌めく瞳も柔らかそうな黒髪も、流歌には無いものだった。
 ジワリと涙が浮かぶ。

 もうダメだと思い掛けた時、流歌の前に誰かが割り込んで来た。
 ゴギイィィンーーー!
 大気を震わせて、漆黒の大鎌と暁月の日本刀が交差した。

「……………識月くん!?」

 流歌の声は弾んだ。雲井識月が流歌を助けてくれたのだ。流歌のHPは既に10を切っている。これ以上死神が大鎌を振り下ろせば、流歌は退場していた。

「識月くんっ!ありがとう!助けに来てくれたのね!?」

 流雨は識月の背中に縋りついた。
 だが識月はまだ大鎌の威力を受け止めている最中だ。
 それでも流歌は構わず識月に抱き付いた。
 このまま一緒に死神に斬られてもいいとさえ思っていた。







 一振りで全員退場に持ち込むつもりで振り下ろした。
 なのに………。

 識月君が泉流歌との間に割り込んで、攻撃を止めてしまった。

「…………なんで?」

 ショックだった。
 実は流歌に好意があったのだろうかと思い、識月も彼女のように可愛い女性オメガが好きなのだと思ったら悲しくなってきた。
 
「………誰かと思ったら仁彩だったのか……。その鎌の威力はどういう事だ?『another  stairs』では会った事ないよな?」
 
 識月としてはこれだけの攻撃力を持っていたら話題に上がるだろうと考えた。それに、装備も目立つ。黒い霧は不人気と言われるものだった筈だが、来ている漆黒のローブの不気味さを際立たせていた。

 大鎌の攻撃をいなされた仁彩は、くるりと後方へ飛び去り着地した。
 小首を傾げてどう答えたものかと思案する。

「僕、邪魔をした?旗は獲られた方が良かった?」

 自分の事を聞かれるとボロが出そうなので、話題を変える為に違う質問を被せた。
 識月はその意図を感じたようだが、仁彩に合わせてくれた。

「……………いや、旗は護っててくれて助かった。それ以上その鎌で攻撃されると容量オーバーで空間が壊れる。そんな威力のある武器は想定外だったんだ。」

 あのまま振り下ろされていればこちら側の校舎は消えていたし、連鎖反応で空間が崩壊していただろう。 
 集まった生徒達も強制ログアウトになる。
 空間崩壊による強制ログアウトは、使用者のその後の精神ケアが必要になる場合がある。
 今でこそ仮想空間にログインする行為は簡単なものになっているが、本来は繊細で緻密な作業なのだ。
 別にこのイベントがどうなろうが構わないが、咄嗟に大鎌の攻撃を止める為に出てしまっただけだった。

 識月の言葉を聞いて、もしかして流歌の事が好きで庇ったのかと思ったが、違う理由で攻撃を止められたのだと知り、仁彩はホッとした。
 なんだ、違ったのか…。

「そうなんだ?ごめん。知らなかったよ。じゃあ、それは退場させていいよね?」

 仁彩の言葉がやや不穏なものを感じるが、流歌が退場するのは構わないので識月は頷いた。

「………!?識月くん!どうして!?」

 流歌は識月に縋りついた。
 助けに来てくれたと思ったのに、流歌が消えてもいいと言うのだ。

 そんな流歌を仁彩は冷めた目でみつめた。
 切長の大きな目がすうっと細まる。
 嬉しそうに鎌をちょんと振った。空間を壊さない様に。

「どうも、ごめんなさい?」

 識月君の代わりに僕が振ってあげよう。
 容赦なく仁彩は流歌を強制退場させた。


 















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