Doubts beget doubts

朔月

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えさ

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 「肝試し行こうぜ!」
その剛史の一言で、僕たちは廃工場に肝試しをしに行くことになった。

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 僕らはN中に通う中学生だ。
ある日、ゆりが
「私、肝試ししたことないんだよね…お化け屋敷も行ったことないし…」
と言ったことから事が始まった。
ゆりの事が好きな剛史は、ノリ気で
「じゃあ行くしかねえな!肝試し!」
と言った。
剛史は、皆んなのリーダー的な存在だったので他の五人も行く事になった。
計七人だ。
待ち合わせ時間は夜の12時で、場所は廃工場の入り口前ということだった。

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「皆んな揃ったな!じゃあ行こう!」
剛史はまるで怖さなど微塵も感じてないかのように、淀みなくハッキリと言った。
ゆりは後ろで「怖いよぉ~」と、ずっと言っている。
面白い。

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 工場に入ってから僕らはしばらく歩いた。
「全員いるか?」
剛史はきいた。
見た感じ誰も欠けていないようだったので
「全員いるよ」
と答えた。
誰も反応しない。
怖いのは分かるけど反応しろよ…。
「今、なんか聞こえなかった?あ、あとホントに全員いるよね?」
ゆりが言った。
「大丈夫だ。安心しろ」
すぐ反応しやがった。
流石、ゆりのことが好きなだけはあるな。
僕のには反応しなかったのに。

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また、しばらく歩いてから博史が
「7人いるか確かめようぜ。ちゃんとな」
と言った。
それからゆりが数え始めた。
「剛史、博史、田中、山崎、太田、私、あゆみと…え…」




































     ー誰?ー






















嗚呼、気付いちゃったか。
でも、今気付いても、もう遅いよ。























君たちは僕に『みんち』にされる。















ここはさびれた食肉工場、僕は今日も餌をまつ。





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